マリア4
『【NG】について質問しても良いかしら??』
『答えられる範囲なら…ね』
また、難しい話題になったな…。
これはどこまで話せば良いのか??
それによっては、色々と面倒なことになる。
そう、色々とね…。
『神崎君は元【NG】メンバーというのは本当かしら??』
『ああ…けど少し認識が間違ってるな…』
『どういうことかしら??』
『実際は、メンバーというよりも…』
『創設者というのが正しい』
『え!?それは本当なの??』
驚いた声を上げる。
当たり前だろう。
諸悪の根源がまさか目の前にいるとは。
彼女は今どういう気持ちなのか??
少し興味があった…。
『今、どんな気持ちだい??』
ストレートに聞いてみる。
失礼な質問だと頭で分かっていても、聞いてしまう。
人はこのような場合、どんな気持ちになるのか。
知りたいと思ってしまう。
それは、理屈ではない。
僕自身の問題だ。
自分で得られない気持ちを他人から聞いて、その気持ちを経験したいと思う。
それで、何か得られた感覚になるから。
少し変わった人間だと、自分でも自覚している。
『ええ…、最低な気分だわ』
『そりゃあそうだよね。もう話す気分でもないかい??』
『ええ…』
『相手が神崎君じゃなかったら、殴っているところだわ』
意外にも彼女の態度は口に出したこととは正反対で穏やかだった。
『それは恐いね…』
『ええ、もしあなたのことを何も調べないでそんなことを言われたら殴っていたという意味よ』
『ある程度のことは調査しているつもりだからね』
『なるほどね…』
『僕が最低じゃない人間だと情報では知っているというわけね』
『そう…情報だけ。実際のあなたの事は知らないわ』
『だから試すようなことをしたの』
『それで僕のことは分かったかい??』
『ええ、紳士じゃないってことが良く分かったわ』
『こんな不躾な質問をするぐらいだものね』
『はは…気になったことを知りたがる僕の病気みたいなものさ』
『そう病気ね…』
『【マリア】を作り出すくらい病んでたのかしら??』
とうとうこの質問が来たか…。
これ以上話せば、彼女はもっと深く闇に足を踏み入れるだろう。
そして、僕の正体も暴かれてしまう…。
困ったな…。
『その質問を答えるには、条件が一つある』
『条件とは何かしら??』
僕はポケットからある物を取り出した。
小さなピルケースに入った白い錠剤。
その錠剤には【M】の刻印が入っている…。
『僕が持っているこの【マリア】を飲んで貰おうか!!』
そう、その錠剤とは【マリア】である。
『フフ…簡単にはいかないわね…』
『けど、【マリア】なら私も持っているわ…』
そう言うと彼女もピルケースを取り出した。
中身は白い錠剤…。
しかし、錠剤に【M】の刻印は入っていない。
『それは偽物だろ??』
『それはどうかしら…』
『私がもし、【NG】のメンバーで、先ほどの話が全部嘘だったとしたら??』
なるほどね…。
互いに【マリア】を差し出した異様な光景。
それは互いの人生を大きく変えるような行為。
それを互いに理解しているのか…??