その星が示す道
続きました。
「…特に異常はない、かぁ」
どうしても先ほどの小さな違和感を見過ごせずにいた彼女は、屋敷のいたるところに設置してある、さまざまな観測装置の数値を眺めていたが…どれも特に異常はなかった。
「主殿、お呼びでしょうか。」
トコトコと歩いて来たのはクマのぬいぐるみ、ソルムだ。基本は屋敷にいるが、それなりの頻度でこの屋敷がある山を見回りしているため、何か知っていることがあるかもしれない、と思い呼んだのだ。
「なんかさぁ、ついさっき…ちょっと星の光がおかしく見えた気がして…一瞬光が弱まったというか…何か山に影響なかった?」
「ふむ…本日は見回りをしていないので分かりませんな。特に異変を感じた、ということもありません。」
「そっか…分かった」
「お役に立てず申し訳ない。ひとまず、見回りの頻度を増やし、少し注意深く見て回ることにしましょう。」
「そうだね。それでよろしく。」
「他に用はありますかな?」
「あと今はいいよ。ありがとね。」
「了解した、では、私はアムニスの手伝いをしてまいります。主殿が以前散らかした第二書庫、まだ片付いていないのです。」
「うっ…ごめん。」
ーーーーー
「ん-…でも気になるなぁ…。何もないに越したことないけど…でも今は特に何も感じないしなぁ」
そうして暫くあれこれ考えていたその思考は、
『姫~!今いる?』
という声で遮られた。
「いるよ。どうしたの?」
声がしたのは魔術具の一つ、その中でも可愛らしい人形の姿をした通信機だ。
『あのねあのね、魔導協会の人がね、姫の力借りたいって!なんでも、魔術資料館の保護結界の魔術具が…なんか…壊れちゃった?とかなんとかで。』
この通信機は、魔導協会にいる…いや、あるという方が正しいか。彼女が作ったマリオネットのルミナス・エフィギニスに直接つながっている。
「えぇ…私じゃなくて工房に言ってよそういうのは…」
『あたしもそう言ったんだ!「えっと、魔術具って姫が作ったものじゃないんだよね?」って。けどね、なんか「壊れた…というよりかは、動力源としていた魔石内の魔力が変質したみたいです。魔術具を作ってくださったマグナマキナの工房長には先に連絡を入れたのですが…。通信で伝えただけで「俺よりミス・ステラの領分だ…そういうのは。魔力回路や魔石から魔力を取り出す機構そのものが壊れたというなら、またこちらに連絡をしてくれ。」と言われてしまいまして。できることならば、ステラさんのお力をお借りしたいのですが…。」だって!』
「…そっか…う〜ん…私が行くしかないのかぁ…。」
『あっ、もう一つ言われてた!「ステラさんは、少し面倒くさがると思いまして…。ステラさんお気に入りの紅茶と…最近近くに新しい菓子屋が出来ましてね。そこのマカロンが絶品とのことです。用意しておきますよ。」だって!』
「…行く!」
『姫…声が急に生き生きしてるよ…。』
「いいのいいの、多分話の流れ的にルミナスに言ったのトランクィロでしょ?あの子の紅茶、美味しいもん。まだいるなら「明日の午後あたりに行く」って言っといて!いなかったら明日の朝とかに。」
『…ま、いつもの姫らしいや!おっけー!伝えとくね!』
そうして会話を終え、どことなく楽しげな彼女…ミス・ステラは、夜が明ける頃までアルケミアやアムニスに手伝ってもらいながら準備をするのだった。
分かりにくいかもなので補足。ルミナス・エフィギニスはミス・ステラが作った魔術具のマリオネットです。引きこもりのステラが屋敷から出ずに魔導協会からの連絡を取れるように…と考えて本体を魔導協会本部に置き、通信機としての小型ルミナス(デフォルメされてる見た目)を屋敷に置いてます。




