その瞳に映る星
始めまして。見切り発車ですがよろしくお願いします。
「う~ん…」
ある日の夜更け。山奥にある屋敷の中で、ベッドからもそ…と這い出る少女の姿をした人影が一つ。
「ご主人様、おはようございます。と言ってもすでに夜中ですが。」
その者の顔をメイドのような服を着た女性が覗き込んだ。
「ん、おはよアルケミア…。私どんくらい寝てた?」
「今回は丸二日程お休みになられていましたね。まだ短い方です。」
「そっか、ありがと。」
「お食事はどうされますか?今すぐ食べたいのでしたらアムニスに声をかけてきますが。」
「それでお願い。私はちょっと外に出てくるから、できたら呼んで。」
「了解しました。」
そうして少女は窓を開け、星空に向かって夜風の中をふわりと飛び上がり、適当な高さの大きな木に座った。
「こんばんは、みんな。今日も綺麗だねぇ。」
そう挨拶すると、より一層星は輝きを増す。風は木々を揺らし、世界が彼女に挨拶を返す。
すると少女はまるで付き合いの長い友人と会話しているように、心の底から嬉しそうに微笑んだ。
「にゃあ、おひいさん」
暫くそうしていると、暗闇から黒猫が歩いて来た。
「あ、マギア~。どうしたの?」
「そろそろ起きそうな気がしてなんとにゃく来ただけにゃ。」
「そっか、うち入る?アムニスが今ご飯作ってくれてるけど。」
「煮干しはあるかにゃ?」
「…さぁ?」
「…まぁ、君が屋敷の物のことを把握してるなんてハナから期待してないにゃ…。とはいえもともとしばらくのんびりするつもりだったから入るにゃ。今窓開いてるかにゃ?」
「さっき開けたけどアルケミアが閉めてるかも?でもマギアは転移魔法使えるでしょ」
「にゃ~…めんどくさいけどそうするにゃ」
マギアがやれやれという風に首を振って、転移魔法を使おうとするとガチャリ、と扉が開いた。
「あるじ、ごはんできた」
「マギア様もいらしてたのですね。」
その中から動く兎のぬいぐるみ、アムニスがひょっこりと顔を出した。アルケミアに扉を開けてもらったようだ。
「あ、アムニスも呼びに来たの?」
「はい、直接ご主人様を呼びたそうにしていらしたので。」
「あるじ、おきるのひさしぶり。ごはんもひさしぶり。ちょくせついいにきたくなるのは、とうぜん」
「そっか、ありがと。」
「…せっかくアルケミアが開けてくれたんにゃからそろそろ入ろうにゃ…。アムニス、煮干しってあるかにゃ?」
「ちょっとまって。…ある。もってくる?」
「欲しいにゃ。…相変わらず屋敷内の物をすべて把握できるの、便利だにゃ…」
「マギアも魔術刻もうか?」
「別にいいにゃ。そもそもおひいさんがもう少し自分の所持品くらい把握すればいいだけにゃ。」
「何のためにアムニスを作ったと思ってるの。私が何もしなくていいようにだよ。」
「おひいさんのぐーたらと引きこもりは永遠に治らないという確信があるにゃ…」
「…あるじ、ごはんさめちゃう」
「うん、行くよ」
「聞こえないふりかにゃ…。」
「…私はツッコミませんからね。」
「にゃあ……」
そうして全員が屋敷に入る直前、少女だけがほんの一瞬立ち止まり振り返った。
「…なんか、今。」
目を細めて、星をよく見ようとする。
「ご主人様?どうされました?」
「…ううん、何でもない。」
気のせいじゃなかったら怖いな。と感じながら、漠然とした不安を感じつつも今度こそ屋敷に入った。
徐々に詳しい情報を出していくつもりですが、最低限の説明として。
この世界は魔法と魔術は似て非なるものです。魔法と魔術が両方あるのは誤字ではないので悪しからず…。




