971_『零落』鑑賞
おはようございます。きんぴらです。
今日は2023年3月17日。金曜日だ。
朝は花粉に苦しめてられていたが、午後からはそうでもなかった。でっかいくしゃみが出るくらい。
そうなれば外出する気も起きるというもの。今日は金曜日だからやることは決まっている。映画鑑賞だ。
鑑賞したのは本日から公開されている『零落』。零落とは「落ちこぼれ」を意味する言葉だ。
原作は「ソラニン」で知られる漫画家・浅野いにお氏の同名コミック。監督はまさかの竹中直人さん。俳優としての活躍が目立つ方だが、今回はメガホンのみ。作中では登場しない。
ストーリーを簡単に。
漫画家である深澤は8年間連載した漫画を完結させるも、次回作のアイデアが浮かばず苦悩する日々を送る。スタッフの解雇。妻とのすれ違い。その他人との確執が諸々。嫌気がさして風俗に入ったところで、猫目の女性と出会う。その女性に惹かれた深澤は——。
結果的に猫目の女性との関係で何かが大きく変わることはない。元アシスタントの女性との確執と、妻との言い争いが原因で物語は終盤に大きく動くことになる。
「結局、売れている作家が偉い」
さて、本作の感想だが、終始腹が立っていた。作品そのものではなく登場人物に。まず主人公の深澤は相手へ「訊く」ことをせず、自身の中の情報と解釈だけで怒りをぶつける。さらにその態度が偉そうで高圧的。怒るなら深掘りして根本的な原因を捉えてからにしろと言いたくなる。表層的な物事だけを見て、自身の正当性を主張するその姿に苛立っていた。
さらにこの深澤はアシスタントの女性から過去の不満をぶつけられた時に、「じゃあその時言えよ!」と恫喝する。その言葉、特大ブーメランも良いところだ。妻への不満をぶちまける自分を客観視できていないのだ。稚拙さにガッカリする。
そして深澤よりやばいのはアシスタントの女性。こいつはもう本物の化け物だ。論理的思考の欠如、感情論の暴力、強力な自己愛で構成された、恐ろしい生き物。不快なシーンは沢山あったが、最も強烈だったのは次のシーン。セリフを一言一句覚えているわけではないので、ニュアンスだけで失礼いたす。
深澤「事務所を一旦閉める」
女性「困ります。私、誘ってくれた漫画家さんのアシスタント断って、今ここにいるんですよ?」
深澤「じゃあ俺からも一緒にその方にお願いしに——」
女性「無理です!」
深澤「給料はとりあえず来月分は払うから——」
女性「お金の話をしてるんじゃないんです! どうしてくれるんですか!」
こんな感じ。いや、ちょっと待て。お金の話ではないというが、お金そのものの話ではないところで、深澤はその方に「お願いしにいく」と言ってくれている。それを遮っておいて、「どうしてくれるのか」とは何事か。
これは私の最も嫌いなやりとりの一つ。
この流れだと何を言っても「無理」と突き返され、案を出すと「どうするんですか」と答えを求めてくる。無限ループの典型例。何の案を出そうと解決に至らない。最高に無駄な時間を過ごすことになる。やってられるか。
それこそ深澤にお願いしてもらうのが得策中の得策ではないか。深澤は8年間の連載を終えたばかりの売れっ子作家だ。仕事場が見つかる可能性は高まるし、それなれば給料だって貰える。それを拒否するのならば逆にどうして欲しいというのだ。提案して見せろ。
この女性がちょいちょい登場し、上から目線で深澤(私も)を苛立たせる。
オチとしては良かったと思う。『零落』のタイトル通り、落ちこぼれとも取れるし、逆に「それで良かったんじゃないの」とも取れる。好きな作品を作るのが至高か。売れる作品を作るのが勝者か。ぶっちゃけ幸せならどっちでも良くない?と思っている私からすると、実に第三者目線で鑑賞しやすい作品だった。
総括すると面白い作品だとは思わなかった。終始フラストレーションを感じていたし、ところどころ「どこにも活きてないやん」と感じるシーンもあった。あまりお勧めとは言えない作品だ。
そんな中でも斎藤工さんとMEGUMIさんの演技は目を見張るものがあって、見応えがあった。言い争いのシーンの迫力や、そんな中でも冷静でいようするとMEGUMIさんの演技にはグッときた。さすがだ。
さて、今日の映画鑑賞の満足度は正直低い。時間対効果で幸福度の高まりが低いのだ。むしろイライラしていたのでマイナスになっている可能性まである。しかし光明が差している。
来週は42人を殺害した殺人犯と検事の戦いを描く『ロストケア』が公開される。私たちの住む日本では高齢化が今まさに問題視されている。極端な私の意見だが、「どうして老人がそんなに長く生きたがるの?」と疑問を持っている。当然、歳を取ったら死ぬ。役割を終えたのだから、次のタスクは『死』ではないか。ベットに横たわり満足な活動もできず、今朝の出来事すら覚えられないほどになってなお、タスクを後回しにして若者たちに重圧を課し、生き続けるのか。その人たちを生かすためにこれからの日本を担う若者たちが苦労している姿を見るのは本当に辛い。年寄り側になっても、この考えは変わらない。
と、そんな今まさに日本で起こっている問題に切り込んだミステリー文学大賞作。期待しないわけがない。それがどんな結末になろうとも、私はこの作品を見ていくらか視野を広げているはずだ。
楽しみでならない。来週も花粉症の症状が和らいでいることを願う。鑑賞したらまた感想を書こう。
それでは、今日もがんばっていきまっしょい!
きんぴら




