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死にかけたけど、僕は生きてます

 僕が目を開けると、そこは白一色の世界でした。


 ここが、死後の世界……ふふっ、摘まみ食いで死ぬなんて、僕もあんまりだね。


 達観する。思えば短い人生だった。

 でも、しろっていう友達が最期にできたことは、捨てたものでもないのかも。


 できることならもう一度、願えるならもう一度だけ。あのもふもふ感を心ゆくまで堪能したかった。


 そう。今も頬に感じる、もふもふ感を――


 …………


 ()()()()()


 僕は上体を起こしてみた。

 途端に視界が開け、顔の上に載っかっていたものが、僕の上半身に沿って、ころころと膝まで転がり落ちる。


 なんと、僕の視界を埋めていた白は、白は白でも、しろでした。

 どうやら寝込んでいた僕を心配して、寄り添っていてくれたらしい。どうして顔に載っていたのかは謎だけど。

 これもまた、しろなりの愛情表現でしょう、愛い奴め。


 しろは転がってもなお、起きる気配はなく、深い寝息を立てている。


(ここ、どこだろ……?)


 僕が寝ていたのは、明らかに人工的なベッドの上。

 藁っぽい枯れ草を敷き詰めたと思しき上に、厚手のシーツがかけてある。


 はて。


 僕は周囲を見回してみた。

 簡素なお手製の家具。荒削りの木の柱に土壁、その上から植物の蔦や蔓で内装された室内。


 うん、間違いなく建物の中だね、ここ。

 ベッドがあるからには寝室かな?


 状態異常(バッドステータス)で倒れたのまでは、覚えている。

 それで、次のシーンがこれとは、もしかしなくても、通りがかった誰かに助けてもらったのだろうか。


 尋常ではないお腹の空き具合から、きっと一昼夜どころではなく、2日か3日は経っているはず。


 ちょっと身体を動かすと、筋肉に突っ張り感がある。それだけ長い時間を眠っていたことの証だろう。


 服装もいつの間にか変わっている。

 生地の少なくなったジャージは脱がされ、今はポンチョを膝まで長くしたような服を着ている。

 首を通す穴が空けられた一枚布を被り、腰の辺りを帯というか紐で縛っているだけのものだ。


 泥にまみれていたはずの身体がきれいなところを見ると、わざわざ全身を隅々まで洗うなりしてくれたらしい。


 服の裾を腰までぺろんと捲り上げてみる。


 ……やっぱり下着は穿いてない。ノーパンは継続中だ。

 意識のないままで、着替えさせられたり、洗われたりの場面は想像しないでおこう。それがいい。


 善意を受けたのだろうから、裸体を、局部を見られたくらいなんだ!

 と強がる僕がいる。だって、思春期だよ、中学生だよ、そっとしておいて。ぐすん。


 それはさておき、まずは現状の確認をしないと。



 ―――――――――――――――

 レベル13


 体力 52

 魔力 0


 筋力 11  敏捷 8

 知性 59  器用 31


 異常 弱毒

 ―――――――――――――――



 うわー……ステータスがえらいことに。


 こうして見ると、本当に死にかけたんだろう。まさにぎりぎり。九死に一生を得た感じ?

 身体能力は低下してぼろぼろ。体力なんて、ここに来る以前の僕の1/3以下。無限の体力は見る影もない。


 猛毒+が弱毒になっているのが唯一の救いかな。

 自然回復と拮抗しているのか、体力は下がりもしないけど、上がりもしない。


 あ、見ている内に、弱毒が微毒に変わった!

 それに伴ない、体力がほんの少しずつ上がり始めた。まあ、おおもとの体力が少なすぎるので、数分ほどかけても、たったの1ずつだけど。それでも、体力が回復していくのを確認できるのは安心する。


 ステータスとにらめっこをしていたそんなとき。

 部屋に来客の気配があった。正しくには足音ね。こちらに向かってくる、ぱたぱたとした音がする。

 僕のほうが部屋を使わせてもらっている身分だから、来客というのはおかしいかもしれないけれど。


 きっと、瀕死の僕を助けてくれた人だ。

 まだ起き上がれるだけの元気はないので、ベッドの上で失礼することにする。


 足音がさらに近づいてくる。


 部屋にはドアはないので、入り口は開けっぴろげ。そこから姿が見えるのを待つ。

 初対面どころか、こっちに来てからの初住人との対面なので、緊張する。


 え? 原住民(ゴブリン)はって? なんのことかわかりません。


 いい人だといいな。見ず知らずの僕の命を救ってくれたからには、悪い人なわけはないだろうけど。

 人見知りなほうではないけれど。こんなときはやっぱり、どきどきするね!


 いえ、決して。裸を見られた相手かもしれないとか、そういう意図ではないからね。あしからず。


 そして、実時間で15秒後。体感時間では5分ほど。

 待ちに待って入り口から現れた人影は――ん? 緑?


「ゴブ――!?」


 緑の肌をした方だった。


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