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《最強》になりえない彼が、《最恐》と呼ばれる理由  作者: 岡部雷
日常も、昔はそうじゃなかったかもしれない
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絶対権力生徒会

お待たせしました。

予定がまだ詰まってるので、次回更新もこれくらい空くかもです。

申し訳ない……( ノ;_ _)ノ

 人間が集まると、そこには必ず派閥が生まれる。


 俺だって中学までは何かしらのグループには属していた。

 決してボッチではない。


 しかし、この学校に恐ろしい派閥があることを、俺は知らなかった。

 このとんでもねー情報の提供者はもちろん、太一である。


 異能力審査の終わった夜、学校帰りに彼は敷地内のスーパーに立ち寄ると、新鮮なニラとニンニク、そして挽き肉を調達してきた。

 夕食は、餃子だ。

 スタミナが付きそうな、ガツンとくる旨さ。

 ああ、箸が止まらない。


 一通り食べ終わって、食器洗いを手伝っていると、唐突に



「今後は気を付けろよ、〈生徒会〉に目をつけられたら厄介だ」



 俺は鼻で笑う。



「生徒会? でもよ、実際の生徒会なんて大して権力は持ってねえだろ? 実権を握るとしたら、大体が軍の家族のやつらだろ。あいつら好き勝手するし」



 おかげで入学前からえらい目に遭った。

 しかし太一は深刻な顔をして



「もしこの学校の生徒会が、その『軍人の子ども』()()で構成されてる、って言ったら?」


「うわー……」



 想像しただけでおぞましい。



「今年は特にひどいらしい。なまじ全員が能力者として優秀な分、先生たちも迂闊に手を出せないらしい。しかも親が軍だ」



 太一は、自分の彼女との安全な学生生活を送るために、学校内の情報にもかなり精通している。

 情報量もさることながら、その正確性も侮れない。



「先輩たちの琴線に引っ掛からなければ問題はないだろうけど、おまえは入学前から色々やらかしてるからなあ」



 どうやら、上級生の間では「入学前のガキに同級生(もしくは上級生?)がボコボコにされた」と噂が立っているらしい。

 別に気にしなくも、と思ったのだが



「だって、『絶対に退学は無理だ』、って思われた奴らが、今では犯罪者にされてるんだぜ? びびらない方がおかしいって」



 そういうものなのだろうか。

 生憎、軍とは縁遠い人生だったから、その辺の事情は分からない。


 だが、その恐ろしさを体験するのは、遠い未来の話ではなかったのである。



 ◆◆◆



 話は変わるが、二瓶優香は超絶美人である。

 最初に教室に入ってきたとき、一瞬だが、静寂に包まれた。

 男のほとんどは顔が赤くなり、女は羨望と嫉妬の表情を浮かべるものが半々くらい。


 だが、彼女の真の魅力はその性格だ。

 教室が襲われたときも、真っ先に逃げ出したクラスメートがいたなかで、彼女は前衛に進み出た。

 実戦こそなかったものの、女子の中では一番勇敢に映ったのは彼女だろう。

 それでいて、功績を主張するでもなく。


 勉強もできるし能力も便利だし、家族は凄い人だし。


 まさに、完璧と言っても過言ではない。


 だが、そんな彼女の意外すぎる弱点が、この先露呈するのである。



 ◆◆◆



 一週間後の、朝のホームルーム。

 小宮山先生がかったるそうに



「え~、先週行った異能力審査の結果が届きましたので、こらから配りま~す」



 意外に思ったのが、生徒に配った端末に、その情報は一切こない。

 渡されるのは、分厚い紙の束だ。入れていた茶封筒が変形している。

 取り出して一番上に、評定が書かれた紙がある。

 残りは、その能力の応用例や、その能力に関する規定が記載された法律集など。


 俺の評定は、予想通り〈D〉。

 むしろ〈E〉の方が良かったかもしれない。最低評価というのは、「評価されない項目で凄い力があるのかも?」となる可能性が高いと、昔読んだ小説とかには書いてある。

 しかし、最低よりちょっと上というのは、物語の進行上、本物の雑魚になる確率が高い。しかも大体が悪役だ。


 面倒なことになったなあ、と思いつつ、隣の太一に評定を聞いてみた。



「〈C〉じゃん。いいなあ~」



 平均的な評価と思われがちだが、俺たちの今の段階でこれをもらえるなら、将来性が期待されている証拠だ。


 と、そこに。


 ノックもなしに、3人の生徒が教室に入ってきた。


 一人は、長い髪のせいで根暗そうに見える男子生徒。

 一人は、もう、何て言うか。発育がいい、微笑みを浮かべた女子生徒。

 最後の一人は、「こいつが親玉だな」と直感させる、風格。

 見た目で分かるような威圧感こそないが、「怒りに触れたらヤバそう」な感じの、眼鏡をかけた男子生徒。



「……生徒会の連中がなんの用だ?」



 先生も知らなかったようで、少し声が苛立っていた。



「申し訳ありません、小宮山先生。なにぶん、火急の件ですので、何卒お許しを」



 ゆるふわナイスボディの先輩の口から、これまた凄い声だった。

 聞いてるだけで耳が溶けそうになる。



「今から名前を呼ぶ生徒は、俺たちと一緒に来てほしい。まず、伊藤光太郎」



 眼鏡の先輩は、多分生徒会長だろう。

 俺たちは入学式そのものに出てないから、実際どうだったのか知らない。

 それに、それから後は、バタバタしていて、上級生とはろくに顔を会わせていない。

 でも、多分こいつだ。


 伊藤を呼んだということは、この間の事件での活躍が耳に入ったんだろう。

「その能力を見込んで、おまえに頼みたい仕事がある」みたいな展開だ、きっと。



 ……一瞬だけ、「次は俺だろうな」などと期待をしてしまった。

 ちょっとワクワクしていた。



「次に、真田太一」





 あれ?



 ◆◆◆



 呼ばれた本人も、訳が分からないという顔をしていた。



「この間の事件のことだったら、俺じゃなくてこっちですよ?」



 俺の方を指差していた。



「悪いけどね、そんなことじゃ私たち、もう驚かなくなってるから~」



「そんなこと」って。

 あんたらもこないだまとめて騙されたでしょーが。

 大きな口をきける立場ではないような気もする。



「じゃあ、先生、お借りしますよ」



 会長によって、二人は有無を言わさず連行された。



 ◆◆◆



 〈太一目線〉


 少しパニックになっていた。

 なんで優哉じゃなくて俺なんだ?

 隣を歩いている伊藤は平然としているが、内心は首をかしげているに違いない。


 移動した先は、生徒会室。

 アニメやドラマで見るような、革の椅子が目に入った。

 中には、先輩たちとは別に、もう3人の生徒がいた。



「さて、君たちに頼みたいことがある」



 会長が椅子に身を委ねた。

 俺は、事前に調べた情報を思い出す。


 まず、この部屋で待っていた3人。その全員が2年生。


 ヤンキーのような見た目。庶務の篠崎(しのざき)アンリ先輩。

 能力は《溶解》。


 中性的な見た目の菊地(きくち)累斗(るいと)先輩。

 能力は《衝撃吸収》。


 自信がなさそうな、定まらない視線。青柳(あおやぎ)美奈(みな)先輩。

 能力は、《粘着》。



 ただでさえ濃い面子だ。絡まれたら洒落にならないと思っていたのに。

 唯一の救いは、この3人は(役員の仕事としての)能力を買われて、生徒会にいる。

 親が軍人なのは、関係ないのだ。

 さらに厄介なのが、俺たちを迎えに来た3人だ。



 根暗そうなのが、新田(にった)宗助(そうすけ)先輩。

 能力は《超高温》。


 バランスが悪い女の先輩が、倉橋(くらはし)(ひな)先輩。

 能力は《電気操作》。




 そして、一番面倒なのが、目の前にいる。

 氷室(ひむろ)蒼馬(そうま)

 名前と顔だけで見たら、なにかを凍らせるような能力者と勘違いされそうだが、断じて違う。


 やつの能力は《重力》。

 戦闘能力で考えれば断トツだ。

 ただ相手やその場の重力を強くするだけならまだしも、こいつには隠し玉がある。


 警戒するに越したことはない。

 この3人は、能力も非常に危険だが、なにより親の存在が恐い。


 少なくとも、家系図は把握されていると考えた方がいい。



「生徒会に入ってくれないか?」



 来た。



「理由を先に言おう。今、この学校に厄介な奴がいる」



 会長の話によると、その面倒な生徒は、いわゆる不良。

 先生たちの言うことも聞かない、問題児だ。

 それが二人。



「そいつらに、生徒会は喧嘩を売られた。ここで俺たちが負ければ、この部屋を明け渡さないといけなくなる」



 話が飛んだ。



「君たちの能力は、先生たちからも評価が高い。特に伊藤くんは実績もある。真田くんに関しては、異能力審査で見せた、情報収集能力の高さを元に判断させてもらった」



 優哉がここにいたら「先生、そんなの生徒に見せるなよ」とツッコミを入れいているだろう。

 俺も同じ気持ちだった。


 伊藤もそう思ったのか、少し顔が険しい。



「そいつらを押さえつけるのに、力を貸してほしい。なにせ、俺たちの世代は不作だからな」



 俺たちはそのままの勢いで、作戦会議に巻き込まれていった。

さて、主人公の心情やいかに。

あ、完璧美少女の弱点は次回です。

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