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 剥製にされた逢瀬と少年の大過 

 仕組まれた歯車だった。




 けれど予測外の配置だった。




 少年を奪わ(とら)れると思ったから。だから。







 まさか、あんなことになるなんて─────!







「……玉響」


 庭に林立する樹々の合間に、玉響はいた。小鳥と戯れて笑っている。




 夢見るように焦点の合わない瞳は、ある意味幻想的で見る者の目を奪うかもしれない。玉響は顔立ちが愛妾の母に似て美しいほうだし。




 けれど。




「……」




 無粋な機械の僕には通じないし何より『身内』に近いから。




 この世に『幻想』なんか無いことさえ知っているから。




「……。玉響」

「あ。ムクイ」




 玉響が笑う。無邪気な笑みに感動はしない胸のくせして痛みはするもんだ。



 

「どうしたの?」

 きょとんとする顔は青年に変わる頃合で止まる姿には間抜けにも見える。


 穢れを知らない幼子みたいな玉響。それは美しくも感じるが────ちぐはぐしている。




欲望(穢れ)を知らない”って? 嘘ばかりだ。




 愛欲のまま彼は、ちぐはぐに繋ぎ止めることを選んだんだから。


 真に世俗を知らない高潔な少女を。




 彼女の唯一の穢れ。

 彼の唯一の白。




 それが二人の関係。




「カラさんが呼んでいる」

「あ! ヒビが治ったの?」


 ぱあっと、喜色に輝くその表情を。

 

 僕は直視しない。




「……ああ、」

「やった! 僕行くね!」


 さっきから玉響の言動にいちいちびくびくしていた鳥たちが、飛び出し駆け出す玉響に今度こそ大きく羽ばたく。




 羽根が舞う。色とりどりの羽根が落ちる。その中を玉響が僕に手を振って駆け抜けた。


 僕は振り返すことはせず、見送るだけだった。




 羽根も降り止んで、僕は囁いた。




「────人の話は最後まで聞くモノだよ?」


 親戚の子供にする小言のようだ。……まぁ強ち間違いでは無いが。



 

「ああ、─────その辺で話が在るそうだよ」




 こう伝えたかったのだけど。




 まぁ、良いか。




 直にわかるから。……いや。







 もう、感知してるんだろうな。







 鳥が飛び立って樹を移りながら姿を消した。




 鳥は本物ではない。鳥だけじゃなく、動物も。




 人間も。




 一切合切が本物ではないんだ。




 壊れ掛けの虚像。


 その展覧会。




 それが正体。







 この《保護区域》、の。







 【→It continues to  由緒正しき血統の憂鬱 .】

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