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双子転生 ~そして、俺だけ捨てられた~  作者: 堅物スライム
スローライフを目指してみよう編

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☆27 帰り道にて①

ギルドへ戻り、今回の災厄の解決を報告した。

早くもアスモデウスの撒き散らしていた瘴気の薄まりを実感し始めていたらしく、受付嬢だけでなく、周りの冒険者たちからも感謝された。


今回の報酬は銀貨七十枚だった。

まぁ、こんな寂れた街ではこれ以上の報酬は期待できないだろう。

そもそも今回の目的はエリシアの契約だしな。

俺たちは受付で諸々の手続きを済ませ、ルビスを引き取ると、今さらながら今晩泊まるための宿屋を探し始めた。


ルビスを肩に乗せ、暫くぶらぶら探していると、良さげな宿屋を見つけることができた。ロビーに入ると、そこには快適そうなソファが置かれていた。


俺たちはそのソファに腰掛け、一息ついた。

すると、ユナが呆れたような表情で声を掛けてきた。


「エリシア様から聞いてはいたけど、あなたのマナは反則よね……。何、反転って。今回、私が来た意味無いじゃない。」


「いや、反転させるだけだから……。あんたの保険があってこそだよ。」


マジでそう思う。

毒を反転させることが出来ても、それ以外の何かで治療が必要になった場合、俺は何の役にも立てなかっただろう。


「ノアの雷攻撃も凄かったし、エリシアも修業したと豪語してただけあって、アグニの顕現時間が大分伸びてたな。」


「まぁ全力の攻撃が、動きを一瞬止める程度だったのはがっかりだったけどね……。」


ノアの表情には己の力不足に対する失望がうっすらと浮かんでいた。


「いえ、あの攻撃が無ければ、そのまま膠着状態になり、じり貧になっていたのは間違いないでしょう。相手は魔神です。人智を超えた存在なのですから。」


エリシアが真剣な表情でノアに告げると、ノアは少し苦笑いした。


ところで、


「でも、今回はこんだけ苦労して、銀貨七十枚だもんな。俺が借金を返し終わるまでには後、何回くらい同行しなきゃならないんだ?」


「さぁ、どれ位でしょう? 一生かかっても足りないかもしれませんね。」


エリシアは悪戯っぽい笑みを浮かべ、無茶を言ってくる。

俺は引き攣った笑いを返すことしかできなかった。


◆◆◆


翌朝、早くに宿を出て帰りの途に就くことになった。

街の中はまだ、アスモデウスの瘴気の残骸が漂っていたが、この分ならあと数日もすればキレイに消え去ることだろう。

俺たちは馬車に乗り込むと、西に向かって走り始めた。


ルビスは俺の肩に乗り、ウトウトしている。

心なしか、体全体が赤く発光しているような気がする。


馬車はのんびりと進み、俺は窓から見えるサイレニアの風景を楽しんだ。

前世でも電車やバスの窓から外の景色をボーっと眺めている時間が好きだった。

リヴァンデルに向かう途中に泊まった村で、また一晩を明かす。


村は前回同様、静寂に包まれ、まるで時間が止まっているかのようだった。

風が吹くたびに木々の葉がささやく音だけが響いていた。


翌朝、早朝の薄明かりの中で目を覚ました。

温かい朝食をとり、再び馬車に乗り込むと、静寂が一層際立つ。

馬車の車輪が石畳をきしませながら進む音が心地よく響き、村を出ると、道は次第に狭くなり、周囲の風景も変わっていく。


緑豊かな森を抜け、小川がせせらぎを奏でる音が聞こえる。

やがて道は小高い山へと差し掛かる。

馬車はゆっくりと坂を登り始め、周囲の景色が一変する。

ここを抜ければ、またヴァルハリオン王国に戻ることになる。


◆◆◆


暫く進むと、道端で子供が倒れていた。

俺たちは慌てて馬車を降り、安否を確かめるために近づいた。

子供はかすれた声で「助けて……」と呟き、その顔は汗で濡れ、苦しそうに見えた。


すると、突然、周りを取り囲む気配がした。


「はいはい、お疲れやで。金目のものは全部置いていってや。大人しくしてたら、何もせえへんから。」


木々の間から、スッと現れたのは俺と同じ位の年の少年だった。

タイミングを合わせるように左右からぞろぞろと少年少女たちが姿を現す。


十人位いるだろうか。

道端で倒れていた少女も何事も無かったかのように起き上がり、不敵な笑みを浮かべている。


「少年山賊団か? ろくでもないな。」


ノアはやれやれといった表情で、剣を抜く。


「お、やる気か? 止めといた方がええで。ワシら、手加減できひんからな。」


リーダーっぽい少年から笑みが消え、真剣な表情に変わる。


「相手の力量も見抜けないようでは、この先、簡単に命を落としてしまうぞ?もうこんな悪事を働くことが出来なくなるよう、きっちりその身に叩き込んであげようか。」


そう言うと、ノアはマナを開放し、バチバチとした雷光を身に纏わせる。


「……はぁ、しゃあないな。警告したやろ? 無視したんはあんたらやから、恨まんといてな。」


自分の周りに少年少女を集めると、関西弁もまたマナを開放した。

彼の手から放たれるエネルギーは、まるで生き物のように蠢きながら広がっていく。眩い光がその周りを取り囲み、結界を形成するかのようだった。


少年少女たちはその光に包まれ、戦闘態勢を取り始めた。

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