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20.俺、美味しい肉ゲットしました

 フランツとヤーニーは止められる前にと、駆け出して行った。

 王宮コンビの暴走がひどい。

 リチャードはため息をついて

「追いかけましょう」と言った。

 だよね。それにしても、ちまちま結界を張って進んで、マッピングをするのがストレスだったのかなぁ。

 戦ってもいいってなったらすっ飛んで行ってしまった。


 ヤーニーの風魔法は殺傷力が物凄い。あんなに可愛い顔で、かまいたちっていうの?スパーンと切れる旋風を容赦なくぶっ放している。

 フランツは魔法剣だ。剣に火を纏わせて切りつけている。

 魔力なしと言われ下に見られている頃から、剣の実力で『剣豪』という称号を得ていたフランツ。

 ピアスをして魔法が使えるようになって、人間をやめた強さだと言われている。


 お城の騎士、兵士、それから衛兵など必要と思われる職業の人は優先的にピアスを提供している。といってもこれらの職業に魔力なしはとても少ないが。


 ちなみに、俺とウーちゃんの事を、行政の各長官、副長官、それに城の上級役職で『長』の付く人とその補佐、さらにフランツなど日々身近にいる人には秘密保持契約をして伝えている。

 そしてその人達には弁護士バッジみたいなものを付けてもらっている。

 目印がないとお互いに誰が情報を共有しているか分からないからね。貸与不可だよ。


 *******


 さて、この付近の魔獣は一掃できたようだ。

 ドロップアイテムはでるのかな?ワクワク!


 すると、魔獣が【スゥ】と消えていった。

 死骸が消えた。ということは間違いなくダンジョンだ!

「消えた後に何か落ちてないか確認して!」

 うぉ~~~テンション上がる~!


「これは!?肉です。イノシシ魔獣の肉でしょうか?」とフランツ。

 葉っぱに包まれている肉を拾い上げる。

「この場合そうなるでしょう。あ、もう一つ落ちています。拾い上げないで!様子を見ましょう。20体ほど倒したと思いますので、10体に一つといった割合でドロップするということでしょうか?」

「そうだね。肉しかドロップしないのかとか、どの魔獣でも同じ割合なのかとか検証が必要だね」


 5分くらい経つと地面に落ちていた肉は消えていった。だけど拾い上げた肉はそのままだ。

「どんな味だろう。ここで食べたほうがいいと思う?ダンジョンから外に出た途端に消えちゃうとかあるかなぁ?」と皆に聞いてみた。

「僕、シェフ連れてこようか?」と魔法で、近距離限定だが瞬間移動を使えるヤーニーが提案した。

「シェフが来てくれても火が使えないと焼けないかな。生で食べるのは遠慮したいなぁ」と僕。

 ちらりとフランツの剣を見ると、さっと後ろに剣を隠しながら下がられた。火を纏わせてジューって焼くの嫌なんだな。

 あ~。魔道コンロ、後回しにせずに考えておくべきだったか!?


「無くなるのも覚悟で外に出てみましょう」とリチャード。そうだね。


 *******

 そして、我が家の料理長ルーカス、通称シェフを突撃した。肉は消えてない。


 いきなり肉の塊を差し出され、すぐに調理してくれと言われて驚いている。

 塩コショウして焼くだけでいいからとお願いしたら了解してくれた。

「おぉ~これはイノシシの肉か?いい肉だぞ」と言いながら切り分けてフライパンへ。

 美味しそうに焼けたら皆で試食。

「「「うまい!」」」

 これはすっごくおいしいぞ!

「この味の濃さはイノシシ魔獣の肉か。最高級品だぞ。なんでウェル様達が持ってるんです?」とシェフに聞かれた。


「一緒に来て!ガイルとワーニーにも肉持って行って説明するよ!」と厨房を飛び出した。今日二人は研究所にいるはず!

「美味しいお肉だ、やったね~」と言いながらヤーニーも走っている。


 そして研究所にて。

 かくかくしかじかと説明した。

「という訳でお肉どうぞ」と差し出した。説明の前、温かいうちに食べてもらったほうが良かったかな?ま、もう仕方ない。

「冷めても美味しいといいんだけど。アンジェラもオルトニーも食べてみて」


「「おいしーーー」」冷めても好評でした。


「明日から肉は業者から仕入れるんじゃなくて、ダンジョンにとりに行ったほうがいいか?取りつくしたらどうなるんだ?」

「まだ、そのあたりはこれからです。ダンジョンボスなるものも現れるそうで、危険です。決してお一人では行かれませんように」とノリノリのシェフをリチャードがたしなめている。


「よし、では早速、実験だ。狩りつくしてみよう!」とワーニー。

「狩りつくしてみよ~」とヤーニー。楽しそうだ。

 この最強親子がいればサクッとダンジョン攻略できそうだ。

 俺たちは物見遊山のノリで二人の後に続いた。


「ちょっとお待ちを!背負いかごを取ってきます。大人の皆さんは頼みますよ」と言ってシェフがニヤリとした。入れ物いるよね、冷静な判断です。


 ワーニーの魔術で全員で瞬間移動。早速さっきの場所へ案内した。

 魔獣はいない。このエリアは取り尽くしたのか明日以降復活するのか、確認がいるだろう。


 奥へ進む。歩きながら、ガイルに尋ねる。

「イノシシとイノシシ魔獣って魔力があるなしの違いなんだろ?みんなどっちか分からず戦ってるってこと?」

「魔力の見える人なんて神官かそこの規格外親子だけですから、普通はそうなりますね。ただ、大きさとか凶暴性とかが少し違うようで、ベテランの狩人などはなんとなく分かると聞いたことがあります。

 それに、食べると味が濃く美味しい方が魔獣です」と満面の笑顔で言った。


 どちらにせよ、生きる糧、出会えば狩るのだから、どちらかなんて考えても仕方ないのか。

「ねぇ。ウーちゃん、この世界では魔物は神話の話にしか登場しないし、見たと言っている人もいるけど嘘つき呼ばわりされてる。本当のとこどうなの?」

「魔物?魔物とはどんなものじゃ?」逆に質問されちゃった。

「神話によると、人に敵対する魔力を持つもので、恐ろしい姿をしていて、魔獣を配下にしている。って感じかな。それを神様が滅してくれて、今の世界が出来上がったって書いてあったと思う」


「知らぬな。人も魔力があるではないか?怖い顔のものもおるし、魔獣を飼いならしているものもあろうて。それが魔物と呼ばれておるのかのぉ」

 う~ん、たぶん違うな。魔物はいない、か、もしくはウーちゃんが意識して作ったわけではない。ということだろう。

 神話の裏側に闇を感じるのは俺だけでしょうか?


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