21.俺、肉屋の息子になりました
結局ダンジョンでイノシシ、牛、鹿、などの魔獣肉をゲット、その他には多少の牙や角を手に入れられた。
ボスらしきものには出くわさなかった。
肉を腐らせるのも勿体ないので籠がいっぱいになるタイミングで帰宅。
その後の調査で、2~3日後には魔獣が復活すると分かった。
強いというよりは量が多すぎるから、対策を考えて攻略しなければならない。
というわけで解決策は、お肉屋さんです。
せっかくの最高級肉をダンジョンに放置して消滅させてしまうのも嫌。
腐らせるのも嫌。それならお肉屋さん開業でしょう!
近場なら生のまま。遠い場所へも、氷結魔法が一般的になり、運送できる。ちょっと味は落ちるけど。
シェフがノリノリで商会立ち上げまでやっていた。
売上絶好調。ダンジョン産だからか、野生の臭みのない魔物肉。
そりゃ売れる。現在は商会の為のスタッフを雇って任せている。
高級肉といえば、ブラスってくらい有名になった。
鍾乳洞は王宮と我が家を繋ぐ緊急非常口でもあるので、よそ様をホイホイご案内できないため完全に『秘密の牧場』状態で独占している。
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そしてヤーニーが、一足早く5歳になった。
ヤーニーは王子様なのでお披露目会の規模が大きい。
親睦を深めるのも難しいだろうと、事前に同年代の者だけを集めてプチパーティーを開いたのだが・・・
その時、俺は衝撃を受けた。
子どもたちは俺の顔を見て、クスクス笑って、
「宰相で侯爵なのに、お肉屋さ~ん!」と指をさしたのだ。
なんだろう、お肉屋さん大いに結構。でも笑われるのは嫌。
どうやら高位貴族の多くは国政に関わる仕事をしているようだ。
商売に力を入れるにせよ、高級品や外国製品など、一目置かれるものを扱っているらしい。
そこにきて肉屋。子どもがイジる原因はここだ。
こちとらだって、高級肉屋だぞ!ってか職業差別反対!って言ったってしょうがない。
子どもの世界では異質なものは指さされるものなんだ。
俺は小学校の時、ものすっごい田舎に引越した。
標準語しか喋れない俺は『気取ってる』とか言われて疎外されたもんだ。
というわけで、二度目の子どもやっている俺は少々ではヘコタレない。
はずだったが、やっぱり絶妙の距離からクスクス笑われるのは嫌!
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というわけで、俺は自分のお披露目会が憂鬱で仕方ない。
ヤーニーは5歳になる少し前から家庭教師を付けられて山のような勉強に追われているらしい。ダンジョンにも行けていない。
その代わり、ヤーニーは魔力の封印を解いてもらえた。
王宮から俺の部屋という長距離も、魔術の瞬間移動でなら可能だ。
休憩時間になったら飛んできて、また帰っていく。後ろ姿に哀愁を漂わせながら・・・がんば!
それにしても、瞬間移動、いいなぁ。俺も練習しているけど、ヤーニーの
『行きたい場所と今いるところをくっつける感じだよ!』というのがイメージできない。もっとも俺だけでなく他の人も出来ていない。
なぜ分かるかと言うと、王宮は結界が張ってあるので瞬間移動できない。
だから、王宮の門の横に、瞬間移動専用の着地点が設けられたんだけど、まだ、誰も使っていないんだ。
そこへの一番乗りを狙っている人は多いはず。一躍時の人だ。絶対格好いい!
俺は王宮の結界に阻まれないんで、そこを使う必要はないんだけどね。
ロマン的な何かだよ。がんばるぞ!
あ、ウーちゃんが来た。
「今から、母様とシャルロッテとお茶会なんだよ。一緒にどう?」
「いいのぅ。シェフにブルベリーのケーキがあるか聞いてこようかのぉ」と飛んで行った。
そう、ウーちゃんは食べ物を食べることが出来るように進化したんだ。
本当のウサギになったんじゃなくて、ぬいぐるみのままで食べるんだ。シュール。
勿論あくまで嗜好品で、それで栄養を取るわけではないけど。そんなことで力を使っていたらいつまでたっても肉体の復活とか出来ないのでは?
と思う今日この頃。
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そんなウーちゃん、最近では、家政婦長のマーガレットに石のポケットのリメイクを頼んでいた。
世間では外付けのポケットではなく、内側に埋め込む?みたいになっているシームポケットやらが流行りだしたそうで、それに変えて欲しいとのこと。
すぐさま手配されて、出来上がりを見せに来た。
「なんか、すぐポロっと落ちちゃいそうだな」と言うと、
「愚か者、結界を張っておるわ」と返された。そこまでしても流行のポケットが良かったのね。
ウーちゃんの額石は、薄いブルーで縦長の六角形。
「琥珀糖みたいで綺麗で美味しそうだな」と言ったら、それはなんだとなって、説明。
といっても、寒天だか、ゼラチンだか、なんか固まる系のものと砂糖でできた飴としか分からない。
ウーちゃんはシェフに突撃して無茶なオーダーをしていた。
すぐに、シェフがアドバイスをお願いします。とやって来た。
「俺のせいでごめんな」大まかな材料と、見た目。キラキラ感と透明感は力説しておいた。それしか分からないから。
「色は前の世界では、食べ物に色を付ける専用のものが売ってたんだけど、多分なんでもいいと思う。ただ、日持ちのことを考えると火をしっかり通したものを入れるほうがいいと思うよ。素人考えだけど」
これらの情報だけで、シェフは見事に作り上げた、予想を上回る出来栄えで。さすがプロ。脱帽。
そして、その後、なんと!
ウーちゃんは反対側にもポケットを少し大きめに作ってもらって、そこに琥珀糖を詰めていた。非常食だってさ。そもそも食事いらんだろう、あんた!
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席に着くと、母様が、
「お披露目会のお勉強は順調なの?」と聞いてくる。
忘れたかった、その話題。
「あの人にはこの人より先に声をかけてはいけないとかって、本当に無理。覚えきれない!」と泣きごとを言うと、
「ガイルが中央の狸と頑張って戦ってるんだから、応援のつもりで頑張ってあげて」と言われた。
そう言われるとやるしかない。悲しい。足を引っ張らない程度に頑張ろう。
「シャルは今日は、何をして遊んだの?」と聞くと、
「お花をつんだの。ポプリつくるのよ。それでね。にいたまにプレゼントするのよ」だって。可愛さがそら恐ろしい。俺を殺しにきてる。
「出来上がるの楽しみに、待っているね」
「はい!」
妹ってみんなこんなにかわいいもんなの!?
俺、勉強がんばってくる。




