73話
ひゃっはー! 汚物は消毒だー!
部屋に大量にいた黒いGを全て焼却してから、改めて扉を開けた。
うまく魔法をコントロールしたので、部屋の中は特に損傷はなかった。
ついでに、Gの存在を示すものも欠片もなかったのには、ホッとした。
火で消毒できているはずだが、念のために光魔法を改造して、紫外線による殺菌ができないか試す。
いろいろやってみたらできたので、『清浄』とした。
自分に使用したら、何故か全身がすっきりサッパリした。
なにより、口内がサワヤカである。
食事の後、口をゆすいだり、磨いたりしていたが、満足できなかった。
ところが『清浄』を使うと、つるつるです。
……こんな効果を、光の魔法でどうやったのか?
魔法って謎だね。
ただの殺菌消毒のつもりだったのだが、魔力を強めるとダメージを与えられた。
さらにジュリア曰く、アンデッドにも効果がありそう、とのことなので、いつか試してみよう。
いや、待てよ。
今、このお屋敷で起こっている現象に『清浄』が効果があれば、二つのことが同時にわかる。
つまり、このお屋敷にはアンデッド──幽霊的なものが存在するし、『清浄』の魔法はそのアンデッドに効く、というわけだ。
一石二鳥だね。
もし効果がなくても、別に損はしない。
動く家具の対応に困っているわけではないからだし、『清浄』は別の機会に試せば良い。
それだけのことだ。
スキルのせいなのか、魔力の高さなのか、魔法に関して、いろいろおかしい気がする。
オレとしてはありがたいけど、今まで日本で培った常識やら知識がどこかにいってしまうのは、どうなのか?
良いことか、悪いことかはさておいて、なんとなくモヤモヤしてしまう。
考えるな、感じろ、とは思うものの、やっぱり考えてしまうのは、人間の性なんだろうか?
なかなか、むずかしいものです。
かなりの部屋数があるが、十回に一回くらいの割合で、Gだらけの部屋がある。
すぐに焼却処分をするが、ウンザリしてくる。
巨大化してないだけ、マシだと思おう。
それ以外の部屋だと、やはり家具が飛んでくる。
しかし、ただ飛んでくるのではなく、合体してから襲ってくるのだ。
具体的には、寝台や本棚、机などに椅子が手足の如く合わさって、人型っぽくなって、攻撃してくるわけだ。
特に厄介だ、ということはない。
むしろ、弱体化してないか、とすら思う。
全方位から家具が飛んできた方が、怖いし嫌だ。
動きも鈍くなっているし、回避してバンバン反撃できる。
ただ、その状態の相手に、『清浄』をかけたら苦しんでいたので、どうやら連中はアンデッド的なもののようだと判明した。
問題はその後で、家具がバラバラになって飛んできたので、慌てて部屋から出た。
再度部屋を覗くと、やはり人型っぽくなっていたので、『清浄』で動かなくなるまで、何度も魔法をかけた。
普通に攻撃した方が、早く片付けられる。
それが結論です。
結局、このお屋敷の中で起きている現象はポルターガイストで間違いないようだ。
アンデッド、というか、幽霊的なものが、家具を動かしているのだと思われる。
お屋敷内で空間が歪んでいるのも、家具をいくら壊しても補充されているのも、幽霊のせいだ。
なので、その原因を排除したいのだが、いかんせん、道に迷っている最中なのです。
どうしたら良いのだろう?
たまに見るGだらけの部屋の存在が、モチベーションを下げてくるのだ。
……帰りたい。
もっとも、帰りたくても帰れないので、目に入った部屋に入るしかないのだけど。
ふと、このお屋敷に入ってからどのくらい時間が経ったか、気になった。
体感では数時間。十時間は経ってない、といったところか。
メニュー画面から時計を見てみる。
午後1時30分。
……?
目を擦って、もう一度確認してみる。
変わらない。
おかしいぞ。
時間が経ってないなんて。
──いや、待てよ。
実は、夢中になりすぎて、丸一日経っていた……とか?
はふう。
深呼吸して、と。
ゆっくりと六十秒数えよう。
1、2、3……。
確実に、一分経った。
メニュー画面の時計を見る。
午後1時30分。
うん。
このお屋敷の中は、空間だけではなく、時間もおかしかった。
なんてこった!?




