70話
オレはゆっくりと目を開けた。
そこは、鬱蒼とした森の中。
太陽の光がわずかに射している。
背中が痛い。
地面に直接寝転がっていた。
どうなっている?
顔を横に向けると、ジュリアが魔物をランスで貫き、デスサイズで首を刈っていた。
ん?
疑問に思った瞬間──思い出した!
慌てて身体を起こす。
オレは『死』んだんだ!
何かに首を斬られて……血が吹き出て……。
うわー……。
あれは致命傷だよなー。
テレビとかで見たことあるよ、頸動脈から赤い血がプシャー……って、よく見ると、目の前の樹とか血だらけだ。
自分のだけど、グロ……。
あ、ディーネにジュリア。
ご苦労様、面倒かけたね。
……へぇ、あれは下級悪魔っていうのか。
見た目はサルというか、ゴリラというか。
ふむ?
下級悪魔とは、歪んだ情念が凝り集まってそれがマナと絡み合い、何らかの生物に取り憑いた……と。
さっきのは、それがサルだったわけだ。
あれ?
そういえば、精霊ってマナが凝縮したものじゃなかったっけ?
親戚?
……ちょーおこられた。
ごめんなさい。
にどといいません。
はんせいします。
うん、許されました。
怒らすと怖いよ、二人とも。
ホント、気を付けよう。
しかし……少し油断していたとはいえ、一応警戒はしていたはずだった。
簡易マップは見てたし。
それでも、いきなり真横に出現し、頭に【危険察知】の警報が鳴った瞬間に、首を斬られた。
運が悪かったが、だとしても、防げなかったのが問題だ。
でもなぁ……解決案がない。
強いて言うなら、【回避】のレベルを上げるくらい、かな?
今は、他に思い浮かばない。
下級悪魔は、いつ、どこに現れるか、わからないらしい。
今みたいに、真横に現れるのは滅多にないそうだが、それでも実際にあったし、今後もまた、あるかもしれないから、何か対策が必要だが……。
まぁ、しょうがない。
ゾンビアタックをするしかないのかな。
今のところは、それしか思い付かない。
ディーネ、ジュリア。
二人もムリして敵を倒さないで、オレが起きるまで、できるだけ防御に専念してください。
お願いします。
名前 :ラムダ
レベル:7
SP :270
状態 :デスペナルティー(−90%)
生命力:182
精神力:354
筋力 :25
耐久 :24
敏捷 :25
器用 :25
魔力 :194
幸運 :2
ぐぅ。
デスペナとは……。
九割減は厳しい。
確かに、スゴい怠いけど。
この状態で、魔物と戦うのは、ただのバカだな。
安全なところに行こう。
お屋敷かな?
ディーネとジュリアに守られながら、お屋敷に戻った。
塀の中はやはり安心できる。
ファンタジーの定番なら、結界とかそんな感じだろう。
自動で閉まる門の音を背後に、お屋敷の方に向かう。
建物の中には入らない。
念のためだ。
屋根のある車寄せの下に腰を落として、ようやく一息。
はふう。
ディーネたちと契約したときも『死』んだと思うけど、こんなにキツくなかった。
確認してないけど、デスペナあったのかな?
覚えていない。
もしかすると、状況によって違うのか?
わからない。
ただひとつ言えるのは、『死』ぬのはダメだ。
キツい。しんどい。
もうやりたくない。
それに、オレが『死』んでる間、ディーネとジュリアが戦わなくてはならない。
オレの知らないうちに、二人に何かあったら、嫌だ。
そのためにも、鍛えないと。
不意に何があっても、大丈夫なようにならないと。
食事の支度をしている二人を見ながら、オレはなるべく『死』なないでいられる術を考えていたのだった。




