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57話

 向かいから馬車が何台か連なって、商隊(だと思う)がやってきた。

 まだ、距離があるから見えないとは思うが、こちらの馬車を引く馬は首なし馬だ。

 なんか面倒そうです。


 というわけで、『ショートジャンプ』で逃げます。

 ディーネとジュリアの肩に手を置いて、魔法を発動。

 こうしないと、オレだけ跳んじゃうからね。

 相手からしたら、いきなり消えたように見えるけど、騒がれるよりはマシだ。


 跳んだら魔力を回復させ、再び跳ぶ。

 何度か繰り返し、そこそこ離れた場所にたどり着いた。

 大きな岩があったので、その下にする。


 ちょうどお昼時だし、休憩にしよう。

 薪と鍋を『アイテム』(ストレージ)から出して、準備に入る。

 魔物が近くにいたので、ジュリアに倒してきてもらう。

 ディーネには、水を沸かしてもらって、と。


 この世界は、昔から異世界人が多く来ていた。

 その中には、日本人もいたらしく、その痕跡がたくさん残っている。

 例えば、これ。

 カレー粉だ。


 もう少し正確にいうなら、カレー粉に少量の水分を加えて丸く固めたカレー玉というものだ。

 これを、野菜と細かく切った干し肉を炒めてタップリの水で煮た鍋の中に投入すると、アラ不思議。

 カレーの完成です。


 このカレー玉は、冒険者に必須のものだそうだ。

 まぁ、そうだろうね。

 ちょっと手を掛けるだけで、美味しい料理ができるわけで。

 これを見付けた瞬間、オレは歓声を上げると同時に、日本人の存在を確信した。

 こんなものを作るのは、日本人しかいない。


 あとは、米があればなぁ……。

 ちなみに、米は別の大陸にあるらしく、この辺りでは食べられないそうだ。

 残念。


 でも、パンがあるし、小麦粉でうどんも作ることは可能だ。

 時間ができたら、試したい。

 秘かな野望です。


 そんなことを考えているうちに、カレーができた。

 魔物を倒して戻ったジュリアと、お茶を入れていたディーネと、食事にしよう。




 ごちそうさま。

 美味しかったです。

 ディーネたちは、カレーなんて初めて食べたので、会話もなく夢中になっていたよ。

 オレはあまり食事中は会話する方ではないので、構わないけど。


 食事中に、よく使う魔法を整理してみた。

 まず、【火魔法】だけど、火力はあるが、周囲の影響を考えると(特にディーネは水の精霊だ)少し使いづらい。

 よって、槍状に凝縮した火炎を投げる『ファイアランス』。


 【水魔法】は様々な場面で役に立つ。

 戦闘面では、『ウォーターカッター』かな。切り札という意味で、心強い。


 【風魔法】は、『ウィンドカッター』と、先程の『エアハンマー』だ。

 特に後者は、強弱をつければ、対人戦に有効です。


 【地魔法】は、定番の『ストーンバレット』だ。使い勝手の良さは一番だと思う。


 【光魔法】は、『ソーラーレイ』。

 光の速度なので、まず避けられない。狙った場所を外さない、というのが良い。急所を狙うのは、当然なのです。


 【氷魔法】は、ディーネの水と組み合わすと凶悪だ。

 たちまち冷凍させられるこれは、『アイスコフィン』と名付けた。

 ただし、ディーネの水だと何故か簡単なのだが、それがないと、魔力消費が尋常じゃないのが、欠点か。


 【雷魔法】は、雷を放射線状に撒き散らす『ライトニングウェーブ』と、それを一点に集中して放つ『ライトニングブラスト』だ。

 単純に、強力です。


 【空間魔法】は、短距離転移の『ショートジャンプ』と、物体を手元に引き寄せる『アポート』。

 言うまでもなく、便利の一言。


 問題は、【無魔法】だ。

 可もなく、不可もなく。

 現状では、『マギナバレット』が使いやすく魔力効率が良いので、たくさん出してばら撒く、という使い方しか思い付かない。

 まぁ、それはそれで良いのだが。


 こんなところか。

 他にも、属性ごとにそれぞれ基本形状の『アロー』や『ボール』などもあるが、それらは牽制とかでしか使わないかな。

 あまりたくさんあっても、把握しきれない。

 このくらいが良いかな。


 今後も、もっと研鑽しなければ。

 デュラハンであるジュリアが加わって、オレが後衛から気兼ねすることなく、バンバン魔法を使えるようになった。

 そうして時間をかけずに、魔物を殲滅できれば、それだけ危険も減る、ということだ。


 何より、魔法は楽しい。

 これからは、趣味が魔法です、バンバン魔法をブッパします、と言い張ろう。

 同好の士とかできないかな?


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