55話
ちょっと短めです。
オレたちは城塞都市メルガルドを出て、街道を走っている。
デュラハンであるジュリアの愛馬──コシュタ・バワーの引く馬車に乗っているのだが、その走りはとても快適だ。
どういうわけか、車体もコシュタ・バワーの一部で、質量保存の法則はどこだ、そもそも首なし馬のくせに、などと思うが、魔力という存在がある以上、もう何も言えない。
一昨日、デュラハンが暴走し、一部都市内が混乱に陥ったが、幸い死者は出ず、怪我人も僅かな人数で済んだ。
だからと言って、責任を問わないというわけにもいかず、しかし、では誰が責任を取るというのか。
デュラハン?
しかし、精霊なので、自然災害と同じ扱いになるらしい。
オレ?
確かにデュラハンと契約したが、それは暴走を止めるためだ。
契約した精霊が暴走したなら、オレの責任になるが、その逆はない。
ディーネ?
彼女がいなければ、デュラハンは暴走しなかった。
それは事実だが、襲われた被害者に、お前さえいなければ、というのは間違っている。
ナッシュ君?
弱った精霊を治療しようとした彼は、むしろ誉められるだろう。
精霊を発見したとき、誰かに報告していれば良かったかもしれないが、彼がそうしなければならない理由はないのだ。
関係者に間違った者はいたかもしれないが、悪かった者はいない。
しかし──
だが──
結論は、二転三転する。
結果として、デュラハンは──というかオレは都市から追放となった。
いくら契約した精霊とはいえ、デュラハンを都市内で自由にすることはできない。
示しがつかないのだ。
まぁ、デュラハンを送還させていれば、オレは都市に入っても良いと言われたので、かなり甘いというか、なんというか。
ただ、この結果はナッシュ君にとって納得のいくものではなかったようだ。
子供だから見逃された、と感じたのだ。
多分、彼なりの思惑、打算があったわけで、それをないがしろにされたようなものだったのだろう。
そんなの気にすることはないと思うのは、オレがいい加減な大人になってしまったから、なんだろうか。
いい加減な大人で世の中はできている、というのが、オレの持論です。
だから、オレはいい加減な大人になりたかった。
日本じゃムリかな、とちょっと諦めかけていた。
でも、この世界ならなれそうだ、と期待してる。
だから、今回のこの結果も、いい加減な気持ちで受け入れる。
これからも、こんないい加減な気持ちで過ごしたい。
首なし馬に引かれて、いい加減にそう思った。




