21話
オレは、『アイテム』画面を何気なく見て気付いた。
収納したばかりの【大ウサギ】の文字が、点滅していたのだ。
首を傾げてタップするとウィンドウが出て、
[解体しますか? Yes/No]
とあった。
少し考えて、Yesをタップすると、【大ウサギ】の文字がなくなり、代わりに【大ウサギの肉】【大ウサギの毛皮】【大ウサギの骨】などが出てきた。血や内臓もある。
これは……なんというか、ゲーム的だなぁ。
たぶん、スキルの【解体】の効果だと思われるが。
便利すぎる。
スキルレベルが上がったら、どうなるのかな? 質や量が良くなったりするのか?
いずれわかるか。
っていうか、【大ウサギの血】をタップしたら、どうなるんだろう? 容器がないから、溢れ落ちるしかないのか。
試してみよう。
……やるんじゃなかった。
掌の上に出てきた血が溢れ、生臭い匂いが辺りに広かった。
ディーネに綺麗にしてもらおう。
うん。次からは、容器を用意しよう。
とりあえず、木陰に行って【大ウサギの内臓】を破棄する。
取れたてだから、レバーとか食べられるとは思うけど……。
やめとこう。
どれがレバーかわからんし。
まぁ、これで狩りの心配はなくなった。
ひ弱の現代人が生き物の解体なんか、できないのだから。
ただ、これなら食べ物に困っても、最悪どうにかなるだろう。
※※※※※
ようやく、森から出られた。
さっきはあと一歩のところで、大ウサギにドーンとされたけど、今度は大丈夫です。
強い日射しに目を細めつつ、街道に足を踏み入れた。
ちょっと暑いな、とは思うが、湿度がなくカラッとしている。過ごしやすそうだ。
ディーネを見ると、涼しい顔をしている。
問題はないかな。
でも、戦闘に関していうと、湿度があったほうが、ディーネにとっては良いんだろうな。
『マップ』で見ると、この街道は東西に延びている。
どちらに行こう?
ふむ。
オレは杖を取り出して、地面に立てると、手を離した。
杖が倒れたのは、東側だった。
東に行こう。
しばらく歩いても、なにもない。
テンプレなら、この辺で襲われる馬車に出会いそうだけど……そうそうないか。
とか考えているうちに、簡易マップに反応があった。
11時の方向に、白色の光点が3つある。
白色? 敵性は赤色だと思ったけど……。なんだろう?
考えても仕方ない。
行ってみよう。どうせ、進行方向だ。
見えた。
緑色をした子供のような体型。
ディーネによると、ゴブリンらしい。見たことあるそうだ。
あれがそうか。テンプレのモンスターですね。
木の棒を持って、こちらに近付いてくる。まだ、だいぶ離れているけど、気付かれているのか。
まぁ、開けた場所だし、目視できるよな。
いつの間にか、簡易マップの光点が赤くなっていた。
となると、やはり赤色が敵性を表し、白色だと未確認みたいな感じかな?
どうする?
逃げることはできるとは思うが、あまり意味がない。
戦う……か。
数的には、相手のほうが多い。負けるとは思わないが、あえてケガしたいわけじゃない。
ならば。
オレは、足元の拳大の石を拾う。ディーネには警戒だけしてもらって、手を出さないように頼んだ。
この際だし、スキルの確認をしよう。【投擲】【必中】だな。
100mくらい離れているゴブリンたちに、山なりに石を投げる。
ゴシャ。
なかなかの音がして、ゴブリンの1体が倒れた。
キャッチできなかったようだ。頭に直撃した。痛そう。
昔、テレビで珍プレー特集を見たけど、あんな感じだったです。
残り2体のゴブリンが、こちらに向かって走り出した。
もう1つ石を投げた。
ストレート。直撃。ゴブリンが倒れる。
瞬く間に仲間がやられた最後のゴブリンは、警戒して足を止める。
チャンス!
だが、石を投げたら避けられ、さらに手にした棒で打ち返された。
【必中】仕事しろ! と思ったけど、当たるコースではあるんだ。避けられてるだけ。
仕方ない、それならば。
今度はオレが走り、ゴブリンに近付く。
手にした杖を構え、勢いよく薙ぎ払いふらついたゴブリンの頭を、オレは何度も何度も殴ったのだった。




