191話
整理しよう。
アヤノさんが今身に付けているのは、ミスリルの鎖帷子とその上に革のジャケットだ。
ミスリル銀糸で編んだ鎧下もあるけど、防具としては過信出来ない。
革のジャケットを替えて、革鎧にするかな?
金属製の鎧は重くて無理そうだし。
店員さんに良さそうな鎧を見繕ってもらう。
軽くて、丈夫なのはないですか?
と聞いたら、三点ほど用意してくれたけど……。
一つは、黒狼の皮を鞣したもの。
軽くて丈夫なのだけど、少し薄めなので、衝撃はそれほど吸収されないらしい。
次に、涙蛇の皮を使ったもの。
涙蛇とは、鱗の形が涙の滴のようなのでその名が付いた。
かなり大きな蛇だが、比較的大人しく人を襲うことはないそう。
脱皮した皮を加工して鎧にするのだ。
性能面は十分なのだけど、蛇柄がハッキリしていて、好みが分かれるという。
最後に、ハイオーガの硬革鎧だ。
ハイオーガは、その名の通りオーガの上位種である。
学院にあるダンジョンの地下一〇階以降に出現して、かなりの強敵らしくなかなか手に入らないようだ。
これも性能はとても良いのだけど、その分お値段が高めである。
以上の三品が目の前にある。
それぞれアヤノさんに試着してもらったが、どれも良い、という困る返答をされたよ。
ただ、どうも蛇柄は好みではなかったようなので、下げてもらった。
残りの二つだと、黒狼皮の鎧は性能面で一歩劣るので、ここはハイオーガの硬革鎧に決めた。
かなり財布にダメージを負ったけど、まぁ、命には換えられないので良しとしよう。
それともう一着買うなら、サービスすると言われたので、オレ用の鎧も購入することにした。
サイズは調整したら着れた。
デザインが女性向けだけど、そこまでおかしくはなかった(あくまで戦闘用の鎧だから)のが救いか。
お店側も、なかなか売れなかった硬革鎧が二着も売れたので、かなり値下げしてくれたけど、アヤノさんの交渉術にはちょっとビビった。
女性は強かですね。
そんなことがあって、他にも服をたくさん購入してお店を出た。
まぁ、軽くなった財布に目を瞑れば、とても満足出来る買い物だったです。
一応、ヘソクリはあるけど、何とかしてお金を稼がないとなぁ……。
そんなことを考えながら道を歩いていると、食品の売っている市場に辿り着いた。
うむ。
アヤノさんと頷き合って、突撃する。
何か珍しい食材はありませんか?
まず目に付いたのは、ウナギです。
聞くと、養殖されていて比較的安価で手に入るらしい。
買います。
次に、納豆を発見した。
ワラに包まれていたけど、少し味見させてもらったら、若干味が違う。
アヤノさんと首を傾げていたら、豆が大豆ではないことに気付いた。
なるほど、と思い購入する。
マズくないから、問題なし。
ただ、醤油がないので、魚醤を売っているお店を教えてもらった。
そこに行ってみると、魚醤の他に梅干しが売られていた。
思わずアヤノさんとハイタッチ。
さらに、タクアンなどの漬け物類も大量購入する。
作れないことはないけど、時間がかかるんだよね。
魔法と【錬金術】を併用すれば、そこもクリア出来るけど、まだ試していなかった。
でも、ここで買えるのなら、それで良いのだ。
自分で作ることにこだわりなんかないし。
ホクホクしながら、さらに探索は続ける。
あ、ワサビがある。
スゲーでかい。立派な天然物だ。買いだね。
あっちは……魚の干物だ!
何の魚だかわからないけど、旨そうなので買います!
おお!
これは、唐辛子だ。
ぐあ!? メッチャ辛い! でも、ウマイ。買おう!
アヤノさん?
なに、ゴマ油があっただと?
本当だ! 買い占めます! えー、ダメ? じゃあ、半分ください。
それと他の油もくださいね。
この油の原料のゴマは、どこで手に入りますか?
あっち?
……あった! 行くぞ!
ん? ブラックタイガーだと?
海老天が食べられる?
買うっきゃないでしょ! どこだ、ブラックタイガー?
はい? 黒い虎の肉だと……? とても旨い高級肉?
マジか……。買うけども。
あれはなんだ?
蒸留酒か……。どうしよう? 欲しい、アヤノさん?
料理で使うなら買うか。
葡萄酒もください。
おや、それはもしかして、バニラビーンズじゃないですか!
買います!
絶対買います。
……やったね、これでアイスを作りましょう!
あれもください。
これもください。
それもください。
どれもください。……買い占めはダメ? そうですか。
………………。
…………。
……。
ふー!
たくさん買ったぜ!
もうお金がない!
残念だけど、ここまでだ。
チクショウ!
鎧を買うんじゃなかった!
でなければ、もっと買い物出来たのに!
「あ! ラムダさん! あそこにあるのは……ま、松茸ですよ!
国産の松茸が、あんな安い値段で売っているなんて……」
よし。
ディーネはアヤノさんとここで待っているように。
オレか?
オレはお金を持ってくる。
この鎧を売れば当座の資金にな……何をする、離せ、ディーネ!
松茸がオレを待っているんだ!
「あー、仕方ないですね。
わたしのヘソクリで買いますか。
オジサン、このキノコください。あ、あっちのも」
離してくれ、ディーネ!
オレは鎧なんかなくても良いんだ!
それよりも松茸が!
ぐお!? 足が凍りついた?
そこまでするか、ディーネ!
ごぼごぼ!?
「あら、口の中を水で満たすなんて……スゴい魔法のコントロールなのね、ディーネ。
でも、ラムダさん、死んじゃわないかしら?
え? その手前で止めるから大丈夫ですって?
……なら、良いかな」
ごぼぉ!
ごぼごぼがぼ!
がばがぼごばごぼっ!?
装備
精霊剣・血桜(+19) 透理石の大剣 透理石のハンマー
透理石の杖 圧縮魔力木の杖 圧縮魔力木の木剣
神のボクサーブリーフ 革のマント 圧縮魔力木の小盾
ミスリル銀布の鎧下 ミスリル銀鎖の鎖帷子
ハイオーガの硬革鎧一式(New)




