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188話

 『テレポート』の魔法で家に無事到着した。

 時間は、午前6時30分。

 朝食を食べて、学院に行く支度をすることを考えると、あまり余裕がない。

 今日の授業の予習と、あとはそうだな……アヤノさんと互いにクイズのような感じで問題を出しあって、復習代わりにしよう。


 自分で問題を考えるというのは、意外と復習にはちょうど良かったりする。

 相手が答えられるか否か、というギリギリを狙うのには、自分と相手の双方がどの程度問題を理解しているかがポイントになる。

 生半可なことでは、なかなか難しいのです。


 こうしてアヤノさんと勉強していると、いろいろわかることがある。

 彼女は勉強もよく出来る子で、さほどそれを苦にしていないのだ。

 普段からきっちり予習復習をこなしているのだろう。

 勉強することに慣れている様子なのだ。


 運動も勉強も出来る。

 顔も可愛いとあっては、男が放っておかないわけで、さぞかしモテてきたのだろう。

 現に、今はこの国の王子様に目を付けられているわけで。


 素敵な恋愛をしてほしい、と保護者(仮)であるオレは思うけど、それはもう少し余裕が出来てからかな?

 まぁ、アヤノさん次第だからなんとも言えないけど、彼女がしたいようにしてほしいと思います。




 サンドイッチ、サラダ、スープという朝食を食べて学院に向かう前に、師匠たちにダンジョンの報告をした。


 精霊がいたことに驚いていたけど、既に契約したことに溜め息を吐かれた。

 他に手段がなかったのだから、仕方ないでしょうが。


 精霊を強制的に使役する輩(やから)に心当たりがないか尋ねたが、お二人とも首を横に振った。

 まぁ、それもそうか。


 では、そういう手段は知っているか?

 これも答えは否だった。

 考えたこともないし、考えても出来るとは思えない、とのこと。


 クライネ師匠ならエルフだし何か知らないかと思ったけど、エルフでも出来るとは思えないそうなので、これはよっぽどのことようだ。

 ジーク師匠も調べてみると言ってくれたので、期待しておきたいと思います。






 学院に到着。

 教室には、数人ほど空席があった。

 昨日の夕方のゴタゴタの影響だろうか?

 王子様やイザベラ嬢のお付きの者も、少し顔触れが変わっていた。


 はて?

 あの程度のことで、欠席するものなのだろうか?

 それとも貴族社会では、あれは致命的だったのだろうか?

 庶民のオレにはちっともわからないけど、貴族というのも大変だなぁと思った。


 ん?

 王子様とイザベラ嬢が近付いてきたぞ。

 もうすぐ授業が始まると思うけど、何か用だろうか?


「昨日は迷惑をかけたようだな、すまない」


「わたくしの不徳の致すところです。申し訳ありません」


 頭こそ下げないけど(それをされるとこちらが困る)、謝罪されたよ。

 てっきり知らん顔されると思っていたけど。


 ふむ。

 どういう思惑があるか、いろいろ想像は出来るけど、こうやって表立ってこられるとこちらとしてもありがたい。

 貴族と対立したいわけではないのだ──特に王族となんて。


「いえ。お気になさらず。

 殿下やイザベラ様がさせたことだとは、全く考えておりませんので」


 貴族と腹の探り合いはしたくない。

 この件はさっさと終わらせたかったので、王子様たちから来てくれて助かった。


 貸し借りが出来たっぽいけど、無視してしまいましょう。

 それがどういう結果になるかは、わからないけど。


 そうこうしているうちに、軍曹先生がきて授業が始まった。

 金曜日の授業は、午前は変わらず座学だけど、午後のそれは違う。

 土曜日は一日かけて、冒険者ギルドの依頼をするのだが、その準備に充てられるのだ。


 具体的には、金曜日の午後から冒険者ギルドに向かい、依頼を受ける。

 そして残りの時間は、その下準備をする。

 土曜日は一日かけて、その依頼を達成するのだ。


 これは王立魔法学院の方針で、実戦を重視しているからなのだ。

 教師や生徒同士での訓練をしているだけでは、役に立たないことは立証されている。

 ギルドの依頼を通して、魔物との戦闘に慣れることが肝要なのであった。


 もちろん、魔物の討伐依頼以外でも構わないのだけど、成績に高い評価が得られるのは討伐依頼なので、なるべくそれを受けることが推奨されている。


 ただ、成績次第では、依頼を受けずに自習とするのも可能である。

 その辺りは、生徒の自主性が重んじられていた。


 ちなみに、生徒は正式なギルド員ではなく、準構成員という扱いになる。

 これによって、ギルドの義務などは免除されていた。

 尤も、恩恵などもないので、損得といったこともないのだが。


 では、既にオレみたいに、ギルドに登録していたらどうなるのだろうか。

 軍曹先生に尋ねたところ、授業中は一時的に他の生徒と同じ扱いになるようだ。

 授業とは関係ないときは、通常と変わらないように扱ってくれるらしい。

 ちょっと面倒だけど、何か問題があれば考慮してくれるそうだ。

 まぁ、そういうことなら気にしないでおきましょう。


 さてさて。

 考えてみれば、この国の冒険者ギルドにはまだ行っていない。

 ダンジョンで倒した魔物の素材を売りたいし、ちゃんと挨拶をしておいた方が良いだろう。


 そういえば、ランクとかどうなっていたっけ?

 そこら辺も確認しておかないとな。


 午前にダンジョンに行ったから放課後には行かないで、いろいろと溜まった雑事をするか。


 授業の傍ら、予定を考えておきましょう。

 なるべく効率良く行動したいですからね。


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