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新生活は木の上で ー幼女となったニートー  作者: にゃんたこ
一章:パチスロニートは幼女の夢をみるか。
32/37

31.浮かぶ巨石と、お礼の大金。

領主のマキタ、リース、そして護衛の面々が並ぶ中、

ずずいと一歩前にでる私。


目の前には、高さ2m、幅3mはあろうかという巨石。

これは、人が押してもビクともしないわけだ。


全体を包み込んで、岩が持ち上がるようイメージする。

ぐぐっ、とな。

体からスッと魔力が抜ける感じがする。

微々たるものなのだが、今までこんな感覚はあまりなかった。

初めの頃に魔法を使って以来かもしれない。


重い物だと、それだけ魔力も使うのだろうか。

何はともあれ、巨石は私の前にふわりと浮き上がっている。

ならあとは小さくするだけ。

ギュギュッと力を込めて、小さな珠に閉じ込める。

ビー玉サイズに圧縮して、カバンへ放り込んだ。


「終わりましたよ。」

くるりと後ろを振り返ると、マキタが乾いた笑顔で突っ立っていた。


「期待はしていたけど、まさかこんなにあっさりと……」


「自分でもできるかどうかわかりませんでしたが、

 やってみたらできるものですね。」


「と、とにかく、ありがとう。これで王都への道を復旧できる。

 お礼については戻ってから改めて話そう。」


それから、マキタは状況の調査、復旧の指示をテキパキと終わらせ、

私たちは一度屋敷に戻ることにした。

驚きつつもやるべきことはしっかりこなす、ナイスガイでした。

私には到底できる気がしない。


屋敷に帰った私に用意されたのは、

机にこんもりと積まれた金貨の山だった。


「えーと、マキタさん。この金貨は。」


「ああ、今回の報酬だ。金貨二百枚を用意した。」


金貨って、一枚で十万円相当だったよね。

ということは……これでおおよそ二千万円。

にせんまんえん………。


「いくら何でも多すぎではないですか。」

お金は大好きだが、対価に不釣り合いな大金を得るのは怖い。


「そんなことはない。君がいなければ、あの岩に対処するために、

 もっと多くの費用を要しただろう。それは正当な対価だよ。」


「そ、そうですか。で、では、遠慮なく。」

黄金の匂いは魂をとろけさせる。

頭がクラクラしながらも、とりあえず圧縮してカバンにしまい込んだ。


「では、私はこれで失礼します。」

大金を持ったままうろつくのは落ち着かない。

早く家に帰って、なんとかしたい。


「そうか。それでは送りの馬車を用意しよう。」


「いえ、大丈夫です。帰りは一人で帰れますので。」


「町まで歩いて戻るつもりかい。危険だし、かなりの距離があるから

 それはよしたほうがいい。急ぐなら馬車はすぐに用意するから。」


「ご心配なく。帰る手段はあります。」

そういって、私は体を浮かせてみせる。


「それでは、これにて失礼します。」

一礼したのち、空中に飛び上がり、高速で森へと飛び立った。


マキタとリースは、飛び去った私を、あんぐりと口をあけて

見つめていた。

「まさか空まで飛べるとは。あの子は一体……。」


「そういえば、飛び立つ不思議な少女の噂も町で耳にしました。

 おそらくは……」

ハッとして、口を閉じたリースが応じる。


一方、私はといえば。

人前でむやみに魔法を使わない、ということなどすっかり忘れて、

お金をどうしようかと頭がいっぱいだった。

やはりお金は人を狂わせる。


家にたどり着いた私は、小分けにした金貨を

色々な場所に分散して隠してまわり、

「これだけ大金があったら、もう働かなくていい!」

と、自堕落な日々への期待を膨らませていた。

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