30.どこまでできるかな。
さて、今できることを試してみようと思う。
部屋に戻った私は、手始めに椅子を浮かせてみる。
このくらいは余裕余裕。
次は、あの大きなベッドを浮かせてみる。
ベッドを囲むように範囲を指定して……
と、これもやすやすと浮かび上がる。
試しに圧縮もしてみる。
ベットは手のひらサイズの珠になった。
重さもほとんど感じない。
珠の中に小さなベッドが浮かんでいるのが見える。
浮いた状態のまま圧縮されているようだ。
これなら、持ち運びに困ることもない。
岩の重さを考えると、もっと大きな物で試したいけれど、
この部屋にベッド以上のサイズの物は見当たらない。
夕食までの運動にと、屋敷の中や庭をぶらぶらと散歩して時間を潰す。
そして、夕食では、またフルコースが振舞われ、
私のお腹は再びポンポンに膨れ上がった。
食後は広々としたお風呂。
湯上りには私にぴったりの大きさの寝間着が用意されていた。
なぜ、この屋敷に女児の寝間着が……。
少々の疑問はあるものの、高級ホテルに泊まったような
贅沢な一夜を過ごすことができた。
翌日、朝食を済ませていつもと違う出で立ちで現地へ向かう。
襟から胸元にかけてフリルのついたブラウス、
刺繍の施されたスカート。
用意されていた服を身につけると、どこぞのお嬢様になった
ような錯覚に陥る。
服には無頓着な方だったのだけど、なんというか
こういう服をいざ着てみると、洋服選びを楽しむ
女子の気持ちがわからないでもない。
馬車に揺られること数時間。
日が高く登るころには、現地に着き、
私の目の前には、でんっと大きな岩が鎮座していた。




