表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生活は木の上で ー幼女となったニートー  作者: にゃんたこ
一章:パチスロニートは幼女の夢をみるか。
29/37

28.領主からの依頼。

丁寧に整備された庭園を抜けて、屋敷に入る。

扉を開けると、ダンスでもできそうな広いホールがあった。

ふかふかの緋色の絨毯、吹き抜けになっていて4mはあろうか

という高い天井、ホールの奥には左右に階段が伸びている。


リースの案内を受け、客間に通される。

領主様へお声がけしてくる、ということで彼女は席を外した。

しばし、ここで待つことになったのだが、手持ち無沙汰だ。


ソファに腰をかけ、足をぷらぷらさせて、室内を眺める。

日当たりの良い二階の客間、大きな窓の外には先ほどの庭園が見える。


モスグリーンのヴェルヴェット張りのソファー、

艶のある濃い飴色の机。マホガニーだろうか。

調度品の一つ一つが空間に高級感を出している。


なんとなく場違いなようで、落ち着かない。

少しすると、メイドさんが淹れたての紅茶と焼き菓子を持ってきてくれた。


領主様がくるまで待っていた方がいいのだろうか、

しかし「お召し上がりください」と置いてくれたし、

待っていたら紅茶は冷めるし……


うむむ、偉い方々のルールなど考えてもわからない。

ここは子供らしく遠慮なくいただくとしよう。

と、考えることを放棄した。


マドレーヌのような焼き菓子はしっとりとしていて美味しい。

紅茶も良い香りだ。詳しいことはわからないが、きっとこれもよいものだ。

食べ終わって一息ついていると、扉をノックする音がして、

リースが入ってきた。

そして隣には三十路前後の青年が立っている。

慌てて立ち上がりお辞儀をする。


「初めまして、マコト。僕が領主のマキタ。この度は遠方からすまないね。」

栗色の髪の毛をした青年は、私に右手を差し出した。


握手、握手なのか。


「初めまして、マコトと申します。私にお話があると伺いました。

 お力になれるかどうかわかりませんが、よろしくお願いします。」

私も右手を差し出し、手を握る。

大人の男の手は大きかった。

私の小さな手では握りきれず、きゅっとつかむ感じになってしまった。


着席を促され、席につく。


マキタは空になったお皿とカップに目を向けると、頬を緩ませ、

「紅茶とお菓子を気に入ってもらえたようでよかった。

 ああ、君おかわりを。」

と、メイドさんに声をかけた。


領主というと、厳しいおじさんや、ブクブクに超えた中年を

想像していたのだが、出てきたのはおっとり系のお兄さんだった。


「さて、早速なのだが君へお願いごとについて話をしたい。」

カップを机に置いて、マキタが話し始める。


「はい。私の魔法に関することだと聞いています。」


「うん、そうなんだ。君の魔法は、大きいものを小さく圧縮できると

 聞いている。どの程度の大きさのものまでできるんだい?」


「うーん、限界まで試したことはありませんが、両手に抱える量くらい

 までならできます。」

追加のお菓子をもぐもぐしながら、両手を広げて大きさを伝える。


「そうか、実はお願いしたいことというのは、岩の撤去なんだ。」


「岩、ですか。」


「ここから王都へ向かう街道があってね。途中の山道で土砂崩れがあって

 道を岩が塞いでしまっているんだ。」


「なるほど。私の魔法でその岩を小さくして動かせないか、ということですね。」


「そのとおり。もちろん報酬は用意する。動かせなかったとしても

 相応のお礼はする。一度試してみてはもらえないだろうか。」

手を組み、肩をずいっと前に出してマキタが語りかける。


私からすれば、デメリットはない。

失敗しても咎められる雰囲気はないし、むしろお礼までもらえる。

ここにきている以上、断って帰る意味もない。


「わかりました。失敗しても構わないのなら。」


「受けてくれるのか、ありがとう。」

パァっと彼が笑顔になる。

元から細い目をしているので、ずっと笑っているようにも見えるのだが。


「成功する保証はありませんよ。あまり重いものは試したことがないですし。

 それで、今からすぐに向かいますか?」


「ああ、成功すれば儲けものくらいの気持ちで構わない。

 向かうのは、明日にしよう。ここからは少し距離があるので

 今からだと夕刻になってしまう。」


「わかりました。ええと、私は明日にまたくればいいでしょうか。」


「いや、町まで戻るとなると、明日もまた同じくらいの時間になる。

 今日はここに泊まってもらいたいのだが、よいだろうか。」


両親のことについては触れず私の都合だけを確認するということは、

リースから私の状況を聞いているのだろう。

であれば、説明する手間も省ける。


「ええ、大丈夫です。特に急ぎの用はありませんので。

 ただ、泊まると思っていなかったので、用意がないのですが……」


下着とワンピース一枚なので、大したものでもないのだが。

ここで洗ってすっぽんぽんで眠る訳にもいかず、

かといって同じ服装で翌日も、というもの女の子としてはどうだろう。


「それについては、一通り用意させよう。あとで部屋に運ばせるから

 なにか足りないものがあったら、遠慮なく言ってね。」


「私が部屋まで案内しよう。」

ずっとマキタの隣で立っていたリースがこちらに声を掛ける。


「では、僕は一度これで失礼するよ。後ほど昼食で。」

マキタは席を立ち、部屋を出て行った。


リースに案内を受けて、客室へと向かう。

通された部屋は、なんというか、広かった。

三十畳はあろうかという空間。

ふかふかのベットは、あれはクイーンサイズか。

私だったら三人は軽く寝転がれる。


「じゃあ、昼食の支度ができたら呼びに来るので、

 それまで寛いで過ごすといい。」

リースはそう行って部屋を出て行った。


これだけ豪華な空間だと、逆に寛ぎづらいよ。

とりあえず、ぼふっとベッドに体を預け、目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ