表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生活は木の上で ー幼女となったニートー  作者: にゃんたこ
一章:パチスロニートは幼女の夢をみるか。
28/37

27.馬車の旅路。

ガタガタと音を立てて馬車は進む。

御者を除けば、リースと二人っきり。


年齢からすると、女子高生と二人きり。

以前なら緊張のあまり素っ頓狂な会話をしたところだろうが、

今の私は、小さな女の子だ。

こちらから気を使って話題を振る必要もあるまい。


初めて乗る馬車を楽しんでいる風を装って、自然に時間を

過ごすとしよう。実際に、馬車には初めて乗っているし。

ホロから身を乗り出して、景色を楽しんでいる感じを醸し出す。

うむ、これでどこから見ても無邪気な幼女だ。


視界を町並みが流れていく。

ゆっくり走る自転車くらいの速さだろうか。

馬だから早いと思っていたのだけど、

ガタガタ揺れることもあって、思ったほどの速さではないみたいだ。


町を抜ければ、風景はがらっとかわる。

町の近くでは、畑もちらほらあったのだが、

離れるにつれて民家はなくなり、ただただ広がる草原。

遠くの方に、林や山が見える。


人にまみれて過ごす以前よりは、こちらの方が好みだ。

こういう世界なら、衣食住が大変だったりするものだが、

幸い私には、魔法という力と森の家があるおかげで、生活に困らない。


この世界の寿命はわからないが、長くてもあと80年ほど。

この世界でのんびり暮らすのも悪くない。

そんなことを考えながらニヨニヨしていたら、

リースから声がかかった。


「ずいぶんと嬉しそうに外を眺めているが、町の外が珍しいかな?」


おっと、つい表情にでていたようだ。

何もない風景を見つめて、ニヤついているのも変だろうか。


「町と近くの森しか行ったことがないので、

 こういう景色は新鮮なんです。」


「そうだったか。では、ずっとあの町で暮らしていたのかな。」


「そうですね。家は森にあるのですが、あの辺りで生活していました。」


「ふむ。貴女のような見た目で、魔法も使えるとなれば、

 噂になりそうなものだが……。」


と、言いながら私の顔や体をじっと見てくる。

こんな美少女の透き通った瞳で見つけられると、ドギマギしてしまう。


「え、えっと。私の見た目は変わっていますか?どこか変でしょうか。」


「ああ、いや、そういう意味じゃない。貴女はとても美しく、綺麗だ。

 それに珍しい魔法を使えるとなれば、もっと早く噂になっていても

 おかしくないと思っただけさ。」


これは、褒めてくれたのだろうか。


「ありがとうございます。もともと、森で過ごしていて、町に出たのも最近なんです。

 これまでは私のことは誰にも知られていなかったと思います。」


それから、私の普段の暮らしの様子や、リースさんのこと、

このトーショ地方の様子などについて、話をした。


彼女は数年前から領主の下で働いているそうだ。

当初はメイドさんとして仕事をしていたが、

敬愛する領主に近い場所で働きたいと思い、

頼み込んで執事の仕事をしているらしい。


うん、前向きに仕事ができるって素敵なことだね。

働く気力さえ失った私とは違う。あまりに眩しい。

いや、今は子供、子供だからそんなこと考えなくていいんだ。


そんなこんなで話をしているうちに時間は過ぎ、

馬車が止まった。


「到着しました。」

御者がこちらを振り返り、声をかける。


「うむ、では降りよう。」

リースが先に出て、降りようとする私の手を引いてくれる。

手につかまりながら、馬車からぴょんと飛び降りた。


目の前に見えるのは、ゲームで見たようなお屋敷。

大きな門の向こうには、庭園が広がり、

奥の方に建物が見える。

あれが領主の館なのだろう。


「さぁ、こちらへ。」


リースが私の手をとり、ゆっくりと屋敷に向かって歩き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ