自称ヒロイン再び
疲れる昼休みも残り十分くらいになった時に荒々しく扉が開かれる。
「居たっ!」
大声を上げる少女に和希は更なる疲労を感じる。
「何よわざわざ探してあげたっていうのに。」
「……。」
胸を張る彼女に何か言葉を掛けるべきか和希が悩んでいると、一つの影が動く。
和希は反射的にその影を追ってその腕を掴んだ。
「……何で。」
「……。」
影――紅葉は不満そうな顔で和希を見つめる。一方、反射的に紅葉の手を掴んだ和希はこの状況を考える。
紅葉は何故だか知らないけど急に昨日何故か自分に突っかかってきた少女に攻撃を仕掛けようとした。
そして、紅葉が動いて何か仕出かそうとしていた事を本能的に悟った和希が紅葉の手を掴んだ。
そう和希が分かるのはここまでだった。
何故、少女が自分を探していたのか。
何故、紅葉が少女を襲おうとしたのか。
そして、外野の二人、瑛瑠と桂子がまるで親の仇みたいな目で少女を睨んでいるのか、和希には分からなかった。
「和希ちゃん。」
「……攻撃しない?」
目で離してと訴える紅葉に和希は溜息と共に言葉を発する。
しばし悩む紅葉だったが、渋々と頷く。
和希はホッと息を吐きながら紅葉から手を離す。
「な、何なのよっ!」
訳が分からない少女は怒鳴り、和希は苦笑しながら口を開こうとするが遮られる。
「和希ちゃん、そないな子と話さんでええで。」
「そうそう。」
「ん。」
「あんたたち失礼じゃないっ!」
ビシリと音を立てて瑛瑠を指さす少女に瑛瑠は面倒臭そうに目を眇める。
「うちは本音を言ったまでやで?」
「何なのよ、あんたたちは。」
「それはこっちのセリフ。」
「せやせや。」
「和希ちゃん、どうする気?」
「もし、自分勝手の理由だったら、先に抹殺するから。」
「せやね。」
桂子の言葉にクツクツと瑛瑠は笑う。
「さーて、どう料理しようかしら?」
「やっぱり、貴女たちはわたしが幸せになるのを邪魔する壁なのねっ!」
少女の言葉に和希は訳が分からず困ったような顔をし、紅葉はいつもの無表情のままだが心の中ではどうやって抹殺するか考える。
そして、残る二名は……。
「何でうちらがあんたの幸せの邪魔をするライバルキャラやねん。」
「現実と妄想を区別したら?」
黒い笑みを浮かべ、少女と対峙する。
「何よ、わたしは冬牙様と幸せになりたいの。」
「そんな一方的な目的の為に和希ちゃんを巻き込まんといて。」
「言っておくけど、あたしたちは君みたいに暇人じゃないのよ。」
「何ですって。」
少女は瑛瑠と桂子を睨み、瑛瑠は馬鹿にしたように少女に向かって鼻で笑い、桂子はこっそりと和希と紅葉に教室に帰るように手を動かす。
和希は一瞬躊躇するが、時間も時間なので二人に甘えて紅葉の手を引いてこっそりと屋上から逃げた。




