壊れてしまったよう
あの後特に何も問題もなく食事を終えて、和希は片づけの為に流し台に立ち、そして、突然脱力する。
「ああああ……、私何やっているのよ……。」
いくら、小さい頃の彼をはっきりと覚えているからと言って完全に自分よりも年上になってしまった彼に説教するなんて、と和希は少し落ち込む。
しかし、和希は説教をやめる事はないと確信していた、否、むしろ、自分の性格上彼の躾を無意識に実行していくだろうから、これから何度でも彼とぶつかりその度に落ち込むだろうと、予想している。
「……よしっ!」
自分の頬を叩いて和希は喝を入れて食器に向き合うと、ふっと先ほどまでどこを見てたのだと言いたくなるくらいに綺麗に人参だけを避けられた皿を見て顔を引きつらせる。
「ふーん……。」
和希は満面の笑みを浮かべている、しかし、その眼は決して笑っていないのは自分でも分かっていた。
「へー、そう、そうなんだな。」
低い声はどこか一輝に似ているのだが、残念ながらこの場には和希一人しかいないので誰も気づいていない。
「いつまで経っても餓鬼は餓鬼なんだな、よーく分かった、それなら、俺も容赦しねぇからな。」
お節介な一輝の一面が浮かび上がっている事に、和希は気づかない、彼女は暗い笑みを浮かべ、そして、明日の朝食のメニューを決めるのだった。
「そっちが、その気なら、容赦はしないから、ふふふははははっ!」
和希は笑い始めると個室に籠った冬牙が悪寒を感じて震えたのだが、残念ながらその原因を彼が知る由もなかった。




