もう、帰ってもいいですか?
「…………もうやだ、帰りたい……。」
本気で涙目になる和希だったが、残念ながらこの集まるメンバーに彼女を慰める人物はいない。
なにせ……。
「和希ちゃん、止めたから、仕方ない。」
「そうそう、和希ちゃんが止めるからうちらは仕方なしに~、ね~。」
「君よかったね、和希ちゃんが優しい子で。」
「ははは、本当にお前らこえーな。」
このメンバーなのだ、誰がストッパーになるか、と問われるとそれは和希しかいないのだ。
「何なのよ、このメンツは…。」
「えっと…ごめんなさい。」
「そもそも、あんたがあの人を紹介しないのが悪いんじゃない。」
「いや、知らないモノを紹介しろなんて……。」
前世の自分ならいざ知らず、今の和希は冬牙の住んでいる場所も今どうしているかなんて知る訳がないのだ。
「本当に使えないわ。」
「えっと、他の人はダメなの?」
冬牙以外なら自分が関わらないような気がしてそう口にすれば、自称ヒロインは和希を睨んだ。
「「冬牙」様が一番かっこいいし、それにお金持ちだもん、きっと将来はバラ色ね。」
「……。」
自称ヒロインの言葉を聞いた和希はスッと頭が冷えた気がした。
「かっこいい、はいいけど…お金持ちだからはないんじゃないかな?」
「あら、僻み?嫌ね、これだからモブは。」
「………。」
和希は唇を噛む、もし、ここで何かを口にすれば絶対にこの言葉を口にしてしまいそうだから。
そう「ずっと俺が守って来た冬牙をそんな目で見るな、この常春頭め」って……。
そんな事を口にすれば今の自分を失う事になるし、同時に前世の自分も失う事になるだろう。
それは嫌だった。
「あんたの妄想はどうでもええけど、勝手にゲームキャラとか言われる和希ちゃんの身にもなってみぃや。」
「何故、わたしがモブを気に掛けないといけないの?」
「あかん、完全にいかれとる。」
「殺っちゃだめ?」
「紅葉ちゃん、気持ちはごっつい分かる、分かるけど、犯罪はあかんで。」
「そうそう、その箒なおしてちょうだい。」
「や。」
「や、ないやろ?」
「無理。」
「無理じゃないし。」
「ヤダ。」
「………おい、神崎。顔色悪いぞ。」
「えっ?」
和希はキョトンとするがその顔は真っ青だった。
「わわわ、よう、気づいた空也グッジョブやっ!」
「サンキューな、と言いたいがマジで大丈夫か?」
「大丈夫だよ?」
「和希ちゃん、帰る。」
「そうだね、この残念妄想自称ヒロインはこっちでどうにかするし。」
「せやせや、後で連絡するから帰った方がええで。」
「でも……。」
「あー、今回はオレも暴走せずちゃんとストッパーするから帰れよ。」
須藤空也がそう言うと、和希はホッと息を吐いた。
「それじゃ、お願いするね。」
「頼まれた。」
空也は己の胸を叩き、いたずらっ子のような顔をする。彼はこのメンバーの中である一点で暴走しなければ和希の次に頼りになるので、彼がそう言うので和希は彼に彼女らを頼むことにした。
「それじゃ、帰るね。」
「ああ、また明日。」
「ちゃんと、あったまってねぇや。」
「気を付けて。」
「無理しちゃだめだからね。」
「うん、お先に。」
和希は淡い笑みを浮かべてその場を立ち去った。




