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サマーデイ14  作者: レオ
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サマーデイ14 前編

 夏の暖かい風が教室のカーテンを揺らした。


ケイは、時計が見えるのにわざと「今何時だっけ。」と、隣の子に話しかけた。


「11時15分。」

隣の子は、不思議そうに答えた。

髪が長く、比較的頭の良さそうな顔立ちだ。


ケイが初めてその子に出会ったのは、このときだった。


「そういえば、名前聞いてなかったね。僕は、竹原ケイ、君は何て名前なの。」


「山村コトネ。」


恥ずかしそうにそう答えた。


「そうか、お互い仲良くしようね。」


小学生の頃は友達もあまりいなかったが、この時は自分でもびっくりする程喋れたような気がした。

すると、彼女は笑顔でうなずいた。



 それから暑い夏が終わり、少し月日が経った。


だが、この年の12月、ある事件が起こった。

コトネの妹が交通事故で亡くなったのだ。


コトネは、三人姉妹の長女で小5と小3に一人ずついる。

今回亡くなったのは、次女のハルカだった。

とても寒く外は雪の中、ハルカの葬式が行われた。


その日と、それから数日ほどコトネは学校に来なかった。

ショックで食事も喉を通らなかったのだ。

コトネの父親は、仕事であまり帰って来ず、母親は現在小3のサクラを産んだ後、病気で亡くなっていた。

もともと体が弱かったからなのだろうか。


しかし、コトネはそうは思わなかった。


気のせいかもしれないが、コトネにとって大事な人が2人もいなくなった今、とてつもなく大きなショックを受けている。



 ケイの父親は、警察官だった。

12年程続けていて、今はベテランだ。


ケイは、現在テストの点数が悪くもう勉強の真っ最中だ。

お母さんに「これ以上成績が悪かったらゲーム取り上げるわよ。」と言われ、それから10日間勉強を頑張っていた。一度やる気になれば、続けられるのが彼のいいところなのだ。

所詮遺伝だと思うが。


コトネが学校に来なかったことが、最近頭から離れない。実質初めての友達なのだから。



 それから結局コトネは、今年は終業式の時だけしか来なかった。



そして、このままケイは中2の春を迎えた。

5月1日、コトネは中2になって初めて学校に来た。


心無しか、その顔は少し笑顔にみえた。


「もう大丈夫。」

コトネからケイに話しかけた。


「本当に?」


ケイは、心配そうに聞き返した。

会話は、それから途切れてしまった。


昼休みの終わりのチャイムがなった。

今日は学校が早く終わったので、コトネは走るように帰って行った。


ケイは、テニス部に所属している。


実は、ケイはテニスが県大会に出る程の腕前を持っているのだ。

明日は、テニスの大会があったのでコトネの顔を見向きもせずテニスコートに歩いて行った。


 大会初日、テニスのダブルスでケイと同じ程の腕前を持つ中村カイトとペアを組んだ。


中村カイトは、小学校もおなじで、ずっと仲が悪かった。案の定中学校に入ってから、口一つ聞いていない。竹原・中村ペアは決勝まで残った。







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