お宝を探せ! 前編
昨日は、飲みすぎてしまった。二日酔いで痛い頭を押さえながら、今日もギルドに向かう。
「おはよう、オーラム!今日は祭りよ!」今日のウィットは、やけにテンションが高かった。
「頭に響くので、そんなに大きな声を出さないでください。それで、祭りってどこかで開かれるんですか?」
「そういう祭りとはちょっと違うわ!冒険者たちにとっての祭りよ!!」
「お姉様、もう少し詳しく説明していただけないか?」僕も同じことを思った。僕らにはなにも伝わっていない。
「バルフートが、ウィッティヒ洞窟に現れたらしいわ!これは祭りよ!!」まだ全然言わんとしていることが分からない。
「ウィッティヒ洞窟って、深層部が海に面している洞窟ですよね?色々な魔物がいるという。」
「そうよ!その海面から、バルフートがやってきて洞窟内に排泄していったの!!」
「は、排泄??」「お、お姉様!?」ちょっと?ウィットさん??
「バルフートの排泄物は、超高値で売れるわ。ただ、バルフートは自分の排泄物を隠すらしいの。それを冒険者たちが見つけるという祭りよ!!」
うら若き乙女が、人前で排泄物とか言わないでほしい。
「それで、今日はいつもより、ギルド内に人が多いんですね。」
「他の冒険者も皆、ウィッティヒ洞窟に向かうという訳か。」
「そうね。抜け駆けを防ぐために、洞窟には全員一緒に向かうことになっているわ。」
こいつら、みんな魔物のう◯こが目的なのか・・・
「それでは、ウィッティヒ洞窟に向かう冒険者の人たちは出発しまーす!」
ギルドの職員が先導するようだ。僕らも付いていく。ウィッティヒ洞窟は、ベルセリウの東に位置するディールズ海の近くにある。洞窟までの道のりを歩いていると、後ろにいたムキムキの冒険者に話しかけられた。
「おい、久しぶりじゃねえか。あの時はよくもやってくれたな?」
「えっと、どなたでしたっけ?」
「アーゴン級冒険者のベリルだよ!ウィットゴードちゃんを巡って決闘しただろ!!」
「ああ、アセトンかけた人か。お久しぶりですね。」ウィットはイリスの陰に隠れて、話しかけられないようにしていた。
「言っとくけどな、俺様がお宝を手に入れて、今度こそウィットゴードちゃんとパーティを組むんだからな!」まだ諦めてなかったんだ。
「はぁ、頑張ってください。」言いたいことだけ言って、前方の集団に合流していった。
「お姉様、さっきの筋肉男となにかあったのか?」
「何も無いわよ。ただ、あいつがストーカーなだけ。それよりも、あいつがお宝を手に入れたら、またストーキングされてしまうわ。絶対に私たちが先に見つけるわよ!」
「はい、もちろんですお姉様。」
ウィッティヒ洞窟に着き、続々と冒険者たちが中に入っていく。
「ウィッティヒ洞窟はかなり広いわ。はぐれないように気をつけるわよ。」
「それで、目的のお宝はどんな見た目なんですか?」
「琥珀みたいな色をしているわ。小さいものから大きいものまでサイズはまちまちね。」
「早速、魔物のお出ましだ。」イリスはそう言うと、現れたコウモリの魔物を槍で倒した。
「弱い魔物ばかり出てきてくれたら、探すのも邪魔されなくていいのにね。」フラグみたいなことを言わないでほしい。
イリスの話では、岩陰にあることが多いということだったので、注意して探した。そもそも、なんで魔物の排泄物が高価なんだろう?形状によっては、触りたくもないと思った。しかし、全く見つかる気配はなかった。少し、休憩しようかと思っていると、
「うわぁぁあああああああ!!!」すぐ近くで、人の声がした。
「何かあったわね。急いで声の方に向かうわよ!」僕らは洞窟の奥へと走りだした。
ソロの冒険者が、ゴブリンに襲われているようだった。ゴブリンの数は5匹程度だが、冒険者は武器すら抜かず、逃げまどっているだけだった。近くに人がいて、僕の魔法は使えないので、ウィットとイリスがゴブリンたちを倒した。
「これくらいの量ならゴブリンも大したことないわね。」
「上位種のゴブリンでなければ、相手にならぬな。」頼りになるパーティメンバーだ。
「あ、あ、ありがとうございます。」僕らよりも年上そうな冒険者だが、ゴブリンから逃げていたということから、戦闘には不慣れなように見えた。
「とにかく無事でよかったわ。私はウィットゴード。それで、こっちがパーティを組んでいるオーラムとイリスよ。」軽く会釈する。
「本当に助かりました。私はフルオライトと申します。農家をしていました。」
「どうして、農家から冒険者に転向したのかしら?」
「実は、持っていた畑すべてを魔物に荒らされてしまい、恥ずかしい話ですが、収入が無くなってしまったのです。妻と幼いわが子のために、どうにかして稼がねばと思い、冒険者になったのですが、私は魔法の才能が無く、魔物を狩るなんて無理でした。それでも、今回のクエストは魔物を倒す必要がなく、一攫千金のチャンスだと思ったのですが、さっきのように魔物に襲われてしまい、それも難しいでしょうね。」
「もしよかったら、今回だけ一緒に行動しますか?」良心からそんな言葉が出た。
「そんな、私なんて足手まといでしかないですよ。」
「別にいいわ。ここで、別れてまた襲われたら、目覚めが悪いし。」
「2人がそう言うんだ。ともに行動すればよかろう。」
「みなさん、本当にありがとうございます。」フルオライトは泣きながら感謝を述べた。
今回は特に解説することは無いですが、次話で排泄物の正体が明らかに!?




