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むっとした潮風の吹き抜ける屋外駐車場。

京太郎は、愛車である抹茶色のMINIの助手席ドアを乱暴に開け放つ。


「いや、乗らない!乗らないから!」

なおもじたばたと暴れる伊住馬を、京太郎はかさばる荷物でも詰め込むかのように、

狭いシートへ有無を言わさず押し込んだ。


ドアを叩きつけるように閉め、助手席の中で何事か叫んでいる青年を完全に無視して、

自らも運転席に乗り込む。京太郎は息をつく間も与えず、さっさとキーを捻って古いエンジンを始動させた。


「……暴れるな。いい加減にしろ!」

狭い車内でなおも身をよじり、甲高い悲鳴を上げ続ける青年の肩を、

京太郎は片手で力ずくでシートへ押し付けた。そのまま逃げ場を奪うように距離を詰め、低く凄む。


「誰だ?名前と、帰りたい場所を言え。どうせ家だろう?そこへ送ってやるから」

その有無を言わさぬ圧に、青年の抵抗がぴたりと止まった。

男の骨格には到底そぐわない、怯えたような上目遣いが京太郎を捉える。


「……おうち?わたしの、家に……?」

張り詰めていた糸が切れたような、か細く幼い響きだった。

その言葉を引き金にするように、青年の身体から頑なな拒絶の力がふっと抜け落ちた。


「そうだ。家だ。でも、ひとつだけ理解しておけ。君はもう――」


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