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第一段④ アヤネとカガセオ

夜になり、夕食が終わった頃。

居間でナミカがナギトと遊んでいる中、カガセオは、アヤネに向かって真剣な表情で問いかけた。


「奥様、これからナギトちゃんをどうなさるおつもりで?」


「……これを」


アヤネは、赤子とともに残されていた手紙をカガセオに手渡した。


カガセオは手紙の内容に目を通し、読み終えると、


「もしこれが事実だとすれば……極めて重大なことです」


と、低い声で言った。


「我々の側で保護すべきではないでしょうか」


アヤネは少し考え込み、静かに首を横に振る。


「長期的には難しいでしょう。まず政府の正式な許可は下りないはずです。

ですが、手紙の内容が正しければ、特権を使って事を進めることも不可能ではありません。

それに……少し調べたいこともあります」


そう言ってから、アヤネは続けた。


「あの子は、しばらくこの屋敷で育てましょう。

少なくとも、学校に入学する七歳になる年までは……」


「承知しました、奥様」


「そうと決まれば……赤ちゃんのミルクやお洋服、それにおむつも買い足さないといけませんね。

当然、カガセオさんにも手伝ってもらいますから」


「色々と忙しくなりそうですね」


アヤネは、どこか張り切った様子でそう言った。


カガセオは、少しだけ微笑み、


「昔を思い出しますね」


と言った。


アヤネは、


「ふふ……そうですね」


と、嬉しそうに答えた。



隣の部屋では、ナミカが笑いながら人差し指をナギトの口元へ近づけて遊んでいた。

ナミカの指をちゅぱちゅぱとしゃぶるナギト。


少し離れた場所から、アヤネとカガセオは、その光景を愛おしそうに見つめていた。


「……こんな幸せな日常が、永遠に続けばいいのに」


その言葉は、かつて人類が失ってしまったものへの、ささやかな祈りのようでもあった。


そして、二年の歳月が静かに流れていった……。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回は、アヤネ・ナミカ・カガセオ、そしてナギトが出会い、

家族のような時間を過ごし始めるまでを描きました。


次回は、物語が二年後へと進み、

ナギトが二歳になった頃のエピソードとなります。

タイトルは「幸せな時 流れて」です。


引き続き、お付き合いいただけましたら幸いです。

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