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兄貴はいつも俺の味方でヒーローだった  作者: みの狸
第三章

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マウンド   【桜宮八尋視点】

●桜宮八尋



全校応援に駆り出された生徒たちが、教師たちに追いやられながら、決勝が行われる球場に入っていく。

ちらほらと、不平不満の声が聞こえてくる。

野球に興味ない生徒には、応援はだるいだけだろうからな。夏休みだしなぁ。


「前に行こうぜ!」


瓜生がだらついている生徒たちを掻き分け、スタンドを駆け降りる。

試合がよく見える最前列に座って、球場を見渡す。富士山がスコアボードの後ろにドーンと見える球場。見慣れている富士だけど、球場から見る富士は迫力が違う。球場があることは知ってはいたけど、野球に興味ないから入ったことなかった。結構立派じゃん。

ここで大地たちが戦うのか。


「おお、なんか緊張してくるな」


棗が落ち着きなく、何度も座りなおしている。


「野球なんて大地と知り合うまで興味なかったけど。知ってる奴が出てるとなると、なんか、こうソワソワして落ち着かねえ」

「大地が遊びに来るんで、野球部とも顔見知りみたいになったしな」


棗と同じく、自分も野球に興味を持ったことはなかった。プロ野球もメジャーの試合もまともに見たことがないくらい興味がない。今でも野球に興味があるか聞かれたら、正直あるとはいいがたい。

大地と知り合ってなかったら、今日の全校応援もバックレてた。

それが試合がよく見える位置を探して陣取るくらい、これから始まる試合に胸躍らせている。


「相手校は甲子園常連の南海大常永かぁ」


立ち上がった瓜生が、フェンス越しに対戦チームを眺める。オレと棗も同じようにフェンスの前に行く。

見慣れたうちの野球部と全く知らない対戦校の選手。


「常永って強いのか?」


高校野球に詳しくなくても、耳にしたことがある校名だから、強いことはわかっているけど。

どのくらいの強さなのだろう?大地たちが勝てる可能性はあるんだろうか?


「強い。プロ野球選手を何人も輩出している山梨最強の学校だよ。敵側の応援席にユニフォームを着た奴らいるだろ?あいつら全員野球部員なんだよ。部員数だけでも、100人近くいて、そいつらのほとんどが野球エリート。そこからレギュラー入りした奴らがでてくるわけだからな。弱いわけねえ」


瓜生は元々野球が好きだったこともあって、どうやら、いろいろ調べてきてるようだ。


「うちは、確か……」

「……10人って言ってたよな」

「一桁違うのかよ」


そこまで戦力差があるのか。つーか、うちの野球部、部員少なくね?

練習してる人数、少ないとは思ってたけど、連合になればもっと増えるもんだと思ってた。帯那の部員も含めて、あの人数だったのか。


「大丈夫なのかなぁ。大地。サボってた印象しかねえけど」


棗の目が、大地を追う。

整列した2校の選手たちを比べると、体つきが全然違う。常永の選手たちはみんな背も高めでがっしりしている。

でも、まあ、大地は常永の選手と比べても、遜色ないどころか飛びぬけてはいるけどな。久慈も負けてない。あと、帯那の3年も。それに大地の兄ちゃんも飛び抜けて……

ん?あれって、静真だよな?


「なんで大地の兄ちゃんが、キャッチャーの格好してんだ?」


大地の兄ちゃんは、投手じゃなかったか?

じゃあ、誰が投手を……


「あれ?大地がマウンドに行く?」




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