レギュラーメンバー 【鞍掛秀俊視点】
●鞍掛キャプテン
「夏の大会のレギュラーメンバー発表するぞー」
全員集まったのを確認して、声を張る。
緊張の一瞬だ。心して聞くんだぞぉ。
「レギュラーって言っても、10人だから全員出ることになるし、緊張感ないっすね」
芦崎、お前……
「芦崎、……投手やらせるぞ?俺の代わりに」
「え?!いや、それはないから!……あ、凄い緊張してきた!」
雉も鳴かずば打たれまい。身に染みろよ。芦崎。
俺は、ちょっと本気だったからな。
氏名 学年 背番号 守備位置
静真 (2年) 1 ピッチャー
久慈 (2年) 2 キャッチャー
大地 (1年) 3 ファースト
和泉 (3年) 4 セカンド
佃 (3年) 5 サード
芦崎 (1年) 6 ショート
古二田(2年) 7 レフト
鞍掛 (3年) 8 センター
桧山 (2年) 9 ライト
乃生 (1年) 10 控え
「試合によってポジションは変わるけど、まあ、基本はこんな感じで。乃生は控えになってるけど、ローテで出場することになるから、守備はどこも守れるくらいの心づもりでいてくれ」
「は、はい!」
乃生が緊張した面持ちで頷く。
ギリギリの人数なので、全員出場機会を作るつもりだ。
よほどくじ運が悪くないかぎり、今年は1回戦負けにはならないだろう。なにせ不動兄弟がそろったからな。
「これから、背番号を渡していくから」
マネージャーが一人一人に背番号を渡していく。背番号が決まると、大会がはじまったって感じるな。
「ワシは3番か」
大地が不満そうだ。1番がよかったのか?
「慣習でファーストは3番になってるけど、規定で決まってるわけじゃないからな。希望の番号があるなら変更も可能だぞ」
静真はあまり背番号にこだわりなさそうだから1番を譲るだろうけど。兄貴というのは難儀なもんだな。
「ほいじゃあ、10番がええの。兄ちゃんが1番なら、ワシは10番じゃ」
そう来たか。
「背番号で、静真兄ちゃんとお揃い感だそうとしてるのか……」
辰海が呆れたように遠い目で大地を見つめている。静真がちょっと恥ずかしそうだ。兄貴というのは難儀なもんだな。
……大地、背番号ってそういうものじゃないけど。まあ、いいか。
「じゃあ、乃生と交換で。いいか?乃生」
「はい、かまいません」
乃生が笑いをこらえながら、背番号を大地と交換する。
「他に希望の背番号があるかー?守備は確定してないから好きにしていいぞー」
大地と背番号を交換した乃生が、背番号をじっと見つめている。
「どうかしたか?乃生。不満があるなら」
「あ、いえ、そのぉ、……重いなと思って。一桁の背番号なんて初めてなもので。オレが3番を付けていいのかなぁなんて」
乃生は小学生の時から野球をしてきたけど、レギュラーになれたことはなかったと言っていたな。一桁の背番号に重みを感じているのだろう。
「なら、俺と換えるか?オレが3番をつけて、乃生は8番。まあ、どっちも一桁だからたいして変わらないけどな」
「……8番。はい、お願いします。気が楽になるような気がするので」
3から8。たいして違いがあるようには思えないが、こういうのは気分だからな。
大会中、背負うことになる背番号。重みがあるよなぁ。わかるよ。
「他に背番号を換えたい者はいないな?じゃあ、これで決定!」
氏名 学年 背番号 守備位置
静真 (2年) 1 ピッチャー
久慈 (2年) 2 キャッチャー
大地 (1年) 10 ファースト
和泉 (3年) 4 セカンド
佃 (3年) 5 サード
芦崎 (1年) 6 ショート
古二田(2年) 7 レフト
鞍掛 (3年) 3 センター
桧山 (2年) 9 ライト
乃生 (1年) 8 控え
全員の顔を見渡すと、その目は期待と緊張に満ちている。
若干一名、緊張とは無縁の者がいるけど、まあいい。
「この背番号を背負って、夏の大会に挑むことになる。今年の夏は一度きりだ。悔いのないよう全力で、試合に臨もう」
「「「「おう!」」」」
去年とは違う。静真に負担をかけさせない程度にまでは、みんな実力をつけた。……はず。
一試合一試合、できうる限りのことをやろう。




