06
◇◇◇
(疲れたー、でもなんとかこの時間に仕事終わって良かった。おかげで家電街に来れたな。)
夜10時というのに、家電街は疑似ネオンの光や空に浮かぶ広告で明るい。
道路には車が列を成し、歩道にも人が多い。
公太は、同じニュースが映る画面がいくつも並んだショーウィンドーの前を通った。
画面はニュースを読み上げていた太縁メガネの男性アナウンサーから、目元を隠す黒蝶の仮面を着けた女性へと切り替わる。
豊満なホディに黒いタイトなドレスを合わせ、微笑みと共に手を振る姿はとても妖艶であった。
『この度、エンターテイメントの申し子と名高いMs.ロッサが衛星レクシーの総帥を退任することが決まりました。次の総帥は今後発表があるとのことですが…
Ms.ロッサが退くとは驚きです。
今後の彼女の動向にも注目していきましょう。
次は明日の天気です。明後日予定している配水管の交換の為、明日の夜は23時から雨です。
年間天気報とは異なっていますのでご注意下さい。』
(雨かー、早く帰りたいが帰れるかな〜帰れないだろうな〜)
意識せず出た深い溜め息が肩を落とした。
「そこの肩を落としたお兄さん。ちょっとちょっと。」
呼ぶ声を追って横の路地を見ると、『手相見ます』と書かれた紙が貼られた机の上にいくつもの細い木の棒が刺さった筒が乗り、その向こうに黒い服を着た60代くらいの女性が座っていた。
(占い師…
でも、この服は…シスター?
「お兄さん、ちょっと…」
(占いの呼び込みか?)
「これ見てくれる?」
(ん?)
「この人見たことない?ここらへんで目撃されたみたいなんだけど知らない?」
(まさかの人探し…)
見せられた写真には、額の端に傷のある一人の少年が写っていた。
(歳は17くらいか?)
「いや、ちょっと分かんないですね。」
「じゃあ、こっちはどう?」
今度は首に蛇のタトゥーがある厳つい顔の男の写真を見せられた。
「すみません、見たことないです。」
「そう…」
シスターは見るからに肩を落とし落ち込んでいる。
「私この辺りで商売してるから、もし見かけたら教えてくれるかしら?」
「はい、見かけたら言いにきますね。」
「ありがとう。お礼と言ったらなんだけど、占ってあげるわ。」
「えっ、別に、」
断ろうとしたが、「まあ座って座って」とイスに誘導されてしまう。




