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群青のハイネス(仮)  作者: 三屋本 三屋
第0章 月に住むあるサラリーマンの話
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男は嘘を信じなかった。


ジャケットに隠していた銃を取り出し、迷いなく銃口を向ける。


放たれた二発の銃弾は容赦なく体を貫き、滴り落ちる赤々とした血が足元を染めていった。





◇◇◇






「犬守!」



高橋さんは営業部のフロアに入ってくるなり俺を呼び、自分のデスクへと向かった。



(今度はなんだ。)



駆け足でその後を追い、椅子にドカッと座りふんぞり返る高橋さんの前に立つ。



「俺、明日から1週間出張だから、代わりにこれやっといて。」



高橋さんは宙に表示させたパソコン画面に手を置き、俺に向けて素早くスライドさせた。



(会議で何か決まったのか?)



同じく宙に画面を表示させ、送られてきた電子書類に目を通す。



(はあ!?)



書類には【継続取引停止及び契約解除】と書かれている。

承認欄には課長のサインもあった。



「高橋さん!この会社、ずっと高橋さんが担当だった顧客じゃないですか!俺に言われても困りますよ!」



(通常なら、継続取引停止が決まった取引先には営業の担当が直接話しにいく。

担当でもない営業一人だけで行くなんてことはない。しかも、契約の解除となれば尚更だ。)




「出張は半年前から決まってたことだしー

まして主張に代わりの誰かが行くのは無理だしー

急に打ち切り決まったんだからしょうがないしー」



(だからなんで俺なんだよ!)



全く悪びれていない態度にも心底腹がたった。



「なら、出張から戻って来てかー」


公太の話を高橋が割って遮った。


「そこに書いてあるだろ?"至急対応案件"って。帰ってきてからじゃ遅いのー」



(至急対応案件…

この顧客何したんだよ!)



【継続取引停止】になるのは契約事項違反をした会社が殆んどだが、同時に【契約解除】ましてや【至急対応】とまではならない。

それ相応のことをしないと"トリプル案件"とはならないのだが…



「至急対応が必要なのは分かりました。でも、担当に代わって行くなら、こう言う場合役職付いてる人ですよね?何やったか知りませんけど、流石に先方も納得しないんじゃないですか?」


「そこんとこは大丈夫だ。先方さんそういうことは気にしないから。それに、こういう経験もしといた方がお前の為だと思うわけ。滅多に経験出来ないよーこういうのー

本当俺って部下思いだよなー

ってことで、よろしくー」



(よろしくって…)



「じゃあ、俺今日はもう上がるからーお疲れー」



唖然とする俺を残し、高橋さんは帰って行った。



「嘘だろ…」




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