表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サッカーなんて、ただの調教よ  作者: やしゅまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/21

第10話『強豪・聖セレナ女学園来訪』

その日、放課後のグラウンドに高貴な風が吹いた。


「聖セレナ女学園が、練習試合を申し込んできたって!?」


顧問の一言に、部室がどよめく。

聖セレナ。地区ベスト4常連。

完璧なパスワークと守備連携で“白き戦術貴族”と称される強豪だ。


「これは……本物の“支配”を見せられるわね」


カリンは、静かに目を細めた。



試合当日。

現れた相手チームは、全員が白いリボンで髪をまとめ、どこか宝塚じみた統一感を放っていた。


その中央に立つのは──


「姫城セレス。聖セレナの司令塔よ」


長い黒髪を流し、キリッと整った眉、瞳は冷たい氷のように澄んでいる。

彼女が指一本を上げると、それだけで味方が動き出す。


「まるで……軍隊」


ヒナが呟く。だが、カリンはゾクッとするような快感を覚えていた。


(私と同じ。いや、それ以上に“支配”を極めた存在)


試合開始。

セレスは声を荒げることなく、指示だけで展開を作る。

右に出せ。止まれ。預けて前に走れ。

全員が完璧に従い、ボールはまるで意志を持ったかのように動く。


「支配って、あそこまで冷たくなるの……?」


ミオが圧倒されながらつぶやく。

ヒナも歯を食いしばるが、カリンだけは逆に燃えていた。


「……見せてあげる。私はあなたと違う、“女王”のやり方を!」



後半、試合は1-2。追いつくにはあと1点が必要。

カリンは仲間の目をひとつひとつ見て、声を張る。


「落ち着いて。私たちは命令じゃなく、互いを信じるチームよ!」


ボールが回る。ヒナから、ミオへ、ナギサへ、そして──カリンへ!


「今よ!」


彼女のパスからヒナが飛び出す。ワンタッチでミオへ戻し、最後はヒールでゴール前へ落とす──


シュート!


──外れた。ポスト直撃。歓声とため息が入り交じる。


そして、ホイッスル。

1-2で敗北。


「惜しかった……!」


「でも、私たち、通用してた!」


部員たちは悔しさの中に、確かな手応えを感じていた。



試合後。

セレスがカリンに近づいてくる。


「君の支配、悪くなかったよ」


「……皮肉かしら?」


「違うわ。ただ、私にはできない方法だった。あんなにも“仲間”を信じて戦えるなんて」


セレスはひとつだけ笑って、そのまま踵を返した。

完璧な姿勢で、背中を見せる。


「ふん……完璧主義者め。だけど、嫌いじゃない」


カリンはゆっくりと空を見上げた。


「支配じゃない。“導く女王”──私は、そうありたい」


照り返す夕日が、彼女の横顔を照らしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ