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グルメこそ最強ゲームの世界で愛の告白を!〜恋か?喫茶店の夢か!?NPC猫の店長との譲れない戦い〜  作者: 元毛玉
第一章 イートインワールド

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第三十三話 掲げた誇り

『ずいぶんと威勢が良いな。心残りを消してやる慈悲(じひ)が分からんか。良い。引導を渡してやろう』


 レオランウータイガーの鋭い眼光が俺を捉えている。

 強烈なプレッシャーに吐き気もこみあげるが、必死にこらえて(にら)み返す。

 店長を抱えて、雪煙の向こうへ閃光のように駆けぬけたTKG。


 店長は心配だが、TKGがついている。

 泰夢(たいむ)ならきっとどうにかしてくれると信じて、俺は奴と対峙した。


「こいやーーーー!!」


 喉が張り裂けんばかりの大声をあげ、ほぼ同時に互いが動きだす。

 繰りだされるテニスコートサイズの爪の一撃を回避。

 (かわ)しても大地に突き立てられた衝撃で全身が震える。


 間合いに入り、攻撃を繰りだすも分厚い外皮に阻まれ火花を散らすだけ。

 手立てを考えていたら背後から萌奈香(ローカロリー)の声が届く。


「《エンチャントヴォルケーノ》!!」


 俺の全身に力がみなぎる。

 双剣には炎が(とも)り、体中から熱が()きだしそうな感覚。

 他の魔法使いからも俺に支援魔法が集中し始めた。


「ガッツリン! 私、あの魔法やるよ!!」

「おう、やるぞローカロリー! 時間稼ぎは任せろ!!」


 ローカロリーの持つ極大究極魔法。

 詠唱時間短縮を一切受けつけず、俺のスキル影響下でも長い詠唱を求められる。


 その代わり、威力は絶大だ。

 確実に直撃させてやる。強い狙いをこめ、戦場を駆ける足に力をいれた。


『我が配下たちが滅ぼされたか……』


 他の皆が敵軍を倒し終え、ドンドンとこちらへ参戦を始める。

 ローカロリーの護衛についてくれる人たちとも目配せをして、うなずきあう。


『人よ。本物の恐怖、見せてやろうぞ!!』


 敵も後がなくなったからか、動きのパターンが変わった。

 いよいよ最終局面だ。


 味方の雷魔法に(まぎ)れ、ヒットアンドアウェイを繰り返す。

 支援魔法が大量にあったお(かげ)か、わずかながらダメージが入る手応え。


 敵の尻尾での()ぎ払い。

 迫りくるジャンボジェット級の長さの尻尾で視界が(おお)われ、逃げ場はなかった。


「上があんだよ!」


 俺は跳躍して間一髪で(かわ)す。

 数名は回避が間にあわず、死亡エフェクトが点在していた。

 安堵(あんど)したのも(つか)の間、ボスが大口をあけてこちらを見ている。


『かかったな! 死ぬがよい!』


 空中では逃げられないと判断したのか、全力の咆哮が飛んでくる。


「クチャラーーー!!」

「分かっとるで! 人使いが荒いなホンマ!!」


 空中跳躍スキルを多用した爆殺クチャラーに体を預け、二人して空を飛ぶ。

 ふり落とされないように胸の辺りを強く握ったら、クチャラーが奇声を発した。


「ちょ……へ、変なとこ触んなや!」

「わりぃ! 後でいくらでも謝るから!」


 敵の真上まで運んでもらい、俺はクチャラーから離れて自由落下を始める。

 もし、倒せたなら学区1位になれる。


 だが、本当にこの一撃が効くのか? ダメだったときは?

 空から朝日を見下ろし、落下中の一瞬の間に色んなことが頭を過った。


「んなもんカンケーねぇ! こいつをぶっ倒す!!」


 迷いをふり払い、双剣を持つ手に力を集結させる。

 こいつは店長の命を狙った。だからぶっ飛ばす。理由はそれだけで充分だ。

 大きく息を吸いこみ、怒りも全部乗せで叩きつけた。


「《鯨の兜割り》!!」


 ドゴォォォオオンンンン!!


 落下速度、無数の支援魔法、俺のユニークスキルと最強スキルの(あわ)せ技。

 1位をめざしてから手に入れた俺のすべてを、敵の脳天に炸裂させた。

 斬撃エフェクトを()き散らし、巨大な体がグラつく。


『今のは効いた。賞賛(しょうさん)に値する』

「これでも足んねーのかよ! クソッ!」


 敵の肩に蹴りをいれて後方に飛びのき、爆殺クチャラーに回収してもらう。

 地表から竜巻魔法で援護があったが、叩きつけの反撃を受けてドンドンと死亡エフェクトだけが()み重なっていった。


「このままやとジリ貧やで? どないするガッツリン?」


 爆殺クチャラーの言葉に、チラリとローカロリーの様子を見やる。

 大量の詠唱ウインドウ(ホログラム)(おお)われていて、完了まであと少しと言ったところ。


「なぁ、クチャラー。俺と一緒に死んでくれるか?」


 残された手段は命を賭しての時間稼ぎ。

 デスペナを受ければ、学区1位は絶望的になるだろう。それでも──。


愚問(ぐもん)やな。俺も店長には生きとって欲しいし、命を賭けられるわ」

「……サンキュー」


 1位はまた次にめざせばいいさ。

 店長を救う。大切なことだけを胸に宿す。

 俺を抱える爆殺クチャラーの腕にも力がこもるのが分かった。


「ほな、地獄への片道切符いこか!」

「全部出し切ってスッキリするまでノンストップだぜ!」

「俺らは下痢かいな?」


 二人して冗談まじりに口角をあげ、笑う爆殺クチャラーが敵へ突進を始めた。

 眼前に迫る要塞を思わせる巨大な敵。

 今までずっと支えてくれた爆殺クチャラーがいるから、不安も怖れもない。


 空中で加速した勢いのまま敵にスキルを()びせる。

 直撃には成功し、敵も苦悶(くもん)の声をあげるがすぐに反撃をしてきた。


 冷気を(まと)った強力なかちあげ攻撃が、俺たちめがけて繰りだされる。

 覚悟を決めたとき、突如爆発でふき飛ばされた。


「な!?」

「悪いなガッツリン! 心中(しんじゅう)やのうて。死ぬんは俺一人で充分や!」

「クチャラーーー!」


 爆発の痛みで体中がジンジンとして、涙が(あふ)れてくる。

 涙は痛いからじゃない。

 その身を犠牲(ぎせい)にして俺を救ってくれたことに心を打たれたからだ。

 死亡エフェクトに続き、爆殺クチャラーから『きばりや』のメッセージが届く。


「あぁ、お(かげ)で気合いはマックスまで高まったぜ!」


 大きくふき飛ばされたのもあってかなり遠くに着地。

 落下地点にはちょうどワンバウンドたちがいて、向こうから駆け寄ってきた。


「ガッツリン、合理的な判断をするべきだろう。あの狸を見限って課金アイテムで離脱するか、又は私の指揮下に入って全権を渡すか。10秒で回答するように」

「お前の指揮下に入る。ユニークスキルもいくらだって貸してやる。だから店長を見捨てるなんてのはナシだ!」

「結構」


 リーダー移譲に同意し、ワンバウンドの持つレンタルの能力で(うば)われ、ユニークスキルの効果が消えて脱力感と虚無感が俺を包む。


 そして、代わりに力を得たワンバウンドが、戦いに参加した多くのユニークスキルを重ねがけで発動させていく。


「……根回しがいいな」

「勝つための方程式は挑む前から組みあげていた。先ほどはお前が退場しそうで撤退プランを検討したのも事実だがな」


 本来、一人一つしか所持しえないユニークスキルを重ねがけできるワンバウンドは、途轍(とてつ)もない力を発揮する。


「《お母さんの魔法の調理術》!! 《ハウリングキャスト》!! 《エンペラーギフト》!! さぁ、これで戦えるはずだ。私の1位のために貢献してこいガッツリン」

「二重効果とは恐ろしいマネを……ま、(あば)れてくるぜ!」


 十倍の効果が二重掛(にじゅうが)けされ、百倍に高まった力を確かめつつ、俺はギフトで共有された親友のスキルを発動させた。


「《超速突進》!!」


 光一閃。

 九千倍まで引きあげた敏捷で敵の元まで一歩で到達し、そのまま切り()せた。


 ドザシュ!!

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i1046590
― 新着の感想 ―
これでも決まらないかもしれない、そう思わせる幕引きの妙を感じました。とりあえず攻撃が当たったというところで。大いに粘る、ボスのボスらしさが物語を特に刺激的にしてくれているとも感じました。今回もとても面…
 お邪魔しています。  店長を助けるために全力を傾ける様子がひしひしと伝わってきます。それに、仲間も命を懸けて強力してくれる。強というより、もう、みんなが一つの目標に向かって突き進んでいる感じですね…
 今回、仲間たちとの連携が上手く行っていますが、脱落したメンバーも多数。彼らの犠牲を無駄にせず、討伐を成し遂げられるのでしょうか。早くこの戦いの結果を知りたくてたまりません。
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