表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グルメこそ最強ゲームの世界で愛の告白を!〜恋か?喫茶店の夢か!?NPC猫の店長との譲れない戦い〜  作者: 元毛玉
第一章 イートインワールド

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/34

第二十五話 レイドボス

〜ここまでのあらすじ〜

店長の想いを受け、皆で協力して店長のラブレター作戦を手伝うことになった。

蓮華へ生徒手帳を返しに向かった際、それを萌奈香に目撃されてしまう。

萌奈香とはすれ違いの喧嘩別れをしたまま、会えずにいる。 ☜イマココ


〜登場キャラ紹介〜

・ガッツリン:多部 峰大(たべ ほうだい)

 主人公。高2。取柄はゲームの腕で負けず嫌い。


・ローカロリー:相須 萌奈香(あいす もなか)

 峰大と同じクラス。ハイスペックな天然女子。


・ソルトカット:多部 翔(たべ かける)

 峰大の双子の兄。学区1位で全国でも5本の指。


・TKG:瀬瑠 泰夢(せる たいむ)

 中学時代の同級生。中二病は高校からデビュー。


・爆殺クチャラー:鳴戸 蓮華(なると れんげ)

 ネット上の親友。関西弁が特徴のエンジョイ勢。


・ワンバウンド:埴 津丸(はに つまる)

 学区2位の男。理屈屋で余計な一言が多い。


・ガシマ店長

 喫茶店開業を目指す銀毛の猫。語尾はニャ~。


・マロン

 推定メスのタヌキャット。ガシマ店長が命名。



 あれから萌奈香とは何となく会話をしてなくて、ローカロリーとしてもログインをしていないのでVRMMO(イートインワールド)では会ってすらいない。

 俺自身、どんな顔をして萌奈香と会えばいいのか(つか)みかねている。


 そうした事情もあって、合同パーティーの面々との交流が自然と増えていった。

 周りから(おだ)てられているのもあり、レイドボスへ挑戦する機運が高まりだす。


「ガッツリンさんのスキルがあればいけるって!」

「だぜだぜ! どのみち挑むんだし初回撃破ボーナスを稼ごうぜ! それからでもタヌキャット捜索は遅くないよ!」


 神のように崇められるのは悪い気がしない。

 店長には(しか)られるかも知れないが、雰囲気に流されて討伐へ行くことに。

 出発準備を進めていると、耳と尻尾をたれさせたガシマ店長が歩み寄ってきた。


「ガッツリン氏、オラもいくニャ~」

「危ないから店長は待っててくれよ」

「だけどニャ~……」


 ガシマ店長が心配だからついてくると言って聞かない。

 正直お荷物だけど俺のユニークスキルがあれば何とかなるだろう。


「しょうがないな。店長は大人しく隠れてろよ?」

「ニャ~」


 やり取りをしている合間にも、着信ランプが何度も点灯する。

 連絡は(はに)からだ。


『ワンバウンド:共闘作戦を行う。二時間後に戦力を借り受けに向かう。報酬に関しては五種類用意しておいたので、好きなのを三つ選び、合流時刻までに回答しておけ。特に希望がなければ私が選んでおく』


 埴から散々協力要請が来ているけれど、そんな義理も余裕もないし適当に断って、以降は無視しよう。

 返信を終え、通信ステータスを「応答不可」に切りかえておく。


 これでしばらくは大丈夫。

 他パーティーの面々を見回しながら声をかける。


「では、出発します! 俺のユニークスキルがあるんで、皆さんは気負わず無理しないで大丈夫ですから!」

「「おぉ~!!」」



 ◇◆◇◆◇《期間限定の森》エリア。



 イベントで開放された区画へと(おとず)れ、しばらくは探索が続く。

 暖色系の植物たちが眼前を(おお)い、とても鮮やかな風景に映る。


 昔の紅葉を()したエリアらしく、秋の味覚と呼ばれる高級食材がたくさんとれた。

 TKGと店長はすっかり打ち解けている。


絶望のディストピア(すげーついてないぜ)大地のキスは奪われた(なにかふんでしまった)……阻む絶壁はスメルか(とてもくさいんだが)?」

「それは銀杏なんだニャ~」


 逆に爆殺クチャラーは調子でも悪いのか、妙に動きがらしくないというか、似合わない仕草が増えた。


「あ、そういやガッツリンは……」


 筋肉質な格闘家男が、手をモジモジさせている様子はちょっとキモい。

 だが、それは言わないでおこう。

 しかし、クチャラーの話が始まる前に、世界がぬりかわる程の雄たけびが(とどろ)く。


 グオオォオォォ!!


 鼓膜(こまく)(やぶ)れんばかりの音が響き、場にいる全員がガタガタと震えだす。

 程なく、不気味な光を帯びて現れる──脱出不可能を示す(ボスフィールドの)エフェクト。

 ガシマ店長が全身の毛を逆立てて大地に()した。


「なんだニャ~? この世の終わりかニャ~?」

「店長は東の区画へ走って! 早く!」

我が同胞よ(ガッツリン)信義を託せ(まかせろよ)!」


 TKGが、震えて動けない店長を脇に抱え、夕日を背に走りだす。

 安堵(あんど)しつつも圧倒的なプレッシャーを受け、ログイン前に飲みこんだゼリーが胃酸と共にせりあがってくる感覚すら覚える。


「これが噂のレイドボス……レオランウータイガーかよ」


 獅子の(たてがみ)(なび)かせ、白虎の巨躯と尾、野性味のあるオランウータンの口髭(くちひげ)(たずさ)えて現れた怪物。

 四つん()いになり、ゆっくりとこちらへ地響きと共に近づいてくる。


 その重厚感はまるで超大型の戦車。

 あまりの恐怖に声はでないし、喉にも違和感がある中、そのボスが口を開いた。


『お前がこの群れの長だな? 我の縄張りに足を踏み入れたのは無自覚か? 今帰るならば許してやろう』


 エネミーがしゃべった!?

 しゃべるエネミーは今まで実装されなかったからとても驚いたし、イベントに対する運営の本気度もうかがえる。


 それ以上にガシマ店長にとっては朗報だ。

 マロンと会話が可能な未来があるかも知れない。


「生憎、お前を倒しにきたんでな」


 俺は震える声でどうにか言い切った。

 すると、猿の口元からは考えられないような二本の牙がのび始め、吐く息には白いものが混ざり始める。


 辺りの温度が急速にさがり始めたと思ったら、(たてがみ)や長い体毛部分もすべてが白と銀で包まれていった。


『ならば我の糧となれ!』


 そう言うや否や、ボスの姿は()き消えて前衛の目の前に突如として出現。

 遅れて、立っていられない程の突風がふき荒れた。


 映る光景に誰もが目を剥くだろう。

 合同パーティーの中で最も耐久力のあったタンク役が、一撃のもとに絶命させられた。


「ガ、ガッツリンさん!」


 俺を求める声が皆からあがる。士気は低下し、発狂に近い声だ。


「いいぜ、万能感をくれてやる! スキル《お母さんの魔法の調理術》発動!」


 ここからが本番。

 味方から敏捷や認識速度を向上させる補助魔法が次々とかけられ、どうにか敵と渡り合える速度を手にいれた。

 だが、依然として敵の方が圧倒的に早い。


「なぁ、ガッツリン。アイツ、寒い方がようけ早う動けるんやないか?」

「ハッ! そうか! 魔法使い班!」

「すでにやってるぜ!」


 爆殺クチャラーの指摘で気づかされたが、敵のエリア魔法で今の低気温となっているはずだ。

 そして気温が低いほど高い能力をだす個体なのだろう。


 過去に気温が高いほど早くなるレイドボスがいたが、それの逆バージョンと考えれば自然だ。

 魔法使いが二人がかりでエリア魔法をかけ、ようやく気温の主導権を(うば)い返す。


「ハッハッハ! ずいぶんと遅くなったじゃねーか? このエテ猫野郎!」

『囀るなよ! 人間風情が!』



 ◇◆◇◆◇



「10倍に強化してこれかよ!? バランス調整どうなってんだ!?」


 魔法使いからの雷撃が空から降り(そそ)ぎ、火炎の鞭も無数に飛び回る。

 その中を無傷で切りぬけていくボス。


 最初は当てられた攻撃も徐々に回避され始め、今では当たる気配すらない。

 残像をいくつも置き()りにして、冷気を()き散らしてボスが荒れ狂う。


 TKGと爆殺クチャラーが、突進スキルを活かして再びアタックをしかけた。


「《食卓の騒音爆弾》発動や!!」

「全員、耳栓をしろ!」


 爆殺クチャラーがユニークスキルを発動させる。

 咀嚼音(そしゃくおん)を聞いたものは鼓膜(こまく)に爆弾がセットされる強力な範囲攻撃。


 しかも気力減退や精神疾患などのデバフもてんこ()りだ。

 欠点はフレンドリーファイアが深刻な点だろう。


 予め用意していた耳栓をつける。

 店長も慌てて特注品の猫用ノイズキャンセリングのヘッドセットを装着した。


 ドン、ドドン!!


 回避不能の攻撃が効き始め、多少は敵を怯ませられ、辺りは氷エフェクトよりも火の粉エフェクトの方が増え始める。


 敵は咀嚼音(そしゃくおん)を嫌がり無差別攻撃を始めたが、ヒット&アウェーが効いている。

 移動をサポートしているTKGの負担は相当だと思うが、ここは耐えて欲しい。


 爆殺クチャラーが追加のガムを口に含んだ。

 ここらが決着と判断し、周囲にもハンドサインで合図をして総攻撃をかける。


 怒涛の爆発が敵の鼓膜(こまく)を捉えつづけ、動きが鈍ったところへ無数の雷撃、足を狙った斬撃、空に逃がさないための落石が殺到する。


 物凄い爆煙が立ちこめ、その向こう側で(いなな)くボスの声が聞こえた。


「や、やったか?」

「これ勝ったよね!」


 あーもー! フラグ発言のオンパレードだよ!

 諫めようとしたら、世界が赤色にぬりかわる。


「げっ、無敵演出だ!」


 敵は無敵時間へ入り、ボス演出が始まる。

 体毛がメタリックな鎧へと変化し始めたことで、第二形態があると分かった。


 だが、士気は高いしこのまま押せる。

 そう思っていた矢先、俺のユニークスキルの光が消えた。


「は? MPは残っているのにどうして?」


 突如として失われた万能感。

 動揺する俺たちの前に、ここにいないはずの男が現れた。



───用語説明:

【レオランウータイガー】

 今回の大規模イベントで追加された七つの最強レイドボスの一角。

 VRMMO(イートインワールド)で初めて遭遇した喋るエネミーの存在である。


【スキル《食卓の騒音爆弾》】

 爆殺クチャラーの進化したユニークスキル。

 咀嚼音を聴いた相手の鼓膜を爆弾に変える、内部破壊の強力な攻撃スキル。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特設割烹へのリンクバナー
 

i1046590
― 新着の感想 ―
最強のレイドボス!!ホウダイのユニークスキルありでも、こんなに苦戦するなんて強すぎ〜!! しかも第二形態!!
プライベートが不安定な時は、ほかのことも上手くいかないという、現実のあるあるを暗示させる展開が、読んでいてとても楽しかったです。バトルのヒリヒリする感覚も登場人物のやり取り越しによく伝わってきました。…
最後! フラグ立てまくって超ピンチなところに誰が!誰が現れたって言うんですか、ワクワクじゃないすか! あと、 「あー、爆殺クチャラーさんの名前ってスキル名から取ってたんだ!」 って、ひとりで超納得し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ