プロローグ
読み切り版とは設定等が結構違います。
それでも、読んでくれたらうれしいです。
僕は今どこを彷徨っているのかがわからない。
1×年前、輝いていたところから、突然暗いところに落ちた。
最初はずっとずっと泣いた。
声が涸れようと、涙がでなくなろうと、心がすり減ろうと、
泣いて泣いて泣いてないて泣いて泣いて……
暗い暗い暗い暗い暗い暗い暗い……
そこで不意に、微かな光を見つけた。
温かく、優しく、心が満たされる、
微かな光に向かって頑張って歩いた。
頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……
歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて……
頑張って歩いても、その微かな光にはたどり着かない。
それでも歩き続けてさえいれば、微かな光にたどり着くと思った。
自分に対しての黒い感情がずっと付きまとっているのに気付いた。
絶望、失望、無念、嫌悪、嫉妬、怨望、羨望、孤独、拒絶、憎悪、侮蔑……
黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い…………
微かな光も見えなくなくなってしまった。
温かく、優しく、心が満たされる、その微かな光が。
立ち止まり、うずくまり、頭を抱え、
ここまで歩いたのだからもう十分なのではと思った。
もう頑張って歩かなくてもいいのではと思った。
頑張って歩いても微かな光にはずたどり着けないと思った。
無理して歩いた。
ずっと辛く
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと……
ツライツライツライツライツライツライ……
そこからは何も考えなかった。
頭の中も真っ暗だった。
ただただ時間が流れた。
「君の両親との約束で、君を連れていく。」
微かに声が聞こえた。
呆然と、その声のするほうを向くと、また光が見えた。
僕はもうその光に向かって頑張って歩くことはしない。
頑張って歩いても、その光にたどり着くことはできないのだと知っているからだ。
黒い感情に付きまとわれ、ずっとツライことを味わわなければならなくなるからだ。
それでもその光からは声が聞こえる
僕はその声を聴かないように耳をふさいだ
耳を塞ぎ、何も考えない、暗い黒いどこだかわからないところでうずくまる。
身体に衝撃が走った。
それはとても力強く、とても乱暴な、それでいてとても温かく、とても優しく、僕の身体の芯に響く衝撃だった。
周りを見ると僕は光に包まれていた。
温かかった。
とまどい、あせった。
そこに声が聞こえた。
すごくきれいで、優しく、それでいて芯が通った、僕に対してまっすぐな声が。
「まだまだ若いのに、そんな暗いところにいつまでもうずくまっていたらもったいないぞ!君はこれからの人生を鮮やかに輝かせることができる。周りが黒いなら、君自身が黒から違う様々な色に塗り替えたらいいんだ。色とりどりの輝く人生にしたらいいんだ。仕方がわからない?なら私が教えよう。そのあいだの色付けも私がしよう。君は歩かなくちゃいけない。弱音も吐いてもいい。ツライなら少しなら立ち止まってもいい。でも君は歩き続けなければならない。君の家族の分まで君は歩き続ける義務がある。」
と無理やり僕を今の場所から違う場所に救い上げた。
輝いていた場所に……
それが僕と先生との出会いだった。
◆ ◇ ◆
時計に指を這わせて今の時間をしったときには遅かった。
現在僕は冷や汗全開で身体が震え吐き気がしている。
いや、吐いている。
初めてもらったバレンタインデーのくそまずチョコを食べたときよりも吐いている。
先生の創作料理を食べた時よりも吐いている。
自分で初めて作った自作料理を食べた時よりも吐いている。
初めて食べた……
そんないくつもの記憶が霞むくらい吐いている。
それは、僕が今どこにいるのかがさっぱりわからないことが原因ではない。
そんな些細な事、日常を生きている僕にしてみれば当たり前のことだから。
今日は先生と喫茶店で会う約束をしているからだ。
その約束である時間はもうとっくに過ぎている。
先生はやさしい。
それは会った時に感じた温かさが分かったからだ。
それでもやばい。あの人はやばい。
約束をすっぽかしたのはまずい。
先生が亡くなった両親との約束を何年経っても覚えていてくれたから今の僕がある。
それが約束だからだ。
先生は今までの人生、約束を破ったことはない。
僕もその考えに共感し、憧れて約束をあまり破ったことはない。
あまりということは破ったことがあるのかと言われたら……ある。
先生に会う約束を一回だけすっぽかしてしまったことがある。
若気の至りだ。
気になる女の子とのデートだったんだから、僕の人生に新たな色を付けることができるから仕方ないと思った。
その時は地獄をみた。
そのときは、それはそれは真っ赤で、そして真っ青な色が僕の人生に新たな色を付けた。
僕と先生の間柄だからとかじゃなく、先生は約束を破ったら誰でも地獄を味合わせる。
ちょっと思い出すだけでも……
人間は不思議なもので、壮絶な経験をすると記憶の片隅にいつまでたっても覚えている。
おそろしい。
読んでいただいてありがとうございます。
連載するにあたって不安はありますが、応援よろしくおねがいします。
「続きが読みたい」と思えるような作品にできたらいいとおもっています。