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限界コミュ障オタクですが、異世界で旅に出ます!  作者: 冬葉ミト
第4章 ドラゴンとのいざこざで、村が大ピンチです!
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同担拒否ではないので争いたくはないですが、やむを得ません

 時は宵。山の奥に日は隠れ、夕日の残照が山脈の輪郭を浮かび上がらせています。

 頭上には一番星。太陽の光に隠れていた星が徐々に顔を見せる頃、村の空き地で向かい合う人間が2人。

 何よりも代え難い譲れぬ想いを胸に構えるは杖とマシンガン。ひたすら真っすぐに意識と目は前方の相手へのみ向けられています。

 間を吹き抜けた風を合図に中央に立つ、金髪オッドアイぐうたら系天才激カワ合法ロリ属性欲張りセット魔女っ娘フーリエちゃんが口を開きました。



「相手より先に1発でも攻撃を与えられたら勝利。ただし与えるダメージの最大はごく軽傷な切り傷またはかすり傷とする。あとさっと終わらせて」

「使う弾は樹脂弾なので安心してカタをつけられてください」

「我がフーリエちゃんの為に!」

「はいよーいスタート」



 合図と共に風魔法で補助しながら横に体を移動して射撃を回避。すかさず魔力弾を放ちますがこちらも回避されてしまいます。

 しかしこれは初手の牽制射撃に過ぎません。エリシアさんを囲うように魔力壁を展開し動きを封じこめ、続けて氷の矢を降らせます。

 エリシアさんはマシンガンを連射しながらステップで矢を避けます。私の習熟度が足りないせいで、精度を出せず囲う範囲を狭められないのが仇になりました。しかし攻撃を無力化できているのは事実。大きなアドバンテージです。



「チッ、地味に硬いですね……!わたしが銃だけに頼っていると思ったら大間違いですよ!」



 エリシアさんは膝を軽く曲げると、自身の体をすっぽり覆う魔力壁を飛越。体をしならせ、長い白髪を美しくなびかせらがら矢を回避し、そのまま横軸回転して着地。

 その身体能力に後ずさりしてしまい、その隙にエリシアさんがマシンガンを連射。とっさに壁を張りますが毎秒十数発の弾丸には防ぐにも限度があるようで、今にも割れてしまいそうなのが感覚として伝わってきます。弾倉が切れるか壁が割れるかの賭けは危険と判断して魔力壁を解除、コンマ秒の猶予なく横方向へ逃げるのを選択しました。もちろん追い風を発生させて足りない身体能力を補助させます。

 と、ここで弾倉が切れたようでエリシアさんがリロードします。



「|Rsuqcors Ka Qiem《雨のような星屑を》!!」



 空中から大量の、それこそマシンガンのごとく魔力弾を降り注がせますが、弾倉を交換し終えたエリシアさんが間一髪で回避。上着の丈をかすることはできましたが傷つけるまでには至らず、互いに一進一退。



「さあ覚悟ですよリラさん!!」



 間合いは初期状態とほぼ同じ約10メートルほど。今度も連射で来ると予測し箒を呼び出しましたが――



「甘いッ!」



 地面を蹴ると陸上選手のような速さで接近。瞬きの一瞬で間合いは1メートル以下になり、目の前に右ストレートパンチが。反射反応だけでギリギリ回避し、続く左ストレートには飛んできた箒を掴んでパンチの分だけ移動してこちらも回避。しかし間合いは離れず接近戦へ。元の身体能力に雲泥の差があるので苦しいどころではありません。

 右下から左上、左から右下など多様な腕の動きに蹴りも加わり、さらにステップと組み合わさり動きは予測不可能。私は反射反応のみの、いわば格ゲーでのレバガチャ状態。

 ……ていうかガチの格闘戦もできるってエリシアさんチートすぎませんか???



「早くしてー」

「ガヤがうるさいですね……」



 そして遂に運は尽きてしまいました。右足蹴りがしっかりと私の左脛にヒットし決着。

 まぁそりゃそうですよね。しっかりレバー入力をした攻撃に対してレバガチャでは対抗できません。文句なしの完全敗北。



「はい終了。勝者はエリシア」

「よっっっっし!!!!! これで念願のフーリエさん独り占めです!!!!」

「悔しいっ……! 悔しい…………!!」



 うぅ、こんなに屈辱的なことが他にあるでしょうか。今までずっと隣で寝ていたフーリエちゃんと一緒になれないなんて、私泣きそうです泣いた。



「リラが敗北の悔しさというまともな理由で泣いてるの初めて見た」

「申し訳ない気持ちもありますが、こればかりは譲れないので……!」

「ううっ……私の戦闘能力、低すぎ……?」

「そもそもの経験が少ないから仕方ないっちゃ仕方ないけどね。まぁとりあえず公衆浴場いこ」

「温泉!!」

「情緒不安定だね相変わらず」



 温泉回キターーー!!! 異世界に限らずかわいい女の子には温泉が鉄板! 必須条件なんです!

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