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Bパート

 あのあと充電中だったタブレットPCを持っていくために俺の支部に寄ってもらいゲームを再開する。

 機内の対面座席、同行を促した職員の後ろの壁。機体が飛び始めるとそこに設置されているモニターに男性が映る。


『さて、初めましてと申し上げる。この度の異世界、今回のパターンは転移でしたね。君は君たちの世界の敵に追われていたと報告を受けている。そこでこちらの所属の職員が保護しに向かったわけだが無事なようで何よりだ』


 俺の事だよと言うように片手をひらつかせておく。この説明は保護された時と保護した時に見るからだいたいのことは覚えている。なにせほとんど同じテンプレートをなぞっているからだ。


「その事で聞きたいことがあるのだが」

「やめとけよ。この時間帯じゃこの人の映像は先撮り系だから待っていてもこたえてくれるきゃ、から」


『残念だが今回は先撮りではなく生放送だ。わかったらゲームを切れ源蔵』


「あっ、え、はい!」


 居を正しシートにしっかりと体を付ける。毎回録画だから気を抜いていた。


『まあ、だいたいの職員も同じように気を抜いているから怒りはしない。それで質問に答える前に自己紹介をしておこう。私は日本国家所属異界災害対策室の人事兼マネージメント課の室長である倉田新屋だ。君が最初に世話になる場所でもある』

「補足にこの倉田室長はこの世界に最初に転移してきた人で、異界災害対策室を作った人の一人です」

『挨拶と現状を知っていて、後手に回るのは愚かなことだ。ならば手を打つのが最善と言うことだ。これから君の立場などの調書を本部でとる』

「了解した」

「嘘はついてもいいけど覚悟はしたほうがいいよ。嘘つきには厳しい人だから」


 前にちょろっと覗いたときにいた見下した感じのチャラ助がテキトーに喋っていたときはかなり悲惨だった。用事を済ませたあとばったり会ったらチャラ助の顔に涙あとが付いていた。


『TPOをわきまえない輩が嫌いなだけだ。少し話が過ぎたが君の質問を聞こうか』

「では、私の今の立ち位置はこの世界から見たらなんなのだ? それに私の世界はどうなっているんだ。知っているのだろう!」

『ふむ、君の質問はもっともだが、毎回同じ質問を君たちはしている。ここに来たらどうすればいいかわからないからだろう』


 癖なのだろうがそのもったいぶりかたは毎度のことだが聞いてるこっちが疲れてくる。


『後で見る映像におおまかにだが説明が入っているのだが、そうか、こんな感じなのだな。まずはじめに君の立場だが、この世界にとっては異物ではない、だな』

「異物ではない?」

「そう、排除されるわけでもなく、歓待されるわけでもなく。ただこちらに来ただけの存在だ。次元を越えるから何らかは入るがな」


 元の世界の力を持ってこの世界に来る。それは異常ではないと世界から黙認されていると言える。逆に言えば目に余る能力もあると言えるだろうな。現在、この世界にいる異世界人は千程度いるが、世界に直接及ぼすような能力を持ったやつは確認されていない。例えば時間関係、次元関係、神仏に生死を司る能力的なやつだな。世界に多大な影響を与えるらしいから。


「そうか。……? ゲンゾウ、君の能力は何か教えて貰えないか? 先ほどの排される能力に君のは似た能力ではないのか? 私たちを止めたりしていたぞ」

「ああ、あれ? あれは体を固定していただけだから停止能力でも何でもないぞ。もちろん空間じゃない。だからここに俺はいるんだ」


 ちらりとモニターに視線を向けると表側の企業説明のPVが流れ出していた。玩具からロボットまで手広く扱っている隠れ蓑の一つ『株式会社トライエクスタ』、表向きはそうなっているが、災害対策室の資金源や支給品なども作っている。


「ちなみに俺の世界はこの世界と似たり寄ったり、まあ、煮詰めたと言っても差し障りないだろう。なんせ超能力を扱う世界だからな」

「超能力……いったいどんな力なんだ?」

「あの世界じゃ半数未満が目覚める力で、五感の延長線みたいなのだ。俺の能力は空中に足場を作る能力だったよ」

「だった、とは?」

「こっちに越させられた時に付け加えられたみたいなものだね。次元を越えるなんて本来ならあり得ないことが起きたんだからなにかしらあっても不思議じゃないんだこれが」

「つまり、本来持っていた能力に加えて新しい何かを得ると言うことか」

「半分正解」


 俺の能力を言う気はないので、簡単に説明すると器に最初から入っている水が元々持っていた能力とすると、そこに新能力なら油、拡張能力が色水ってな感じ。それを次元移動などにより器の中に注がれることによって新たな能力を得る的な。


「ぶっちゃけるとなんで増えたり変化しているかはわからないがな」

「ならば私には何が起こるのだろうか」

「それについちぇは、……ついては本部に着けば色々とわかる」


 窓から見えるヘリの向かう先に動く黒い影と巨大な建物の影が見えてきた。アメコミヒーローみたいなあのビルが大企業トライエクスタ、兼日本異界災害対策室本部。その屋上のヘリポートの一つに着陸し一緒にいた役員に中まで|案内(連行)された。

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