表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/92

24 ドール種との遭遇


(フィールドボス戦…!)


思わず体が硬くなる。プルミエに来る前の白熊ボスの悪夢が蘇る。

あの時はソロじゃなかったからクリアできただけ。


(わ、私 状態異常の薬持ってきたっけ…!?)


思わずインベントリを漁る。

ホノカさんから購入した解毒薬と麻痺予防薬があったことを思い出す。

石化解除は薬はまだないと言っていた。

本来、状態異常は精神が高いとかかりにくいはずだ。白熊戦ではむしろこれらの数値が高い、私とサーシャがかかった。石化は精神以外が関係した異常なのかもしれない。


「た~すけて~」


花畑は様々な色の花が花弁を広げている。だが、種類はひとつ。八重咲の牡丹だ。


「た~すけて~…!」


さっきより聞こえてくる緩い助けを求める声が近づいてくる。その声と伴に、獣の足音も。

そして、花園を掻き分け、眼前にその全容が現れる。


『ブモウウウウ!』

「おたすけ~~~!!!」


立派な牙を逸らし雄たけび上げる赤茶の巨大イノシシ。頭のてっぺんに赤い牡丹が咲いている。サイズはマイクロバスサイズ。

そして、その頭のてっぺんの牡丹の花の中央に、国民的お人形、"ルカちゃん"よりさらに小さな女の子--がしがみついていた。


『フィールドボス:山鯨が現れました』

『山鯨は混乱している』

『秘匿ジョブクエスト"人形の夢と目覚め 1"が発生しています。クリア条件はNPC:1/12ドール種の破損率70パーセント以下でフィールドボス:山鯨を戦闘不能にすることです』


(うお!? 珍しい事前通告! なんか特殊クエストも同時発生なの? つか、あの子、お人形? まるで親指姫なんだけど)


金髪の髪を縦ロールにした小さい小さい女の子が必死の形相で花の中央に何か突き刺し、それにしがみついている。

よく見るとそれは小さな金の針。それに持ち手をつけてフェンシングで使う剣のようになっていた。それがイノシシ…"山鯨"の頭上の花の中央に突き刺さり、彼女はそれに両手で捕まっている。


(もしかして、あの子が"混乱"の原因か~!)


"山鯨"はフィールドボス、これは逃げられないと白熊ボスの時教わった。で、今の山鯨は状態異常…。

ドゥジエムのネームドモンスターには一噛みで私のHP全損されたけど、今はあの時よりレベルも上がっているし、何より装備が違う。防御力は装備によって変わるこのゲーム。


(おそらく、ファンシー、プルミエ、ドゥジエムの順で進むのが正しい攻略順。ならばドゥジエムのネームドモンスターよりは弱いと見た。そして今身に付けているプルミエに至るフィールドボス装備は最低限の防御はしてくれるはず…! だったら…)


「ジロー、あの子をまず防御して!」


言うと同時にお人形-親指姫-を指し、ジローに指示。そして罠を前方に設置してやや距離を取る。そして【鵜の目鷹の目】で見た"山鯨"の弱点は……。


「うぞ、左前脚の内側!? 頭の花じゃないの?」


いかにもな場所にいかにもな花咲かせて、違うってか。しかもその巨体をひっくり返せっていうのか、そりゃムリだ!

キリキリと弓で狙うと、"山鯨"と目が合う。

"山鯨"はまたブオーと鼻息を上げて前脚をあげて上体をそらす。

なんと、弱点見せてくれたよ、ハハハ所詮四つ脚と私は左前脚の内側にまず【2連射】。

すると身をひねった"山鯨"の頭上からバランス崩した親指姫が転がり落ちる。


「きゃあ、落ちます~!」


ジローが滑り込んで、展開したアイギスの盾で受け止める。

彼女はパーティーメンバーにいつの間にか入っており、そのステータスが見えた。

眼前に見えた彼女のHPは120。防御力は。


「生成りのワンピース、防御力…2!? 紙過ぎ!」


おうふ、もしやジローが受け止めなければ 落下したその時点でかなりのHP削れていたのでは?


「MPは250…! えっと職業"ガルドラーLv3"、スキルは【呪歌(ガルドル) Lv3】、【魅了 Lv4】、【剣術 Lv2】【裁縫 Lv3】【調薬 Lv4】…」

「きゃあ、来ますわよ、おねーさま!」


体勢崩した"山鯨"が立ち直り、またこちらを睨んで息を荒くしている。

うわ、私も冷静に対処しなきゃ。

やがて、"山鯨"がこちらに向けて突進してきた。

私はまた素早く弓を引き、【2連射】を続ける。とにかく、手数だ。命中させることに集中。思い出すのだ、天国門前の連戦を!

こちらに迫り来る"山鯨"の巨体に怯みつつもヤツが【罠】にかかることを祈り、直前で私は身を翻した。


しかし。


猪突猛進、という言葉があるがイノシシは思ったより賢い。

私がその場を動かないことで罠の気配を察知したのだろう。

ヤツは私の仕掛けた罠の上をその巨体を高く躍らせて回避した。


「うわ!」


ドシンとマイクロバスサイズのイノシシが地に降りる音が背後から聞こえて私は慌てて後ろを振り向く。

おねーさまっと叫んで親指姫はジローに騎乗してこちらに駆け寄ってきた。ナイスジロー! その子を守ってくれ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ