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14 初! パーティー戦闘 まじかよ。


「さて、フィールドに出るか。防具や武器は昼の内に購入したけど、アイテム足りるかな?」


アオハお兄さんは用意周到。

勿論、私たちもただ街中を冷やかしていたワケではない。準備OKですよ!


「私生産でポーション作ったから いる人、言ってー」


さすが、治癒師のホノカ大お姉さん。く、くださいと慌てているのはサーシャだ。


「ちなみに、私、戦闘経験ないよー」


ポーションをトレードしながら、ホノカお姉さんが爆弾発言をした。


「え?」


アオハお兄さんが素っ頓狂な声を上げる。


「だって、初クエストがあの"ファンシーの町の人斬りを捕まえろ"だもん。採取しかしていないのよ、私」


あ、そうか! 結局私だけしか戦闘していないんだ、あれ。


「じ、実は私もまだ職業Lv3です…。ここ、多分、もっと高いレベル適性ですよね…」


サーシャもそっと手をあげる。


「あ、オレも。ライトの森でスライムと野うさぎしか狩っていないから。あと、ゲーム初心者。パーティー戦闘のお約束がわからないんだけども」


ツラっと言うのはマイペース少年クロだ。

でも、私も乗っかります。


「職業Lvは5だけど、VRゲーム初心者~…。パーティー組んでの戦闘、未経験です」


リオンちゃんとのコンボはただの戦闘指南だったから除外だよね。


「おおう、マジか。あー、ま オレもLv5だしなあ。あんま変わんないか」


アオハお兄さんはまた眼鏡を直す仕草をする。


「デスペナは避けたいな。1回だけ戦闘して、戻る、でどうだ? 夜の時間帯のモンスターは昼より強い可能性あるから、貴重品は冒険者ギルドに預けてから向かうというのは?」

「ギルドで預かってくれるんだ?」

「ああ。冒険者登録していればね。有料だけど」


私たちはお兄さんの提案に同意し、持ち金に余裕があるので防具や武器を見繕ってから、ギルドに冒険者登録に行き、所持金と失いたくない貴重品を預けた。


よっし、レッツらゴーだ!





****





「うわぁ、綺麗~」


思わず感嘆の声をあげてしまう。

ドゥジエムの町を出て、草原に出るとそこは広々とした放牧地だった。

空には薄い雲が薄墨のように広がり、星空が広がっている。そして静かに月が佇んでいる。

その下には野生の電気羊が複数ふくふくと群れになって眠っている。それがほんのり淡い灯りをそこここに燈している。その灯りの色が緩やかにピンクやブルー、紫と、変化しているのだ。ファンシー。


「あれを狩るのは勿体無いな~」


思わず呟く。


「いや、狩りづらいよね…。私たち、めちゃ悪役になるわ。で、アオハ君、どうする?」

「昼に電気羊と戦闘になったけど、オレは ほうほうの体で逃げたのでオススメしない」

「ああ、あのコケたヤツ」

「クロ。今それ言わないで」


このフィールドには今私たちだけしかいないけど、多分あと数時間でいや下手したら数分で後続の攻略組みが押し寄せるだろう。

ファンシー大橋通行許可証取得イベントは初心者でも攻略可能な内容のはずだもの。

なので、今だけの この人気のない映像を撮りたい、とアオハお兄さんが言うので、今回ドッキドキの生放送です。

生がイヤなら編集して出すよ、とお兄さんが言ったが興味が勝った。

決してお姉ちゃんが麻耶さんの配信に出ていたから張り合ったワケじゃないよ。ホントよ。

クロはそれこそ麻耶さんと同じ顔だが隠す気ないらしい。


「タレントの写真を取り込む人は一定数いるし。VRゲーム用に有料配信もしているよ。加工OKなのもあるし」


クロが言う。

クロはゲーム初心者と言うが、私より詳しい。お姉さんである麻耶さんの影響かしら?

麻耶さん、でふと思いつく。


「クロはその、リアルもそれ?」


--と顔を指し示す。

素顔について聞くのはマナー違反かなと思ったがつい聞いてしまった。クロはうんと頷く。声が潜まれる。


「あんまり考えずに自分の写真取り込んだんだよね。気がついて慌てて加工したらむしろ似たんだよな。ここまで女顔じゃないから。多分、リアルの友人は俺だと分からないと思う」


あらまあ。


「でも、リアルと違うから面白いんじゃん?」


クロが言う。


そうだよねー。

ふわふわアプリコットのロングヘアをつまんで私も笑う。

フェザントアバターと美鳥リアルでは大いに違う。

それがいいのだ。



それから私たちは眠る羊を眺めながらフィールドを進む。

アオハお兄さんはさっきから配信しているようで、なにか一生懸命話しながら歩いている。

視聴者さんとお話しているのかな?

私たちには彼らの声は聞こえない。


羊はどうやら夜はこちらが仕掛けなければ襲ってくることはないようだ。

時々寝言のようにメェ~、と鳴く。電気羊は夢を見ているのか?

放牧地の向こうが森になっており、そこに近づくとガサリと音がした。

ようやく出てきた、アクティブモンスターですな。

お約束の、狼です。でも。


「めちゃ、大きくない…?」


ホノカお姉さんが見上げた。

私も驚いて声が出ない。


大型バスくらいの大きさの、白い狼が現れた。


『白狼の森の王 ロボが現れました。』


「え、まさかフィールドボス?」

「オレがヘイト取るから。【挑発】!」

「ヘイトがわからん!」

「て、敵視のことです、ホノカさん~! ホノカさんは回復なので後ろで目立たないようにしてください~! 【ヘイスト】かけます、回避率上がるんで~!」

「あわわ、【2連射】!」

「えーと、【ファイヤーランス】」

「うわわ、もういっちょ射っておく」

「待て、フェザントちゃん、速い! ヘイト取りすぎ。キミが一番高火力なんだから--」


白い狼王ロボが私たちの眼前でアオハお兄さんをガップリ逝きました。一撃。いや、一口?


「ヘイト維持してたやん…」


いや、ホノカさん、そこ突っ込むところ!?


「皆さん、逃げましょう。私【逃げ足】持っているので~!」


ロボが地響きのような遠吠えをした。

サーシャのスキルがキャンセルされた。

ウワオ。


思ったところで、大きな口と牙が私の眼前に迫ってきた。


ウ ワ オ。 




天国門前には行けなかった。




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