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追放された副隊長は、人と竜が憎み合う世界で“共に生きる国”を築く ~剣より対話を選んだ最強の軍師は、やがて魔王と呼ばれる~  作者: 竜太郎


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最後の命令・残る足跡

鐘が一度鳴る間に、西の街道へ三つの異なる知らせが届いた。国外追放が決まり、アレンは元部下へ最後の指示を出す。それは自分を救う命令ではなかった。 振り返ると、自分の足跡だけが長く続いていた。追放を終わりとは決めず、その先で見たことを自分の言葉で残すと心に置く。 国境の村を守り、民間人へ刃を向けず、記録を捨てない。その三つだけを頼んで徽章を置く。


護送兵は近づかず、食料袋を道へ投げた。アレンは侮辱へ言葉を返さず、中身と残りの日数を数える。怒りで腹は満たせず、海峡は短くならない。


竜紋が熱を持つたび歩みは遅れた。休めば日程違反、進めば倒れる。アレンは見栄を捨て、痛みの周期を測って歩く時間を組み直した。


禁忌大陸について確かな記録は一冊も渡されなかった。魔族は残虐で、土地は死に、帰還者はいない。その三行だけが、何百年も疑われず繰り返されている。


海が近づくにつれ、護送の人数は減った。最後の関所では鍵だけが外され、あとは一人で進めと言われる。自由になったのではない。誰も戻ると思っていないのだ。


夕暮れの先に黒い水平線が伸びていた。アレンは王国を振り返らず、まだ見たことのない土地へ歩いた。答えがないなら、せめて自分の目で確かめるしかない。


その場で答えを出せなかった問いも、消したことにはしなかった。保留と記して次の会議へ渡す。分からないものを分からないまま残せることも、互いを欺かずに暮らすための力だった。


見届けた者は英雄譚を口にしなかった。水が戻った、薬が届いた、今夜は家族が眠れる。ただそれだけの報告が重なり、アレンへの警戒をゆっくり信頼へ変えていった。


(本文実測:676字)

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