夜の審問
審問は答えを確かめる場ではなかった。同じ質問が言葉を変えて繰り返され、和平と答えれば侵略を隠す嘘だと記録される。ミレアは声を荒らげず、同行者の名と役目を一人ずつ告げた。怪物という一語に戻されないためだった。
禁忌大陸で作った提案書には、領土の要求も改宗の要求もない。遭難者の返還、交易窓口、互いの民間人へ刃を向けないこと。その三つを話し合うため、何度も言葉を削ってきた。
使節団の誰も、自分たちの死を英雄譚にするため来たのではない。家へ帰り、航海の失敗を笑い、次の荷を相談するつもりだった。その当たり前の予定が、教義の都合だけで奪われていく。
ミレアは恐怖に屈しないことと、恐怖を持たないことを混同しなかった。怖いと認めたうえで、隣の仲間へ落ち着いた声を渡す。その声が牢の暗闇で皆の呼吸を揃えた。
書記の写しと魚売りの証言が、教会の布告とは異なる出来事を残し始めた。まだ町を動かす力はなくても、完全な沈黙ではなくなった。
港の風は白布を揺らし、その向こうで教会の旗も同じ風を受けていた。旗が違っても、空まで二つに分かれてはいない。
記録する者は、見たことと命じられた説明を別々の頁へ書いた。その小さな区別が、後に真実を選び直す場所になる。
祈る者のすべてが処罰を望んだわけではない。声を上げられない者の沈黙まで、教会は賛同として数えていた。
港の風は白布を揺らし、その向こうで教会の旗も同じ風を受けていた。旗が違っても、空まで二つに分かれてはいない。
記録する者は、見たことと命じられた説明を別々の頁へ書いた。その小さな区別が、後に真実を選び直す場所になる。
祈る者のすべてが処罰を望んだわけではない。声を上げられない者の沈黙まで、教会は賛同として数えていた。
(本文実測:720字)




