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キャロラインSide 番外編——全てを捧げるわ

キャロラインSide

 

ついに、グレイの妻になった。

式も国家をあげての祭典なので、とても緊張した。


でも、誰もが知っている。

花嫁の一番のドキドキは、その後だ。


初夜だ。


私にとって、初めての初夜。

前回の結婚では指一本触れられなかった。3年間、夫は私を振り向かなかった。 


それが、グレイは、最初から、私が仕立て屋の前で大泣きしていた時から、まっすぐに私だけを見つめてくれた。


――ついに、この日を迎える事ができて夢のよう。

――でも、グレイを満足させられるのか、わからない。

――私はイーサンに女として見られなかったから……。



私の中で、最愛のグレイをがっかりさせるのではないかという恐怖があった。


でも、グレイの胸の中に飛び込みたい思いを3年もの間秘めていたのだ。


今日、ついに、正式に、国中が認める中で、私の夫はグレイになった。


大興奮の国民が歓声をあげて私たちを祝福してくれた。馬車の中で私たちは、手をしっかりと握り合っていた。片手は国民に手をふり、もう片方の手はお互いの手を繋いでいたのだ。



あの、ホーソーン・マナーの真っ暗闇の中で星空を見上げていた時のように。自分たちが運命共同体だと悟った日の夜のように。


きらめく星々は、きらめく祝福の光をもたらし、私たちの行く末を国民が期待する方向に私たちがあゆむ道を照らしているようだ。



カーリントン・ハウスが私の家になった。

プリンセス・キャロラインとして。


最初に足を踏み入れた時、あまりの豪華絢爛な宮殿に、私は畏敬の念をいただいた。


「貴族でもなんでもない私が、プリンスとこんな道を歩けるなんて、目に見えるものと、本当にできる可能性があるものは違うわ」


私が思わず言葉をもらすと、グレイがきらめく瞳で私を見つめた。


――な……なに?


「君と結婚できて嬉しい」


頬を赤くそめ、私を愛おしそうに見つめるグレイは、ゆっくりと私の腰に手を回した。



彼は固く結ばれたクラバットを緩めた。


――あぁ、その仕草……。

――色っぽいわ……。

 

私は心の中でため息をついた。


――この人が夫だなんて……。

――心の何かがほどけて、体が熱くなってきた。




「キャロライン、もう待ちきれないんだ。僕の妻を抱きたいんだ」


グレイの声が王子殿下だと告げた時と同じくらい低く落ちた。


胸の奥が甘く震える。

もう、立っていられなかった。


体の奥が熱くなり、心がとろけるのを感じた。耳元で囁く彼の声はどこまでも甘かった。


体がピクンと反応した。ふわっと軽々と私はグレイに抱きかかえられた。


「君も待ちきれない?」


グレイに囁かれた。切ないほどのヒリヒリするような切望の響きがした。


私の心も同じことを望んでいた。

早く彼の腕に抱かれたい。



私はふわふわとした心地で、グレイにそのまま王子殿下の寝室まで運ばれた。


豪華な寝室で、ティアラを外され、髪をほどかれ、花嫁衣装をゆっくりと脱がされた。


シーツの上に私は寝かされ、キスをされた。

グレイはクラバットをするりと外し、シャツを脱いだ。たくましい胸板に目を奪われ、私は真っ赤になった。


――恥ずかしい。


体を隠そうとする私の手を振りほどき、グレイは私を再び抱き上げた。


――きゃっ。


私は何も身につけていないグレイのたくましい首筋に両手で抱きついた。


「そのまま」


グレイはそう囁くと、私を豪華な湯殿に抱いたまま連れて行った。


「プリンセス・キャロライン、初夜の準備はいいね?今晩は寝かさない」


私はグレイが愛おしそうに私に触れるのを感じた。

彼の瞳に映るのは、キャロライン。私だ。

 

「えぇ、あなたに全てを捧げるわ……」


甘い声も、艶やかな吐息も、全ては王子殿下の寝室と湯殿だけが聞いていた。


その夜、私たちは、熱烈で煌めく初めての夜を過ごしたのだ。



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