表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

第9話

 瞬間移動で翼の家に行き、そこからはイヅと二人で龍神界の上空を飛んで帰った真太。

 いつものように2階の窓から入ろうと近づくと、家の中から聞きなれない龍神らしき高音の声がする。それに混じってパパのご機嫌な声も。

「どういう事」

 イヅに聞くと、

「知らない龍神が三人も来ているよ。僕、パパんとこに帰ろうかな」

「急に遠慮するなよ、とにかく家に入ろう。まさか泊まりじゃ無いだろ。知らない奴らは、基本的にパパは泊めないから」

「ふん、どんな知らない奴か実際に見てみろよ」

 イヅは何故かふてくされて言うが、真太はイヅをつれて窓から飛び込んでみると、2階には龍神用の応接室?が出来上がっている・・・何時、誰が、用意したのか応接室仕様のソファとテーブルで寛ぐ若くて見たことの無いお嬢さん龍が3龍、人型で居た。

「誰っ」

 思わず叫ぶ真太、つくづく自分の不作法さが悲しい。

「あーら、いうわねえ」

「うふふ、でもかわいいっ、しんた」

「いづもかわいいっ、おねえさんがかわいがってあげるから、ないらにいらっしゃいよ。いづちゃーん」

「遠慮したいです。僕、今からアマズンに帰ります。失礼します。アボさんお世話になりました」

「いやいや、イヅ。イダパパはもう少しこっちに居て欲しいそうだよ。で、この三龍のお嬢さんの中から、気の合う方を見つけて欲しいと言っているんだ。イヅはイダパパと大人どうしの関係になるんだってね。だからイダパパと対等になる様に、お相手を選んでほしいし、戻るならお相手と一緒に戻って欲しいんだそうだよ」

 イヅは真っ青になった。真太は笑いたい所を必死で我慢し、

「すごいや、イヅ。親公認の彼女選びか」

 と感心してやった。すると、その内の1人が、

「あーら、うらやましがっちゃって。しんた、かわいい。あたしとつきあわない?」

 真太も同じ顔色になった。

「僕は間に合っています。まだ大丈夫ですからっ」

「あーら、ないらでは、しんたみたいなたいかくのこは、みんな、かのじょがいるのよ。でも、おとこのこがすくないから、あたしたち、あぶれてしまっているの、いいこだからつきあってね。ないらがわで、みずあそびをしましょうよ。ないらでは、みずあそびをしておとこのこは、かのじょをえらぶの。きっと、きのあいそうなかのじょが、できちゃうのよ。あたしたちのほかにも、おんなのこはいっぱいいるのよ。さあさあ、ないらにいくのよ」

「行っきっま、せんからぁッ」

 真太はつられて変な発音になりながら、それでも必死でお断りした。

「まぁ、しょうがないわねぇ。そうそう、あんたたちは、ぱぱにおはなしがあったでしょう」

 急にマジな話題を振って来る。真太はさっさとパパに要件を言って、ずらかろうと思う。

「そうでした。パパ、西京で調べた結果、あの怪物は人間のDNAと同じでどうして怪物になったかは知らないけど、父親はUSBBの例の研究所に居る岡重一輝で、母親は・・・イヅが捜索したんだった。イヅの報告、どうぞ」

「えー、今から言うの。あのう、川岸リンと言う人で、子供の頃隣に住んでいたのが岡重一輝、岡重がUSBBの大学に行く時に、別れたんですけど、最近また会って、どうやら騙されてあの怪物作成に利用された感じです。気の毒ですが、今ショックで引きこもり状態です。利用されたと察した様で、気の毒な感じ。見つけたけど、僕は接触しなかったです。僕が話をするのは能力的に無理な感じなので。えーと、住所書いときますから」

「イヅ、報告終わったのか、じゃあ僕らはちょっとロバートたちに会ってきますから、パパ、後はよろしく、この件は僕らには無理な感じなので、解決は大人の龍神に任せますから」

「そうかい、止めるのか。彼らの始末をするとか言っていた、いつぞやの勢いは無くなったのか」

 何時になく、アボの不機嫌な言い方にもめげず、真太は、

「無くなりましたねえ、僕たち、まだ大人ではありませんからね、では」

「まぁ、かぎりなくおとなにちかいのうりょくなのに。じかくないのね。だれがあなたたちのじしんをけしてしまったのかしら」

 真太は、『それはあんたら。年上、強面的お姉さんが消したんですよ』と内心思いながら、イヅを連れて逃げ出す。


 真太とイヅの逃げだした窓を睨みながら、美女の三人の龍神は、がっかりして、

「じゃあ、あたしたちは帰る。振られちゃったし。アボさん、パパと呼んでみたかったわ」

「せっかく若い子風なかんじで話したのに。ちっとも親しみを感じてなかったよね。失敗したね」

「100の歳の差は、愛が無ければ埋められないね。始めは愛が無いから、お見合いで会って気が合うって、不可能じゃない。でもアボさん、あたしは言っておくけど、歳の差は一番少なくて、45なの」

「まぁまぁお嬢さん方、早々と悲観しないでくれ。あいつら、急に話を仕掛けたから戸惑っているが、彼女が欲しくなる日は近いはずだからね。それはそうと、今日はリンって子の世話をするんだろう」

「そうなの、ナイラ様が、この子の事をおかわいそうと、同情されていて、あたしたちに、何とかして元気になるように癒してといわれたの。人間相手は初めてだけど、皆でがんばるの。ね、みんな」

「ええ、頑張るわ」

「がんばる、がんばる、アボさん、じゃあね、またくるかも」

「ああ、健闘を祈るよ、今日は朴念仁どもで不愉快な思いをさせて、悪かったね」

「ぜーんぜん、会えてらっきー」

 真太は怖いとか言っていたが、話せば可愛い龍神界では若い方の女性達だ。真太やイヅとは年が一~二百離れているが、アボ・香奈夫婦、大統領とレディ・ナイラの歳の差に比べれば同年代と言って良いようなものである・・・とアボは思ったが、どうやら真太らの意見は違うようである。


「もう、ぷんぷんだわ、あの子たちきっ年増女と、思ったね」

「おもてる、おもてる」

「あんたら、言葉が変よ。人間の言葉が下手ね」

「うーるさい、りんのとこいくよ、しんけんにいやすよ。まじのしごと、がんばる」

 若い三人のお嬢さん龍、お仕事用のきっちりスーツになり、川岸リンの居るマンションのルーム前からアクセスしてみる。


 何もする気がしないリンは今朝、目覚めて一旦会社に行く用意をし始めてはみたが、いつもの様に外に出る気がしなくなり、ベッドに寝転がっていた。あの日からである。リンの会社は運良く、怪物が移動していた辺りからはそれており、無事だった。喜んで会社に通うべきだと思った。しかし気持ちが付いて行かない。

 もうすぐお昼時、何か食べた方が良いかなとリンは考えたが、そのまま動き出せず次に気付くと14時過ぎになった。ぼんやりしていると部屋のチャイムが鳴った。動きたくは無かったが、無意識に立ち上がっていた。

「はい、どなた」

 画面には背の高い外国の三人の女の人がいる。

「コンニチハー、あたくし達、USBBから来ました。ボランティア団体のナイラ-第3財団東アジア地区担当の・・・」

 急に他の人に変わり、

「あたし、ラランでーす」

 さっきの人が出て来て、

「ナナンでーす、よ・ろ・し・くっね」

「あたしはイインよー。ねえ、あたし達とお話しない」

 三人ともエキゾチックな顔立ちの美人だ。それになんだか怪しげな組織名な気がして、リンは、

「いいえ、結構です」

 と言うと、

「んもう、あの子達と同じよ。あたし達のどこが気に入らないのかしら」

 小声で言っているが、このマイクは感度が良いようだ。リンは聞こえているが、彼女らに指摘はせず、何を話しているか興味があって聞き耳を立てた。

「めいくがけばいとかね」

「これでも、ボランティアしそうな人風にしたよ。あたしテレビで見たんだから」

「これじゃあ、おかしげに、なにされたかききだせないよ。ききださないとなかまとおもわれそう。きっとね」

「そうよね、もうすぐDNAしらべに来るはず。逮捕されるね」

 かなりの早口で相談している。外国の人にしては、日の国の言葉が堪能である。真太やイヅとは異なる印象を持ったリン。そして、話の内容を聞いて、はっとする。

 彼女らの内の1人が、またリンに向って、にっこりと、

「私たちはぁ、国際ボランティア連盟に加入していてぇ、国際的犯罪の被害者の救済と、心のケアを無償で行っておりますぅ。USBB大統領夫人をトップに活動するボランティア団体でぇ、決してぇ怪しいものではございまー」

 彼女らのこそこそ話で、会わなければと思ったリンは、何やら解説の途中でドアを開けた。

「あーら、では失礼しまーす」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ