3. 冒険者試験
ぎゅーっと誰かに抱かれた気がした。
俺はまだ寝ぼけていたので、あの妖精達かなと思ったが、明らかに違う感じがした。
目を覚まして見ると、誰かがくっ付いていた。
「えっ誰!?」
俺は急いで、追い払った。
ドンッ「痛いー」
少女は倒れながら、何かを言っている。
「あのーだれ?」
少女は起き上がり、座った。
少女は人差し指を口に当てて「秘密」と言った。
「まず、なんで知らない人に抱きついてるんだよ、流石に起きて知らない人がくっ付いてたらびっくりするだろ……」
少女は立ち言った。
「いや、同じ部屋に異性が居たら抱きつくでしょ!!」
「いや……抱きつかないだろ」
なに、この世界だと同じ部屋に異性が居たら抱きつくのか?それともあいつがおかしいだけなのだろうか。
「流石にきもい人には抱きつかないけどね」
俺はきもい人では無かったんだな。それは良かったと思う。
「では……」
俺は何も無かったかのように扉の鍵を開けて、行こうとすると、
「えー待ってよ」
付いて来そうなので、俺は扉を出た瞬間に走り出し、右に行った。
少女は俺の後を追ったが、真っ直ぐ走って行った。
なんなんだよあいつと思いながらも、俺も朝ご飯を食べるために一階に行った。
一階を見渡したが、さっきの少女はいなかったので、朝ご飯を受け取って空いてる席に座った。
朝ご飯はパンの様な食べ物と何かのスープと野菜みたいな緑の草、最後にデザートぽいものがあった。
普通に美味しそうだな。
俺はスープを一口食べようとすると、誰かが座って来た。
食べるのをやめて、顔を見ると、さっきの少女だった。
「どうも」
「私あなたの事を探してたんだからねー」
「……」
俺は無視して、食べ始めた。
うん、普通に美味しいな。
「この宿屋のご飯、普通に美味しよね」
「そうだな」
他の宿屋はどんな料理が出ることなんて知らないが、
そして料理を済ませてから受付の所に向かった。
「もう宿屋を出るのかい?」
「はい」
「そちらの女もかい?」
「そうです」
「じゃあ、3000デルだよ」
確か、案内人に割引き券を貰った気がする。
「あの割引き券」
「じゃあ2000デルだよ」
小声でちゃんと宣伝してるんだなと聞こえた気がした。
「また、ここを使うか?」
「そうします」
そして俺は外に出た。街は朝なのにもう騒がしい。
「待ってよー」
少女が後ろから、走って来た。
「まだ付いてくるのか……」
「私、今日冒険者試験するんだけど、何か知ってる?」
「冒険者試験ってなんだ?」
「知らないの!ちゃんとした冒険者になるための試験だよ」
「何をするんだ」
「1か月ぐらい、授業みたいなのをやるらしいけど、この街だと少し違うらしいの君も受けてみれば?」
冒険者試験……受けて損は無さそうだし受けて見るか。
「そうだな、受けて見るよ」
少女は嬉しいそうに、歩いた。
「あ、そうだ」
「どうした」
「森で爆発した件のこと知ってる」
「え、あー、知ってるよ」
「噂であれをやったのは人間らしいよ、さらにその時にそこの森の主の魔物が、その爆発で死んだから森がざわついてるんだって、だから今はその森に行かない方が良いよ」
情報が早いな、もう噂されているのか。
でもきっと、それをやったが俺だとバレないよな。
「その森の状況を見に行った人って居るのか?」
「この街で強い人が見に行ったらしいけど、わからない」
「そうか、ところで思ったんだけど、冒険者試験はどこで受けることが出来るの?」
「ホールだよ」
「ホールてとこだ?」
「それも知らないのー?」
そして、ホールという場所に着いた。
ホールとは冒険者達がクエクトや手伝いなどを受けたりするところだ。
「あそこで、受付をするの」
少女から順にやる事にした。
「はい、何でしょうか」
「冒険者試験をしたいんですけど……」
「分かりました、そちらの方も同じでしょうか」
「そ、そうです」
「一万デルです」
少女と俺は金貨を一枚出した。
「後は名前を言って、そうしたらあちらに並んでください」
「私はリーアです」
「俺はラーメンです」
俺とリーアは言われた場所に座った。
「はあー」
「ラーメンて言う名前なんだ、あまり聞いたこともない名前だね、よろしく!」
きっと、食べ物の名前みたいな名前だなと思ったんだろうな。
「ああ、よろしく、リーアで良いんだよな?」
「そうだよ」
時間になったのか、ホールの人が来た。
「皆さん、あちらの部屋に来てください」
俺は言われた部屋に向かった。