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勇真と麻里

やっと主人公登場です。

 最後に木刀をひとふりして勇真は稽古を終えた。いつも通り礼をしてその日稽古が終わる。

 日はまだあるが遅くなりたくない。早めに着替え部室をでる。

 校門のわきの木の下、セミロングほどの髪の少女が待っていた。少女は勇真に気がつくと嬉しそうに微笑み、すぐに大げさに眉をひそめた。

「おそーい」

 幼馴染みはそういうとにっこり笑った。

 その笑顔に勇真は少し目を細めた。

 清川勇真と中井麻里は家が隣同士で産まれ日も近い気合いの入った幼馴染みだ。気がついたときには、互いに傍にいるのが当たり前になっている。同じ高校に入った二人は防犯の意味もかねて一緒に登下校している。家の玄関まで確実に送れるからだ。

「剣道がんばってるんだね、最近噂になってるよ」

「あ?」

「色々と。勇真は昔から剣道好きだったもんね。前は道場に通ってたし」

「あれは古流剣術」

「? 剣道とどう違うの?」

 剣道は剣術を元に作られたものだが、その違いをどう説明すればわかりやすいか勇真は考えた。

「……」

「勇真は剣好きだよね。なんで?」

 勇真が説明する前に麻里の興味が変わった。

「かっこいいから」

 それには即答する。

「なにが?」

「剣、日本刀かっこいいだろ?」

「わー、意外に軽い理由〜」

「軽くない。かっこいいだろう、日本刀。男のロマン」

「軽いって。もっと違う理由ないの? 真剣なやつ」

「ない。それ以外に理由いらんだろう」

 自分の理由が軽いとは勇真は思わなかった。そもそも他の部員の剣道を始めた理由も似たり寄ったりだ、某漫画のファンだとか、某アニメのファンだとか、某時代劇のファンだとか。なので特別自分が軽いとは思わない。

「え〜、ユカとかナミとか聞いたらがっかりだよ」

「俺になにを期待しているんだ?」

「色々」

「なんだ、それは?」

 益体もない話をしているうちに二人の家がみえてきた。

 二つ並んだ似たような造りの分譲住宅。

「今日もありがとうね、明日もよろしく」

「ああ」

 このまま代わり映えしない毎日が続くと思っていた――この時までは――勇真の足元がいきなり輝いた。

「な、なんだ!」

 勇真を中心に一メートルほどの光のサークルが現れた。細かな光の線が紋様となり勇真の足元から侵蝕するように体の上を這い上がっていく。

「勇真あぁぁ!」

 麻里が勇真の腕をひき――このままでは麻里を巻き込んでしまう――そう判断した勇真は麻里を振り払おうとした。

「いやぁ! おいて行かないで! もう、おいて行かれるのはいや!」

 麻里が半狂乱で勇真にしがみついた。光の紋様がふれた部分から麻里の体に広がり二人の全身が紋様に包まれると――ひときわ強い光があたりをてらし――二人の視界は白一色に包まれた。


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