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第六十五話 「回想 学院への道中」

取り敢えず、一つ目の改稿と修正が終わりましたので、投稿です。…四時間がかり、長い戦いだった。

 

「あ~、暇だな‥‥‥」


 家を出発して二日程が経ち、学院まではの道のりは後半に差し掛かり、恐らく今日の夕方までには着くだろうと目算を立てつつ馬車に揺られながら見上げた空は晴天、吹く風も穏やか。そしてそんな最高の天気であれば欠伸の一つも出るというものである。


「ふあぁ~‥…いっそ昼寝をするのも一手か?」


「ダメですよ義兄さん。御者はちゃんとしないと」


そんな俺にリリィは注意をしてきたが、俺としては勿体無いとも感じていた。


「ああ、分かっているんだが、こんな天気だと寧ろ昼寝をしないのがもったいないと思わないか?」


「確かに退屈ですけど、私は昼寝をするのは勿体無いと思っていますよ?」


 俺が思わずそう聞き返してしまうのも無理はなく、出発して今に至るまでの間、本当に特にこれと言った出来事もなく、こういう時にありがちな野盗の類が出るという事も無く、更に異世界であるがゆえに携帯ゲーム機などの類もあるはずもなく、本気でそう考えていた俺にとってリリィが言いたいことが良く分からなかった。


「それは、どういう意味なんだ?」


「え? それは簡単ですよ。義兄さんと一緒、それも二人っきりで過ごせているんですか、ここで寝るのは私からすれば損というものです」


 そういうもんか? と俺は思ったが、そう言うとこの穏やかな雰囲気ではなくなると直感が告げてきたので口にせず流れていく雲を見て、リリィはそんな俺の横で楽し気な雰囲気を漂わせており、本気で俺と二人っきりというのが嬉しいというのが伝わってくるほどで、しかし俺が退屈という事実は変わりはしなかった。


(どうしたもんか‥…)


 そう思いながら視線を空から目の前の学院へと続いている道へと視線を下げている時、道端に生えている木々が目に入り、そこで俺は当たり前のある事に気が付いた。娯楽が無くて暇なのであれば、娯楽を作って暇つぶしをしてしまえばいいという、簡単な答えに。


「思い立ったら吉日って言うしな。よし」


「義兄さん?」


そう決めると俺は御者から立ち上がり、リリィは不思議そうに俺の事を見上げてきた。


「急に立ち上がって、どうしたんですか?」


「ああ、退屈だからな、それを紛らわせるために何か娯楽でも作ろうと思ってな?」


「娯楽、ですか? 例えばどういったのを作ろうと思ってるんですか?」


「秘密だ。取り敢えず少しの間御者を頼むな!」


「ちょ、義兄さん!?」


 リリィは俺が何を作るのかが気になったのかそう聞いてきたが、いま教えては面白くないので俺はそう言いそしてそんな俺にリリィは声を掛けて来たが俺は振り返る事無く飛び降り、リリィを御者台に残し俺は先ほど目を付けていた、近くで見た中で元も大きい、高さが凡そ十メートル、幹の直系が凡そ三メートル程の木の元へと駆けより、素人目ながら虫に食われていないか、空洞ではないかを自分の眼と、そして風を使った反響で調べる耳で大雑把に大丈夫かどうかを調べる。


「‥‥‥よし。大丈夫そうだな」


 風を使った反響との感覚で、見た感じを総合して何となくだが大丈夫だという感覚がしたので、俺は腰に差していた鞘に左手を添え右手はジョワユーズを抜き、一呼吸を置く。


「すぅ‥‥はぁっ!」


 そして一息に剣を水平に振り抜き、俺は溜めていた息を吐きながらジョワユーズを鞘にチンッっといい音をさせて納刀した瞬間、見た感じどこも斬れているように見えなかった木の幹に一筋の横線が入ったかと思うと、徐々に木は傾いて行く。


「倒れるぞ~」


 なんとなしに俺がそう言って数秒後、木はまるで自らの丈夫さと重さを誇るかのように近くにあった木を幾本か巻き込み、そして鈍重な音と共に倒れたのだが、俺に対しての最後の反抗とでもいうかのように砂煙が舞い上がり俺に襲い掛かってきたが、だが事前に風によって構築する結界【風陣】で遮断していたので砂煙を被る事は無く、そのまま斬り倒した木の元へと向かった。それにしてもだ。


「この木だけで良かったんだけど。どうしたもんか」


 本来の俺が欲しかったのは目の前の幹の直系三メートルほどの木だけだったのだが、どうやら周りの木を何本か巻き込んでしまっていて、結果的に見れば、まあ良い事なのだが、計算外の余分な木を大量に手に入れる事になってしまったのだが、このまま捨てるというのは俺が原因で倒したので悪い気がした。


「よし、必要になる時が来るかもしれないから回収しておくか」


 取り敢えず俺は【風神の天廻】の中に巻き込まれて倒れた木を収納して周り、その後は本命である高さ十メートル、幹の直径三メートルで、年輪も綺麗に刻まれている木を【風刃】で大体二メートル間隔で切断し、【風神の天廻】に収納するという作業を続ける事凡そ十分後、そこは幾つかの切り株が残ったちょっとした開けた場所になり、俺はそっと息を吐いた。


「ふう、思った以上に数が増えたせいで、思った以上に時間がかかったな…」


 流石にこれ以上時間がかかれば後が怖いので、俺は取り敢えず当初の目的である木の採取(巻き込まれて倒れた木はおまけだ。異論は聞かない)は終わったので道に戻り、俺は馬車に追いつく為に身体強化魔法ボディエンチャントで駆けだした。


そして走り始めて数分後、目の前に目的の馬車が見えてきたのだが、よくよく見れば馬車は止まっている事に気が付き、その事を疑問に感じながら近づいて行くとレティスが複数のボロボロになった男どもを縛り上げている所だった


(あいつらは、野盗か?)


 恐らく、俺が御者台から降りて木を斬り倒し、回収している間に貴族の乗る馬車だと分かったのか、それとも偶然襲ってきたのかは分からないが野盗が襲い掛かり、しかし服装を視る限りリリィ達が撃退し、その結果レティスによって木に縛り付けられているのは容易に予想が付けれるモノで、身体強化魔法ボディエンチャントを解除し、歩きながら近づいて行くと俺に気が付いたのだろうレティスがキッチリと縛り付けた後、俺に声を掛けて来た。


「あ、シン。戻ってきたんだ」


「ああ、ちょっとばかり手こずって遅れたんだが、その間に何かあったみたいだな?」


「そう、シンが離れたすぐ後に野盗こいつらが襲ってきたんだ」


 レティスの説明を聞く限り、俺が御者台から降りた事はレティス達も分かっており、俺実力も知っているのでそのまま馬車を進めて、レティス達は外の風景を見たりちょっとした話をしていたのだが、突然馬が足を止め、それによって馬車も泊ったのでレティス達が不思議に思い馬車の外に出て来たのだが、

それを狙いすましたかのように野盗たちが姿を見せ、それをエルは魔法で、リリィは剣で、ルヴィは拳で、レティスは【血操術】で剣を作り近接で、時に遠距離から血を弾丸の様に撃ってと使い分けて戦い襲ってきた野盗たちを壊滅もとい殲滅し、エルとリリィが重傷を負っていた野盗たちを死なない程度に治癒し、レティスとルヴィが木に縛り付けていたという事らしかった。


「ええっと、その悪かったな」


「別に苦戦もしていなかったので、シンに謝られる意味が分からないのだが?」


「ああ、いや、別にこれは単純に俺が思って口から出た事だからな、そこまで気にしなくていいよ。それで縛る奴はそれで最後か?」


 口から謝罪の言葉の意味を俺は濁したが、しかし謝罪の言葉が出たのは単純にレティス達が強いし勝つのは分かったが、それでもその場に居なかった事に対する謝罪だった。

 そして終わったことを考えるのはやめにし、俺はレティスに縛る奴はまだいるのか銅貨を尋ねた。


「はい、こいつが最後の一人だな・殲滅自体は三十秒程で終わったから、後に時間がかかったのは治癒と縛り付ける作業のせいだな」


「そうか‥‥なんか悪いな」


「気にするな。といってもシンは気にするかもしれないからな…よしそれならシンが作る娯楽とやらを早くさせてもらいたいものだ」


 しかしどうやら戦闘自体は極短時間で終わり、時間がかかったのは治癒と縛り付け作業で、更に言えばこいつが最後のようで、結果的に俺が出来る事は何もなかった。だが流石にこのままと言うには俺としては何となく後味が悪いな、と感じていた時、俺は何故馬車を離れたのかを思い出したのと同時にレティスがそう言って来たので俄然俺のやる気は刺激された。


「分かった。それじゃあ明日を楽しみにしててくれ」


「ああ、分かった。ああ私以外は恐らくは御者台の所に居るはずだ」


「ああ、ありがとう」


 俺にエル達の場所を教えてくれた後、レティスは残り一人となった野盗を縛り付ける為に、そして俺はエル達と合流する為に御者台へと向かったのだった。


「あ、いた。お~い!」


「あ、義兄さん!」


「「シン(ご主人様)、お帰り (なさい)」」


 レティスに言われた通り御者台の近くにエル達はいて、大丈夫だとは思ってはいたが、それでもちゃんと姿を見るとホッと一安心し、俺はエル達へと声を掛けるとエル達は揃って俺の方を向いて返事をしてくれた。


「悪いな、レティスから聞いたんだが、俺がいない間に野盗に襲われたんだな。悪かった」


「いいですよ。タイミングが悪かっただけですし。それに野盗(あの人)達には悪いですけど、正直退屈で体を動かしたかったのでちょうど良かったですので」


「うん、いいストレス解消になった」


「はい、心なしか気分はすっきりしてますね」


 そういうリリィ、エル、ルヴィの表情は確かに幾分かスッキリしているように見えた。


「待たせたな…どうしたんだ?」


「ああ、レティスは気にしないでくれ」


 「は、はあ?」


レティスは不思議そうに首を傾げながらもこの話題はここで終わり、俺達はそれぞれ御者台と馬車に別れ、御者台に座った俺のその隣にはリリィと変わってエルが座り、再び動き出した馬車はヴァルプルギス魔法学院のあるアッカードへと進み始め、俺達は日が傾く前に到着することが出来たのだった。そしてその翌日、俺達は無事試験を受け、合格する事が出来き、その時にかつて戦ったカルアス

との再会となったのだった。


因みにこれは後日談なのだが、木に縛られた野盗達は俺達がアッカードに付いた後で、冒険者ギルドに報告すると他の冒険者とギルドの職員が派遣されアッカードの牢にいれたと報告を受けたのだった。


どうでしたでしょうか?幾分か読みやすくなっていれば幸いです。

次回の投稿は二週間以内に後一話ほど投稿を予定しています。ですが、場合によってずれることもありますので、お願いします。誤字脱字、おかしな箇所などあれば、ご報告をよろしくお願いします。

次話の予定では回想は取り敢えずこの話で終わりです。ですが要所要所にここで語られなかった話を出して行こうかと考えています。

さて、長くなりました。それでは、また次話でお会いできるのを楽しみにしています。それでは。

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