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第六十三話 後日談 「アルテシアの日常と平穏」

ふぅー、Wi-Fi切られたけど、なんとか書き出し、投稿できました。(良かった)恐らく今年の投稿はこれが最後です。

3月25日現在、この話以降、第三章なのですが、一旦全て消して、改稿などを行った後に投稿をしようと考えております。

消去後、第三章の第一話は直ぐに投稿をし、改稿、修正が済んだものから順次再度投稿し、終わり次第続きを書き、投稿をします。

ご迷惑をおかけしますが、どうか、よろしくお願いします。


「陛下、こちらの書類に印を貰えませんか?」


「分かった。そこに置いておいてくれ。目を通して押しておく」


執務室に入って来た部下の吸血鬼は書類をテーブルに置いた後、私に頭を下げたのち執務室から出て行き、それを確認すると一息つく為に書類を机に置き、仄かに花の甘い香りのするお茶、花茶はなちゃを入れていたポット長いカップへと注いだ後、カップを手に取りそっと口元に含むと同時に口の中一杯に甘い花の香りが広がり鼻へと突き抜けていく。それだけでも疲れた体に染み込んでいくように感じ、溜まった息を吐き出す。


「ふぅ、流石に溜まっているか…」


向けた視線の先にはもはや憂鬱になってしまうほどの山を築いている書類の山だった。もちろん普段ではこれほどの山を築くことは無いのだが、今回は数日程城を空けてしまった結果、王が目を通すべき案件が溜まりまくったのが山を築いている書類の正体だった。


「レティス姉さんはこれを毎日相手にしていたんだよね‥‥」


改めて姉の偉大さを知ることになったが、今はレティス姉さんに託された自分が王なのだ。だが王であっても、例え驚異的な回復力を持つ吸血鬼で、真祖の純血の孫であったとしてもだ。


「あの一日は、安らいだなぁ‥‥」


そしてそんな中、私、アルテシアが思い出したのはほんの数日前の何ともな、いいや、少し恥ずかしい場面はあったが平和的なありふれたしかし今までの中で心が一番安らいだ平穏な一日だった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


その日、私はベットの上で目を覚ました。カーテンは閉められていたが、その隙間から光が漏れている事から今が朝であることは直ぐに理解できた。


「そうかぁ、あの後寝ちゃったんだ‥…」


幾ら光を受けると消滅する吸血鬼だが、吸血鬼と言えど元は人間であり、その活動する時間は夜間ではなく日中だ。そこは通常の活動時間は人間とさして変わらないのだ。もちろん、それは陽に当たると消滅する吸血鬼故に本来は日中での活動は不可能なのだが、陽光を遮る霧を発生させる魔法陣を開発し、日中であっても活動できるようになっているのだった。そしてアルテシアはまだ使えないが、霧を、厳密に言えば陽光を遮る魔法陣を解析、使えるようになれば日中でも活動できるなりつつあるのだった。


「はあ、魔力不足で気絶しちゃうなんて、情けない‥‥ってあれ?」


私は部屋を見まわしてある疑問を抱いた。何故この部屋は色々な物があるのだろうか、と。それもどことなく女性では無く男性の部屋のような気もしていた。そして、少しづつレティス姉さんに背負われて部屋で寝かされた辺りの所から思い出し始める。


(たしか、姉さんに寝かされた後‥寝ぼけて一回目部屋から出て‥その後‥…)


思い出していくと、途中一人が寂しく、また強い魔力の波動を感じて寝ぼけた状態でふらふらと歩いてある部屋に入り、その後ベットに潜り込んで‥…。


そこで先ほどの男の部屋という事を改めて思い出して私は顔が急激に赤くなるのを感じた。


(ま、まさか。私ほとんど裸の状態であの男と一緒に寝たって事!?)


穴があったら入りたいとは、まさにこの事か、羞恥心のあまり私は再びベットの中に潜り込んだ。

まさか、普段から最低限のショーツを除いた服や下着を身に着けないで寝ていた自分を初めて呪いたくなった。


(ううっ、まさか自分から男の部屋に入って一緒に寝ちゃうなんて‥‥)


私は昔、魔力を大量に消費した時にレティス姉さんのベットに潜り込んだという事があったという事を今更のように思い出したが今更何の意味もなかった。


「と、取り敢えず起きないと!」


そう、いつまでもこの部屋に居て誰か入って来るとそれは自分の部屋ではないこの部屋に何故居るかという不思議に見えてしまうだろう。

もし深読みする者が居れば夜這いと勘違いすることもある。

せめてそのよう事態だけは避けなければいけない


私はそう判断すると流石にショーツのみの状態では拙いので部屋にあった服を拝借して身に纏うとそのまま扉の前に移動し、外の気配を伺う。今いる部屋はカーテンが閉められてあまり陽が入ってこないが、ドアの隙間から陽が漏れている事からもはや廊下に陽が差している事だろう。


(でも、取り敢えず。この近くに気配はない)


外に気配がない事を確認し、私は肌を露出しない様に部屋にあった服などを部屋にあった服を勝手に身に纏い肌が露出しないようにする。

真祖の直系である私は陽光に関してだが、かなりきついのだが他の本当の意味で純血ではない他の吸血鬼達とは違い、陽光に当たってもすぐに跡形もなく消え去ることは無い。もちろん日に当たるとかなりつらいのだが。

そして幸いなことに自分が最初に寝ていた部屋の場所は寝惚けていてもなんとなく分かっていたので、私はそっと部屋から出ると、そのまま自分の部屋へと全力で、極力日に当たらない様にして足音を立てずに部屋へと駆けこみ、胸の中に溜まっていた息を吐きだした。


(はぁー、良かった‥…)


誰にも見つからなかった。その事に取り敢えずホッとしたのだが、今の状態だと拙いのは明確だった。


「取り敢えず、着替えないと」


そう言うと身に着けていた服を脱いでたたむと、影から下着を取り出して身に着け、更に外部の街に出る際に身に着ける服を取りだす。その時になって影から服を出せば良かった事に気が付いたが、既にどうしようもないので私はそのまま服を身に纏った。


「よし。取り敢えずこれでいいかな」


鏡の前で自分の服を改めて確認する。身に纏ったのは白を基調としたチュニックと黒いのスカートだが、もちろん普通の服ではない。陽光を遮ることが出来る、陽の下で活動できない吸血鬼が陽の下で活動できるように、陽を遮る魔法を刻んだ特製の服でそれでも陽に当たるのは辛いが陽の下を歩けるようになる一品だった。


「ふう、これからどうしよう?」


「アルテシアちゃん、起きてる?」


「はい、起きてます」


そして服を着た事でようやく一息をつくことができた時に扉がノックされた。その声は聞き覚えの無い声だったが、それでも既に服を身に纏っていたので扉を開けるとそこには金色に赤が僅かに混じった赤金色の髪、澄んだ青い瞳の、ドレスを纏った女性が立っていた。


「あら、レティスちゃんにそっくり。流石は姉妹ね?」


「あ、あの、貴女は?」


いきなり顔を見えるなり姉であるレティスとそっくりと言われても、寧ろ突然の事に思わず困惑して尋ねるとごめんなさいねと頬に手を当てながら謝罪をし、自己紹介をした。


「私はシルバーの母で、リリフィア・シュトゥム。エクセリーナ魔法王国の貴族で爵位は伯爵です、以後お見知りおきを」


「あ、いえ、こちらこそ」


貴族と母の顔から雰囲気を真剣なものにしたリリフィアに着いて行けずアルテシアは思わず目を白黒してしまったが、それに関してリリフィアは特に気にしていないようだった。


(なんというか。明るくて、押しが強い感じの女性(ひと)だ)


内心でそう思った。そして直ぐに気になった事が、何故自分の部屋に尋ねてきたのか、その理由をリリフィアに尋ねることにした。


「それで、どうして私の部屋に?」


「あ、そうだったわ。今から皆でお昼を食べるのよ。一緒にいかがかしら?」


リリフィアにそう言われ、今の時間がもう昼近くになっているのだという事にアルテシアはこの時初めて気が付き、それと同時にクゥと可愛らしくアルテシアのお腹が鳴り、咄嗟にお腹を押さえたが、音を抑えるという事は不可能だった。


「ううう~~~」


「ほら、お腹が鳴ったって事は空いているって事でしょ。ほら行くわよ!」


「あっ!」


一瞬の隙ついてアルテシアの手を引っ張るとそのまま部屋から連れだし一階へと降りて行ったのだった。


「あれ、お義母様、とアルテシア?」


階下に降りるとそこにはたった今入って来たと思しき姉のレティスの姿があった。


「あら、レティスちゃん。どうしたの?」


「はい、実はお昼一緒に食べようとを思いアルテシアを探しに行こうとしていたのですが、どうやらお義母様と一緒に居たんですね?」


その表情は明らかに姿を消していた妹を心配する姉の顔で、私は心配をかけていた事に申し訳なさを覚えつつも、絶対に先ほどまでシルバーの部屋に居たという事を口にしない様にしようと心に誓った。


「あら、そうなの? 私が部屋に行った時にはいたけれど?」


「そうなのか?」


尋ねるようにしてレティスが尋ねてきたので、私は事前に用意していた言い訳を口にした。


「はい、恐らく姉さんが部屋に来た時は屋敷内を探索していましたので」


「そうなのか‥‥…それで、どうしてお前が陽の下に出て来れているんだ?」


一応は納得したのか、レティス姉さんはそれ以上追及してこなかったことに内心で安堵していると、姉さんはどうして陽に当たると消滅してしまうはずの私が消滅せずに歩けているのかと尋ねてきた。この服に刻まれている魔法は、一応国家機密に相当する技術なのだが。


(‥‥姉さんなら、問題ないかな?)


和解をした事と、更にこの家には貴族たちの眼が届かないので (シルバーが作り出した結界のお陰)以前の、昔のように接する事が出来る様になったのだ。そして元とはいえ王で事の重要さを理解して外部に漏らさないだろうと話すことにした。


「実は、この服には陽光を遮る魔法が刻まれているんだ。まあ服を着ていても陽がきついですけどね」


「なるほど。だからか。 それにしても他の吸血鬼達からすれば重要機密ものの情報を私に教えてよかったのか?」


「姉さまですから。外部に不用意に情報を流さないと信じてますから」


「そ、そうか?」


私の言葉に思わずレティス姉さんは顔を背けてしまったが、それでも顔が赤く染まっていて照れているというのは確認する事が出来たのだった。そしてアルテシアはこの場にいたもう一人の人物であるリリフィアさんへと顔を向ける。


「それで、すみませんがこの事は…」


「ええ。大丈夫よ。この事に関する事柄を漏らすような事はしませんと、シュトゥムの名の元に誓いましょう」


視線を向けただけで察したリリフィアは家名を持ちだしてまで誓ってくれた。そんな時、元気な声が私達に聞こえてきた。


「レティスさ~ん、どうせなら外で食べましょうよ!」


聞こえてきた声の主は昨夜の戦いに居なかった、聞き覚えの無い少女の声がした方である外を見てみるとそこに居たのは、凡そ十歳前後で黒髪に紅い瞳の少女がこちらへと手を振って来ていて、それを聞いてレティスは思案するかのように考えていたが、


「…そうですね。アルテシアとお義母さんも私たちと一緒に外で食べませんか?」


どうやら外で食べる事に決めたようで、更にレティス姉さんは私とリリフィアさんにもどうかと誘ってきた。


「あら、それじゃあ外で一緒に食べましょうか。アルテシアさんも一緒にね?」


「いえ、せっかくの家族団欒を邪魔するのは…」


家族の時間の大切さを知っている私はせっかくの誘いに辞退しようとしたのだけれど


「そこに関しては大丈夫よ、ご飯は皆で食べる方がおいしいもの。あ、それと外ならシルバーが教えてくれたサンドイッチをお願いね。さあ、行くわよ!」


「あ、ちょっと!?」


リリフィアさんは言うことだけをいうと私の手を掴むと外へと歩き始めていて、私は結局逃げ出すタイミングを逃してしまい、そのまま引きずられる様にして先ほどの少女以外の少女たちと一緒に居る彼、シルバーの所へと連れていかれたのだった。

その時、やはり陽の光を遮る魔法が刻まれた服を纏っていても陽はやはりきつかったが、それでも私やレティス姉さん、それに初対面で自己紹介をしてくれたリリィさん、イシュラさん達やこの屋敷で働いている他のメイドの人たちと陽の下で楽しく昼食を摂りながらのお喋りは、とても楽しかった。


「また、一緒にご飯、食べたいな」


そう独り言をいいながらカップをソーサラーに置くと長い戦いに入る前に気合いを入れる。


「よし、取り敢えず、陽がくれるまでに終わらせようっ!」


そうして私は自分を鼓舞し、再び書類の山との戦いに挑むのだった。


今回の話はアルテシア視線での後日談みたいな話でした。まだこの後日談は続きがあるのですが、それは今後のあくまで予定ですが絡めて行こうかなと考えています。

さて、話は変わりますが、いよいよ年末で今年も残り僅かですね。驚いたことにこの投稿を初めてのおおよそ一年になるので、正直シウ自身驚いています。来年も健康で読者の方が楽しく読める様に精進していきたいと思います。


さて、話が変わりまして三章なのですが、次の投稿は今日からもう一つの作品の執筆に入りますので三週間から四週間程空くかもしれません。場合によっては変わるかもですが、その際は活動報告に挙げさせていただきます。その間、どうか気長に待っていただけると幸いです。また感想等、誤字脱字などの報告をいただけますと大変嬉しいです。

大変長くなりました。今回はこれにて失礼します。来年も読者の皆さん宜しくお願いいたします。それでは、良いお年を。

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