表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/17

『キー』

追記:話の順序を変えました

~このごく普通の静かな住宅街で、コンクリート塀に寄りかかる一人の男がいた~


♦ 9月2日 2:00 界域市


 いかにも「お金持ち」な豪邸。鋼鉄の門扉が屋敷を守っている。だが、俺には関係ない。その家から数十メートル離れたこの場所で立ち止まる。


「こい『キー』!」


 どこからか、《カシャン》という音が鳴る。円状になっている針金にかかっている無数の"鍵"その鍵が増殖変形していき姿を形成する。銀色の身体ボディに南京錠を模した装飾と腰には大量の"鍵"を下げている。

 2週間前、突如発現したコイツを俺は『キー』と名付けている。『キー』は鍵と鍵がぶつかる音を出しながら、その屋敷の門扉に近づく。


「しかし、いい所に住んでやがる。その"いい所"に住んでるせいで狙われるんだからな」


『キー』の腕が屋敷の門扉をすり抜け次の瞬間、カチリと音がする。そして軽く門扉を押した時にはもう、門扉は開いていた。

 同様の手口でさらに屋敷へ繋がる扉も開く。その間、俺はコンクリート塀から一歩も動いていない。


 故に誰も、まさかこの俺が強盗だと気づくわけがないのだ………


────────────────────────────────

25分後─


『キー』は全てを終えて俺のところまで戻ってくる。

この後の工程はかなり嫌なのだが、これも目的の為仕方ない。


「……ヴォエッ!!」


 俺は精一杯、喉の奥から吐しゃ物を出すような動作をした。どういうわけか、この『キー』は人からは見えない。だが、コイツの盗んだ金や宝石はそのまま浮いて見えるらしい。考え抜いた結果、俺は『キーの体内に一時的に入れる』という荒業で突破したわけだが…… 取り出すためには毎度吐き出さなければならない。


──それでもこの方法なら……


「簡単に金が手に入る!!」


 そう俺は手に入れたのだ。『誰にも盗みがバレない能力』を! そしてこの力で俺は誰にも邪魔されない最高の人生を送れ──


「おじさん何してるの?」


「…ッ!」


 どこから見つけられたのか、突然俺は数メートル先から声を"かけられた"。……これまで一度もあったことのない現象に、俺の心臓は酷くうなっていた。


 一度冷静になり俺は目を凝らす────────待て、"子供"?  なんだびっくりさせやがって。ごまかしてこの場を乗り切るとするか。


「なんだよ中坊、お前の方がこんなに深夜で何をしているんだ? 俺はこれからタバコを吸うつもりだったんだがよ、邪魔だったかい?」


 予め補充していたヤニとライターをズボンから取り出す。ちょうど吸いたいと思っていたところだ丁度いい……ヤニを口に咥え、火をつけようとしたその時──


「あぁそう……ところでさっきあのデッカイ屋敷から出てきてたけどおじさん、あそこに住んでるの?」


 そう言われた時、俺はタバコを落としてしまった。なんてことだろう、完全犯罪が出来たと思っていた俺はこのガキに、屋敷から出るのを"見られていた"のだ。


「おいおい冗談はよしてくれよ。俺はこの場所に今来たばかりだぜ…… 」


 自分でも動揺しているのが分かった。声が震えている。だが俺は、なんとか落ち着いているようにタバコを拾い上げた。


「そういうわけでだ、坊やは家に帰りな。じゃないと一緒に吸うことになるぜ。…… ほらぁ副流煙ってやつだよ。学校の授業で習うだろ?」


 再度タバコを咥え、俺は静かにそう諭す。だが本当の気持ちはそんなに穏やかではない。俺としては正直早く立ち去ってほしかった。

 とゆうより、そもそもなんで見ず知らずの人に話しかけて…… 最近のガキは危機感ないのか?


 俺はそう思いながら改めて火をつけようとした時だった。


「あ、僕が話していたのはおじさんじゃなくてさぁ──」


 そう言ってそのガキは、俺の横に視線をずらす。


「そっちの怪物おじさんなんだけど」


 俺はその目線の方向に目を向ける………『キー』。その瞬間、俺の顔は一気に青ざめる。


「お前ッ! コイツが見えッ!!」


 「見えているのか」と。そう俺が言い終える前に、異変はすでに起きていた。

 奴は指を鳴らし、その直後奴のそばに『なにか』が現れた気がした。そして"見"のタイミングで『なにか』が指を向け、そして俺の…… 俺のッ!!


─────『俺の親指と人差し指を撃ちぬいた』────


「ア゛ ア゛ ア゛ ァァァァァァぁぁぁッッッ!!」


 あまりの痛みによって、俺は絶叫した。今起こっている出来事がショックで、受け入れられなかった。


(何がッ!! …… 何が俺の指を貫いたんだ…… )


 ぼやけている視界の中で、俺はガキの方を向いた。するといたのだ。ガキにも。デパートのマネキンのような白い身体ボディに宝石が散りばめられている姿──間違いない。こいつは『俺と同じような力』を持っている。

 痛みに耐えながらここで俺は、初めてずっと思ってきた疑問を奴にぶつける──


「おいガキッ!! お前は一体何者なんだ!」


 俺の質問に、奴らは俺に人差し指を向けて親指を立てる。"指鉄砲"のつもりのように見えるが、あれは一体……


「僕は岬清澄。『S.J.S』……『特殊部隊』のメンバーだ。名前はわかっているぞ野坂正次(のさかしょうじ)! 今からお前を僕の『ブルーオーシャン』が始末する」


──なぜ、俺の名前を知っているのか。考える間もなく奴の『ブルーオーシャン』の周りに、ある物体が出現する。俺の目が確かなら間違いなくそれは『サファイア』だった。


(そうか……)


 どうやら俺の指は、この人間の拳ほどのサファイアに撃ち抜かれたらしい。

 とたん、俺の全身に冷や汗が流れる。"もう一度撃ちぬかれてしまえば… "と考えてしまう。

 だがしかしそれでも闘わなければならない。この最高の力を守るために、この生活から抜け出すために。そして───


「『クロ』の為に」

 

 俺はそう呟き奴に向き直る。 そう、俺はこんなところで諦めるわけにはいかねぇんだ。


「かかって来いよガキィッ! 俺はこんなところでくたばらねェッ!」


清澄は身長が小さいので時々子供に間違われます(本人はチョッピリ気にしている)


よかったら感想をください!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
Xから読ませていただきました。 わくわくしますね 楽しそうに書かれているのがよくわかります。 感想を書かせていただきます。 未知の生命エネルギーや“ファイター使い”という設定がとても魅力的で、読み始め…
野坂おじさんと戦闘勃発ですね。 キーの能力の全容がまだ分からないですけど、何だか能力バトルになる予感にwktkします! ⁽⁽◝(•௰•)◜⁾⁾
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ