C6.appx5 星3の魔導師という人物 その2
― 星3の魔導師視点 ― 回想
二人には娘が生まれていた!
小姉は猛熊伯の所で受けた酷い扱いのせいで子供は難しいと言われてきたので喜ばしい驚きだった!
何でも里帰りの少し前のタイミングで ―修学し終えたら一度帰ると言ってあった― 産まれそうだったので内緒にしていたんだそうだ。
この時、私は余りにはしゃぎすぎ、その子をびっくりさせて泣かせてしまった。
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それから魔法学院に戻って教鞭を取ったり、召喚魔導の研究をしたりと忙しい日々を過ごし、気付けば11年経っていた。
たまには戻って来いとの手紙で久々に里帰りしてみると、姪は美しい少女に育っていた。
私の事は話で聞いている位でしか知らない、毎年の誕生日にプレゼントをくれる叔父でしかないようだった。
私の学院生活の話が一通り済むと、今度は姪の話に花が咲いた。
何でも既に許嫁 ―小姉の話では姪の一目惚れだった― が居るらしい。
しかもうちのようにいつ絶えるとも知れない貧乏貴族ではなく、れっきとした子爵様の長男とか。
両親の顔も緩んでいたが、何より小姉夫婦は姪の安泰な将来を喜んでいた。
姪曰く「私があの子をお婿さんにしてあげるのよ!」
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それから学院で忙しい毎日を過ごし、気付けば6年の年月が過ぎていた。
これまた随分開けてしまったが、もう姪は結婚しているだろうか?
案内状は来ていないのでまだと思うが・・・。
私は久しぶりに里帰りをした。
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「・・・おや?ここら辺だと思ったが。」
里帰りしてみたら、そこら一帯は何もない平地となっていた。
住居跡までなくなっているのはどうしてだろうと、その辺をうろうろしていると
「坊ちゃま!」
声のするほうに振り返ると、よくお手伝いにも来てくれていた、元乳母の女性がそこに居た。
「・・・坊ちゃま!こちらへ!・・・こちらへ!」
声を潜めしきりに手招きする乳母の様子に、嫌な予感で全身の血が凍り付きそうな心地になる。
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「坊ちゃま・・・これを。」
元乳母は私を自宅に招き入れると、一通の手紙を差し出した。
震える手で手紙を開封すると、嫌な予感はそれを大きく上回る形で文面上に具現化した。
―父からの手紙
お前がこれを読んでいる頃、我ら一族はお前とお前の姪を残し、死に絶えているだろう。
事の発端は猛熊伯の長男だ。
彼はあろうことか、お前の姪に懸想し、彼の父同様、あの子を攫いに来た。
そこで立ち塞がったのが婿殿だった。
当然立場の違いがあるので、立ち塞がる以上のことは出来なかった。
・・・が、ある言葉で激高した彼は猛熊伯の長男に斬りかかってしまった。
あの猛者の息子で、そもそも本人も勇名を轟かせていたような男だ。
普通なら避けられる一撃だった・・・が、彼はわざと受けた。
ここより先は書く必要は無いな。
我等一族は責任を取る形で処刑される。
お前の姪は・・・罪を減刑し、家名を守ることを条件に、妻ではなく妾として連れていかれるだろう。
ここで強くお前に願うことがある。
決して短慮を起こすな。
いいか、絶対に、絶対にだ。
お前は我等の事を全て綺麗さっぱり忘れて、己が人生を幸せに歩みなさい。
復讐はしてはならん、良いな。
父より




